設立からまもなく5年を迎えるSkyland Ventures、シードスタートアップの創出強化に向けインキュベーションプログラム「WAVE」をローンチ

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当時、日本最年少のベンチャーキャピタリストと言われた木下慶彦氏が、自身のファンドである Skyland Ventures を設立したのが2012年8月。それからまもなく、5年の歳月が経過しようとしている。昨年には、同社にとって2号目となる9億円のファンドをクローズ、これまでに投資した金額は14億円以上、投資先は40社以上に上っている。

若手起業家を発掘するプラットフォームとしての任を担ってきた Skyland Ventures にとっても、今年は節目のタイミングとなりそうだ。5年前に比べれば、日本のスタートアップ・コミュニティは醸成し、起業家は増え、成功のロールモデルがちらほら見え始めた。アーリーステージを対象とするベンチャーキャピタルが増えた現在、さらなる成長に向けて、差別化やブランディングを強化する必要性を感じたのは木下氏だけではないだろう。

Skyland Ventures は今夏から、新たに「WAVE」という名のインキュベーションプログラムを始める。初回バッチのエントリは今日から受付を開始し、参加スタートアップには3〜4社を採択(6月上旬の発表を予定)。約3ヶ月間のインキュベーションバッチを経て、8月下旬にはバッチ期間中の成果を披露するデモデイが実施される予定だ。

WAVE で特徴的なのは、カヤック OB ら3人によるクリエイティブエージェンシー PARK や、モバイルやウェブに特化したデザインファーム STANDARD と組んだ、スタートアップのブランディングや UX の強化だ。スタートアップのビジネスにおいて、評価の根拠となるテクノロジーやビジネスモデルは重要な要素である反面、マーケティングやデザインは置き去りにされる傾向が強い。

Skyland Ventures 代表パートナー 木下慶彦氏

木下氏によれば、ブランディングや UX が改善されるだけでも、バリュエーションが何倍にも変わってくる可能性があるにもかかわらず、シリーズ A 以降の数億円程度調達したスタートアップでさえ、外部エージェンシーに依頼するのはハードルの高い決断だという。WAVE に参加したスタートアップは、Skyland Ventures が費用を負担する形で、PARK や STANDARD にマーケティングやデザインの相談が可能になっている。

Skyland Ventures 自身も、PARK や STANDARD らの協力により「The Seed Maker.」という新たなタグラインを設定し、シードスタートアップの創生にコミットするとしている。WAVE で採択されたスタートアップには、1社あたり500〜1,000万円の出資、週次メンタリングのほか、渋谷に展開するコワーキングスペース #HiveShibuya へのアクセスなどが提供される。渋谷で生まれたスタートアップが、成長するにつれ近隣の街に移転し、東京のスタートアップハブが拡大しつつあることを受け、コワーキングスペースの複数拠点展開の構想もあるようだ。

日本のスタートアップ醸成期第2フェーズの幕開けといったところか。今後の Skyland Ventures や木下氏、そして、WAVE から輩出されるスタートアップの躍進を楽しみにしたい。

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