中国インターネット大手Tencent(騰訊)、人工知能研究に特化したラボをシアトルに開設

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Tencent AI(騰訊)ラボ副所長兼シアトル TencentAI ラボ所長 Yu Dong(俞棟)博士

中国テックの巨人 Tencent(騰訊)は、アメリカ・シアトルに人工知能(AI)のラボを新たに開設すると発表した。この取り組みを主導するのは、かつて Microsoft の Speech & Dialog グループの主席研究員をしていた音声認識のエキスパート Yu Dong(俞棟)博士だ。

同社の公式発表によると、先月(4月)にはすでに噂になっていたこの最新ラボは「人工知能の基礎的な研究と実践的な応用」に注力し、また、ゲーミングやソーシャルメディアなど Tencent の様々な事業分野における AI の取り組みを支援しつつ、AI の「理解、意思決定、創造性」を向上させていくという。

Tencent は昨4月に、マシンラーニング、コンピュータビジョン、音声認識、自然言語処理(NLP)に注力する初の AI ラボを深圳に開設している。同社によると、幅広い人気を集めている WeChat のメッセージングアプリなど多くの製品がこのラボで開発されたテクノロジーを利用しているという。シアトルの AI ハブは音声認識と NLP にフォーカスする予定。

ラボの所長を務める Zhang Tong(張潼)博士は次のように述べている。

AI ラボは、ラボ以上の存在になるだけでなく、コネクタの役割を果たしてほしいと思います。この分野で世界をリードする専門家を集めることによって、AI に関する基礎的な研究をさらに推進して影響力を強め、応用性を高めていきたいです。

シアトルにハブを開設する決断をしたことにより、Tencent はシリコンバレー以外での米国のテックハブにいるトップクラスのエンジニアや AI の専門家を採用できる。実際、今回の動きは他の中国テック企業のものに呼応している。例えば Alibaba(阿里巴巴)は2014年から秘密裏にシアトルに拠点を設けていたが、最近になって近隣のベルビューに移転した。他にも、「中国の Google」とされる Baidu(百度)が自動運転車に特化した拠点を昨年シリコンバレーに設けたほか、配車サービス大手の Didi Chuxing(滴滴出行)も3月、マウンテンビューに AI ハブを開設している

シアトルに AI ラボを設けたことで、ここにトップクラスの人材が集まり、世界中で AI 開発が促進されると信じています。(Yu 博士)

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【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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