「ボクシル」運営のスマートキャンプ、シリーズBラウンドでITVなどから3億円を調達——グリーベンチャーズ出身の峰島侑也氏がチームにジョイン

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スマートキャンプ代表取締役の古橋智史氏(右)と、スマートキャンプにジョインした元グリーベンチャーズ・アナリストの峰島侑也氏(左)

クラウドサービスのマーケティング機能を提供するオンラインサービス「ボクシル」を運営するスマートキャンプは29日、シリーズ B ラウンドで、伊藤忠テクノロジーズベンチャーズ、三菱 UFJ キャピタル、SMBC ベンチャーキャピタルから3億円を調達したことを明らかにした。これは同社が2015年11月に実施した1.5億円の調達(シリーズ A ラウンド)、2015年4月に実施したソラシード・スタートアップスからの2,000万円の調達(シードラウンド)に続くものだ。今回の調達を受けて、スマートキャンプの2015年4月からの累積調達金額は約5億円。

今回調達した資金により、スマートキャンプは「ボクシル」の開発とそれに向けた採用強化を行い、サービス掲出企業と見込顧客のマッチング技術の向上を推進。さらに、新規事業として、リードマネジメント(見込顧客管理)が行えるプラットフォーム「BALES(ベイルズ)」を立ち上げるとしている。

スマートキャンプは、代表取締役を務める古橋智史氏が、みずほ銀行、Speee、ネットマイルを経て、2014年6月に設立した。当初は、Incubate Camp 7th でも披露されたプレゼンテーション資料のクラウドソーシングサービス「SKET」を展開していたが、2015年11月にピボット。営業機会を持たないクラウドサービスの顧客とのビジネスマッチングのポータルとして、クラウドサービスの機能比較サイト「Boxil(ボクシル)」を誕生させ、Incubate Camp 8th で紹介した。

その後、「Boxil(ボクシル)」は「ボクシル」へとカタカナ表記に名を改め、マーケティングパートナープラットフォームとして、クラウドサービスだけにとどまらない広範なサービスを扱えるマーケティングツールに進化したようだ。ボクシルをここまで成長させてきた思いと将来展望を、古橋氏は次のように語ってくれた。

これまで少人数がで会社をやってきたが、クラウドサービスや SaaS があったからこそ、スマートキャンプのバックオフィス業務を自分一人でまわしてくることができた。そういう点からも、クラウドサービスや SaaS の普及に力になれるよう、ボクシルを展開していきたい。(中略)

現在の社員数は16人。それ以外にも専門性を持った人たちが、必要に応じてスポットで手伝ってくれているので、少人数でやってこれている。今後は、サービスの柱を大きく2つ作りたい。(ボクシルに加えて)メディアともう一つ SaaS で何か。

ここで古橋氏の言う手伝ってくれていた専門性を持った人たちの一人が峰島侑也氏なのだろう。峰島氏は昨年グリーベンチャーズにジョインした新進気鋭のアナリストで、グリーベンチャーズが2号ファンドの組成を開始したときにも名前が挙がっている。峰島氏がグリーベンチャーズに入社後初めて担当した投資先がスマートキャンプで、昨年末からはアナリストという枠組みを超えて、スマートキャンプに完全出向で関わり始めたのだそうだ。

つまるところ、今回の調達ラウンドをまとめた背景には峰島氏の功績が大きい。スマートキャンプの次期 CFO 候補と言っても過言ではないだろう。かくして、峰島氏は古巣を離れ、数ヶ月にわたって肩を並べて働き、共に靴底を減らして資金調達に奔走したチームの一員として正式にジョインすることになった。

峰島氏を送り出す側のグリーベンチャーズのパートナー堤達生氏は、峰島氏がグリーベンチャーズを離れ、スマートキャンプに加わることについて、次のようなコメントを寄せている。

我々のファンドは、従来より〝本物のハンズオン支援〟を標榜しているのですが、今回のように、転籍にまでいたったというようなケースは、初めてではあります。しかしながら、これも一つのハンズオンの一形態であり、結果としてスマートキャンプ社の企業価値が向上するのであれば、起業家にとっても、我々投資家にとってもハッピーなストーリーになるわけなので、峰島さんには、全身全霊を賭けて、コミットして頂きたいと思っています。

また、峰島さんにとっても、ベンチャーキャピタリストとしてだけでなく、成長企業の経営に携われるのは、キャリア的にも非常に面白いと思いますので、是非、モデルケースになるように頑張って頂きたいなと思っております。つまり、〝期待しかない〟ということですね。(笑)

今回の調達や峰島氏のチーム加入とあわせ、スマートキャンプでは「BALES(ベイルズ)」という新サービスをローンチする。ボクシルは、サービスプロバイダと潜在ユーザをマッチングするサービスであるのに対し、BALES はその前段階であるリードマネジメント(見込顧客の興味度にあわせたアプローチ管理)をテーマとしている。オンラインサービスだけでなく、電話でのヒアリング、サービスプロバイダへの対面商談の提案など、より多面的なマーケティング活動を支援する。インサイドセールスや地方での訪問セールスのアウトソーシングにも対応できるようになるようだ。

BALES の詳細については、具体的なユーザ体験も交え後日改めて紹介したい。

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