マレーシアの決済スタートアップ Soft Space は、シリーズ A ラウンドで500万米ドルを調達した。
このラウンドに参加したのは、日本の e コマースサービスプロバイダであるトランスコスモスが唯一の投資家であったと、Soft Space のチーフストラテジーオフィサー Chris Leong 氏は昨夜(原文掲載日:5月26日)、Tech in Asia に語った。
両社は CRM ツールで協業し、トランスコスモスが持つデータアナリティクスの力と Soft Space が持つ決済手段サービスを最大限に活用する。
CRM ツールの機能にはまだ開発中の部分もあるものの、完成すればターゲット広告や顧客優遇プログラムが提供可能になり、事業者が顧客の不満に対応できるチャットボットを構築できるようになる。
Leong 氏は、この機能について例を挙げてくれた。
Soft Space のカードリーダーが設置されソフトウェアと接続されたレストランでは、カードによるさまざまな対面決済に加え、オンライン決済を受け付けることもできる。決済完了後は、レストランオーナーが顧客にアンケートを送信し、店の評価を依頼する。評価が悪い場合は、自動的にチャットが始まり、何が悪かったのかをチャットボットが突き止めようとする。オーナーは顧客にクーポンや割引券を渡すこともできる。チャットボットが問題を解決できない場合、その会話はトランスコスモスのコールセンターのカスタマーケア担当者に転送されるしくみだ。
2012年に設立された Soft Space は、mPOS(モバイル POS)ソリューションを提供する、初期の頃からのプレーヤーの一社だ。自社が持つカードリーダーやモバイルウォレットにより、より多くの事業者がカードやデジタル決済を受け入れられるようにしている。
顧客の多くはマレーシアとタイにいて、その後ろにインドネシアが続く。台湾への進出を開始していて、次に日本市場を狙う。
Soft Space は銀行とも協業しており、同社の事業者ネットワークを活用して銀行がプロモーションを行なっている。Soft Space はアジア全域に18万台のカードリーダーを出荷している。
今回のトランスコスモスによる出資は、Soft Space にとって初の機関投資家が参加した調達ラウンドとなる。それ以前は、Soft Space はエンジェル投資と政府による助成金で経営していた。
我々は既に黒字化している。
Leong 氏はそのように語り、ベンチャーキャピタルから投資を受けてこなかった理由について説明した。
資金がたくさんあったからといって、物事が早く進むとは限らないからだ。
アジアの決済スタートアップによる Square との対抗を分析した記事の中で、Life.Sreda というフィンテック特化 VC を経営する Vladislav Solodkiy 氏は、Soft Space のその倹約ぶりを賞賛している。
マレーシアの Soft Space には、エンジニアからなる最も熱狂的なチームがいる。私が知るすべてのプロジェクトの中で、Soft Space は最もリーンなチームと言える。目標に達するまでに、他のいかなるスタートアップよりも投資を必要としないからだ。
Soft Space のクライアントには、Maybank、Bangkok Bank、CIMB Niaga といった東南アジアの銀行のほか、Air Asia などの企業クライアントもいる。
日本市場への進出を加速すべく、Soft Space は今年初めに三井住友カードと MoU(覚書)を交わしている。これは同社が、日本最大の銀行と協業する機会を既に得ていることを意味している。
【via Tech in Asia】 @techinasia
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