今年のマリンダイビングフェアでは、イタリアの Ratio Computers が目立った存在だった。ここでいうコンピュータとは、インターネットにアクセスするためのようなものではなく、ダイバーが水中での活動において、タンクに残っている酸素量、深度、バイタルデータを確実に把握できるようにするためのものだ(浮上に要する時間も考慮する必要がある。急激な浮上は潜水病などを引き起こす可能性があるからだ)。(イタリアについて言えば、最近ではスタートアップがホットに活動する場所になりつつある)。
Pat は、飛行機や宿泊のスケジュールを含むお勧めの旅程を私に送ってくれた。私にとって最適な料金計算をしてくれたのに加えて、TMC は会社の旅費規程、過去の出張履歴、個人的な好みも考慮に入れてくれる。そしていつも確実に実行してくれる。提案は好ましい内容だったので、あとは旅程の確認をするだけでよかった。
Pat によると、私の今回の予約は、宿泊1週間以上前になされた今年の予約のなかで200回目に当たったという。そのため、当社とホテル間で交わされているスマート契約の条項の1つに該当し、契約料金から20%のディスカウントを受けられることになった。フライトと宿泊の代金はすぐさま会社の口座に請求される。一銭も支払わずに出張ができるという感覚にまだ慣れていないせいかラッキーな気持ちになる! 旅費規程に従い、適切なチャネルで予約をするという善良な社員であるのは、以前ほど難しいことではなくなった。
ロンドン行きの便はたいてい遅延することを思い出したので、私は Pat の提案を受け入れて、その出張に運航遅延の保険を付けておいた。備えあれば憂いなしだ。この種のサービスの支払いは自前なので、送金決済はすぐ実行される。
飛行機はヒースロー空港に着陸し、私は入国審査に向かう(ブロックチェーンは国境そのものを消滅させていないが、いつの日かそうなるだろう)。私はその時、このユニバーサル ID のようなものは実に素晴らしいと思った。同じデジタル ID を使って旅行予約、航空機搭乗、国境越えが実に便利になっている。何より優れているのは、私のデータが中央データベースにもなければ、どの企業も保有していないことだ。
ロンドンにあるターミナルの外に出ると、私は遅延した時間を取り戻さなくてはならなかった。それで Pat にメッセージを送り、配車を頼んだ。数分後、会社が優先的に契約している分散型ライドシェアサービスが提供する自動運転車に私は乗っていた。オフィスに向かう間、こうした分散型の自動サービスが生まれる前は本当の意味でのシェアリングエコノミーはなかったのだと考える以外にほかなかった。数年前には「シェアリング」ができると謳っていた企業もあったが、実際には、他人が提供するサービスをただ寄せ集めてそれに課金し、消費者間の仲介をしていただけだった。