
Image Credit: ParlAI
Facebook Artificial Intelligence Research(FAIR)は本日(5月15日)、AI 研究者とボット開発者が互いの仕事を共有したり反復したりすることが可能なテスト環境をローンチする計画を発表した。
第一の目標は、機械に会話を実行させるためのトレーニングに必要なダイアログをオープンソース化することにあるが、ParlAI 上で行われる研究には、こうしたタスクに必要とされる自然言語の理解だけでなく、コンピュータビジョンやその他の AI 分野に焦点を当てたものも含まれる。ボット間における知能の連携やコミュニケーションについても ParlAI 上で研究が行われる。
研究者などのユーザが ParlAI 上で AI モデルのテストやトレーニングを行うには、プログラミング言語であるPythonを扱えることが前提となっている。 Facebook AI Research でディレクターを務める Yann LeCun 氏は、ParlAI の目的は「最先端技術をさらに前進させる」ことにある、と語る。
その対象は本質的に、現在重要視されているような十分に背景知識を持った対話エージェントに限定されません。単に機械に言語を理解させたり、会話を理解させたりすることとは全く異なる視点が含まれています。機械を実際にインテリジェントにすることこそが重要であり、それは、例えば Facebook のような一つの組織が単独で解決できるものではありません。そこで私たちは、研究コミュニティにおいてリーダー的な役割を担うことで、すべての研究組織を適切な問題に導こうとしています。
最近では、会話能力の有無が人気のボットとして成功するための鍵を握っているように思われる。
例えば、会話型ボットの Xiaoice はローンチから3年で中国における月間アクティブユーザ数が数千万人にのぼり、最近最も人気のあるボットの一つだ。他にも、Zo は利用開始から半年も経たないうちに月間アクティブユーザ数を30万人まで伸ばした。
複数の会話型ボットの知能を連携させることで会話能力に優れたボットを作る取り組みによって、Facebook のインテリジェントアシスタント「M」の知能を向上させることができる可能性があり、また一方で、ParlAI 上で行われるような研究によってボットの会話量を増加させることができる可能性もある。Facebook の広報担当者によると、FAIR チームと M チームのメンバーは何年も緊密に協力してきたそうだ。
1年ほど前に複数のボットをホストすることができる Messenger Platform をローンチして以来、Messenger 上のボットに関して Facebook はこれまで人々の期待を抑えるような手段を講じてきた。
3月には、Messenger のバージョン1.4で、開発者はボットのテキスト入力フィールドを無効にすることができるようになった。さらに、バージョン2.0では Chat Extensions が登場したことによってボットのチャット機能は完全に失われたが、ボットをグループチャットに加えることができるようになった。
ボットに話しかけることで実行できる機能に対する早い段階での失望や過剰な期待を招いてしまうのは、おそらく、純粋なチャットボットから、メニュー、ボタン、カードが表示されたシンプルなアプリのようなガイド付き体験にスケールバックしたことと多分に関係している。
Facebook AI Research のサイエンティスト Jason Weston 氏は次のように語っている。
私たちはチャットボットに対して、人間のように沢山話すことを期待し、話し方も自然で様々な話題に対応してほしいと思っています。例えば、ニュースやスポーツについてのオシャベリや、質問に対する返事、レストランの予約、映画についての議論、映画のオススメなどです。これらはすべて対話のサブタスクと考えることができます。
彼はこう指摘する。
研究者はこれらのうち一つだけに集中してしまいがちです。それは根本的な誤りかもしれません。対話全体を見る必要があります。私たちがこの新しいソフトウェアプラットフォーム ParlAI を使って実現しようとしているのは、これらすべてを一つにまとめ、この研究を統一することなのです。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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