TV局へのVRコンテンツ提供から、低価格帯VRカメラメーカーへの技術供与まで——多岐にわたるビジネスモデルで成長を続ける中国のVRスタートアップ7D Vision Tech(七維科技)

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CCTV(中国中央電視台)の Spring Festival Gala(春節聯歓晩会)を VR 中継
Image credit: 7D Vision Tech(七維科技)

今年1月に発表されたIDCの予測によると、中国の VR 市場では大手企業の参入が増加し、2017年にはその市場規模が4倍以上に拡大する見込みだという。しかし、大手以外にとっては VR 資本が不足する冬の時代となることも予想され、特にハードウェアメーカーが投資資金の獲得に苦労することになりそうだ。そうした中、一部の VR スタートアップは B2B 市場に活路を見出し、大金を稼いでいるようだ。驚いたことに、彼らのクライアントは中国の超大手テレビ放送局のような一流企業から、低価格の消費者向け商品を作る小さな企業にまで多岐にわたる。

北京に本社を置く7D Vision Tech(七維科技)は、VR 技術とコンピュータグラフィックスを扱う企業だ。同社は CCTV(中国中央電視台)のコンテンツも制作している。年間売上高2,000万人民元(290万米ドル)のうち、テレビ局に提供する360度撮影のサービス料がおよそ半分を占めている。

7D Vision Tech で副社長を務める Li Xiaobo(李暁波)氏は TechNode(動点科技)に対し、次のように語った。

Baofeng(暴風)の CEO によると、中国で VR ヘッドセットを所有している人の数は約1,000万人に上るそうで、彼らは VR ヘッドセットをスポーツやコンサートなどのイベントを見るために使います。Wang Fei(王菲)のコンサートは約10万人を動員しました。コンサートには参加しなかったが、自宅でコンサートを楽しみたいと思っているファンに、360度映像を提供しました。

中国のスター歌手、譚維維の音楽コンサートの360°撮影
Image credit: 7D Vision Tech(七維科技)

CCTV は、Spring Festival Gala(春節聯歓晩会)やバスケットボールの試合などのショーに 7D Vision Tech の VR カメラとそのコンピュータグラフィックスを利用している。

CCTV は新たなメディアの報道方法を採り入れようとしており、VR はそのための重要な戦略的動きの1つです。今では VR コンテンツのほとんどが CCTV を通して流されています。(Xiaobo 氏)

バスケットボール試合の360°撮影
Image credit: 7D Vision Tech(七維科技)

2014年設立の 7D Vision Tech は、コンピュータビジョン、機械学習、クラウド放送を専門としている。 同社は、VR アクセラレータプログラムである Vive X への参加企業に選ばれ、さらに、TechNode が主催する毎年恒例の授賞式 ChinaBang 2017 では、ベストVR/AR企業の1社に選出された。

大手ブランドより、OEM 企業相手の方が儲かる

Go!PanoS1

7D Vision の収益モデルの半分は、自身が持つ VR 技術とソリューションを中国の VR ハードウェアメーカーに提供することにある。クリップオン式 VR カメラの製造に同社の技術を利用するメリットは、Insta360 のような他の VR カメラメーカーの3分の1まで生産コストを下げることができるということだ。先月、Insta360 は Huawei(華為)と提携を結び、スマートフォン用クリップオン式360度カメラの共同ブランド、Honor(荣耀)VR camera を開発した。

Xiaobo 氏によると、彼らチームは中国のテック系巨大企業だけでなく OEM 企業にもクリップオン式360度カメラの製造用にVR技術とソリューションを提供しているという。

私たちはハードウェアブランドを次のように分けます。第1層が Apple、第2層は Android 機種、第3層はノーブランドの低価格商品です。売上で考えると、第1層と第2層を組み合わせた額よりも、ノーブランドの方が稼ぐことができます。下の層の方が収益性が高いということです。上の層はブランド力のことばかりに気を取られています。(Xiaobo 氏)

7D Vision Tech は自身でも Go!PanoS1 という VR カメラを持っている。同社は Go!PanoS1 を JD クラウドファンディング(京東衆筹)に出品し、2016年12月に100万人民元(14万5,000米ドル)を調達した。Xiaobo 氏によると、ヨーロッパの提携企業からは VR カメラの製造を依頼されているらしく、今年、総合的なソリューションの向上を目指すそうだ。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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