北京で開催されたGMICのテーマはAI一色——中国インターネットのレジェンド・李開復氏も登壇し、AIスタートアップへの支援を猛アピール

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2017.5.7

4月27日〜28日の2日間、回を重ね、もはや北京の風物詩となった感さえある中国最大のテックイベント GMIC(Global Mobile Internet Conference/全球移動互連網大会)が開催された。ケンブリッジ大学で撮影されたスティーブン・ホーキング氏のインタビュービデオに始まり、キーノートスピーチには中国のインターネット・レジェンド Kaifu Lee(李開復)氏が久々に元気な姿を見せた。

Lee 氏と言えば、もともとは Google China(谷歌)の代表を務めた人物で、その後は Innovation Works(創新工場)という名のインキュベーションを開始。近年はリンパ癌に冒され病魔と闘っていたとされるが、劇的な回復を見せ、昨年には Innovation Works の名を Sinovation Ventures と改め、積極的な投資活動を開始していた。

ブース展示会場を見てみると、例年なら色とりどりの装いに身を包んだコンパニオンがそこらじゅうにいるのだが、彼女たちの姿があまり目立たない。代わりに活躍していたのが、話しかけると目的なブースや会場まで案内してくれるロボットである。近い将来には、このような展示会でのロボットとコンパニオンの役割は、もっと分業化・細分化されていくのかもしれない。

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さて、GMIC の中でも最もスタートアップが活躍の場を見せるピッチ・コンペティション G-Startup だが、今回は中国内外の540チームからの応募があり、そこから選ばれた15チームが予選を通過。最終決勝には3チームが姿を見せた。G-Startup 北京の優勝者には、GMIC を運営する GWC のファンド GWC Innovator Fund と 500 Startups から合計10万ドルの出資が約束されるほか、G-Startup シリコンバレー本戰への無料渡航権、Facebook のスタートアップ育成プログラム FBStart から5,000ドル分の Facebook 広告出稿権が進呈される。

G-Startup 北京の決勝の審査員を務めたのは、

  • Jenny Lee(李宏瑋) – Managing Partner, GGV Capital(紀源資本)
  • Dave McClure – Founding Partner, 500 Startups
  • Barrett Parkman – Co-Founder & VP, GWC
  • Alex Yeung(楊政龍)- Corporate Executive, Emperor Group(英皇集団)
  • Ya-Qin Zhang(張亜勤)- Chairman of GMIC, President of Baidu(百度)
  • Shoucheng Zhang(張首晟)- Professor of Physics at Stanford University, Danhua Capital(丹華資本)
  • Kui Zhou(周逵)- Partner, Sequoia Capital China(紅杉資本)

…以上の7名の方々だ。

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【1位】医随訪 by ZionChina/健安華夏

中国には1.14億人の糖尿病患者がいて、世界の糖尿病患者人口の3分の1を占めている。糖尿病の管理には長期的なモニタリングが必須だが、中国の医療はファミリードクター(家庭医生)によるものが多く、糖尿病の専門医による診療管理が困難だ。「医随訪」は、機械学習と深層学習により、正確な糖尿病の経過観察を可能にするアプリだ。

このアプリでは、継続的な血糖値のモニタリングに加え、食事、運動量、血糖値の正確なデータを収集し、患者に対してライフスタイルや治療の改善をガイダンスする。得られた情報はアルゴリズムで血糖値の予測などに活用され、より個人に応じたダイエット、運動、食事制限を可能にする。

医随訪はかかりつけの医者に対し補助情報を与えるので、患者は必要な糖分の摂取制限を明確に理解することができるようになる。医随訪が何より強みとするのは糖代謝の予測技術で、糖尿病を糖代謝の異常症状として捉えるだけでなく、全体的な健康管理のもとでの栄養バランスの必要性を促す。

【2位】Gago/佳格

Gago(佳格)は人工衛星を使って収集した情報を活用する、農業向けビッグデータ・スタートアップだ。これまでに100万エーカー(約40.5万ヘクタール)の農地の情報を人工衛星を通じて収集、気象データなどと融合し農業企業、環境事業、食品メーカー、保険会社、農業向けの金融事業などに提供している。人工衛星だけでなく、気象情報、過去の収穫データ、ドローンによるリモートセンシングデータなどはクラウド上に集められ、ディープラーニングと独自アルゴリズムを使って解析された後、将来の予測に利用される。

Gago の創業者兼 CEO の Gong Zhang(張弓)氏は元 NASA のサイエンティストであり、共同創業者の Yungang Wang(王蕴剛)氏は、アメリカ・エネルギー省研究所出身。他にも NASA 研究者や化学メーカーのモンサントの元中国マーケティングディレクターらが社員に名を連ねる。

各社からの報道によれば、Gogo は今年4月、DCM のリードによりシリーズAラウンドで6,000万人民元(約9.8億円)を調達した。このラウンドには、Matrix Partners(経緯中国)、Grains valley Venture Capital(磐谷創投)などが参加している。

【3位】賽科/Hesai

Hesai(賽科)は、自動走行車向けの 3D レーダーセンサーを開発している。従来のレーダーと異なり高精細かつ高角度におよぶ画像解析ができるのが特徴だ。従来のように 2D のレーダーセンサーを回転させて用いる場合、回転のスピードによっては、死角が生じたり、瞬間的に本来認識すべき障害物を見落としたりということがあり得るが、3D レーダーセンサーでは、回転しなくても全角度を見渡せるため、そのリスクを極小化することができる。

2013年にサンノゼで設立された Hesai は、もともとは天然ガスを使ったドローンを開発し、欧米を中心に数千万人民元(数億円相当)を売り上げたが、市場規模が限定的と判断してピボットし、3D レーダーセンサーの開発に着手することとなった。2016年10月には、3D レーダーセンサーの最終形のプロトタイプを完成させている。3D レーダーセンサーであるため回転する必要がなく、回転で生じる熱問題を考慮する必要がなくなる。また、回転しない分、電源消費の点からいっても効率的だ。

Hesai の CEO である Yifan Li(李一帆)氏は、将来的には、このレーダーをロボットを含む、自動走行が求められるさまざまなデバイスに導入していきたいと語った。既に 2D レーダーセンサーを導入している自動走行車には、その機能を補完するセンサーとして普及を図りたいとしている。現在、2,000万ドル強を資金調達中とのことだ。


北京のアクセラレータ「Day Day Up」が主催した分科会には Hover Camera の Zero Zero Robotics(零零無限)、話せるヘッドフォン Vinci の CEO らが登壇し、AI スタートアップの将来について意見を論じ合った。最後に Hover Camera で登壇者が記念撮影。

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