本稿は6月6日〜7日、神戸で開催されている Infinity Ventures Summit 2017 Spring Kobe 取材の一部。
7日午前、IVS では恒例となっているスタートアップ・ピッチコンペティション「LaunchPad」が実施され、VRソーシャルルームアプリ「cluster.」を開発するクラスターが優勝を獲得した。
LaunchPad の審査員を務めたのは、
- ディー・エヌ・エー 顧問 川田尚吾氏
- 楽天 執行役員 北川拓也氏
- Skyland Ventures 代表パートナー 木下慶彦氏
- gumi 代表取締役社長 國光宏尚氏
- セプテーニ・ホールディングス 代表取締役 佐藤光紀氏
- KLab 代表取締役社長 CEO 真田哲弥氏
- スマートニュース 代表取締役会長共同 CEO 鈴木健氏
- グリー 代表取締役会長兼社長 田中良和氏
- 投資家 / The Ryokan Tokyo 代表取締役 CEO 千葉功太郎氏
- ウォンテッドリー 代表取締役社長 仲暁子氏
- YJ キャピタル 代表取締役 堀新一郎氏
- フリークアウト・ホールディングス 代表取締役 Global CEO 本田謙氏
- 慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長 山岸広太郎氏
- 500 Startups Japan Head & Managing Partner James Riney 氏
スペシャルコメンテーターとして、堀江貴文氏が参加した。
<賞品>
- Amazon Web Services 提供……全登壇者向け:AWS activate 3,000ドルクーポン、優勝者向け:「本当に叶う Amazon ウィッシュリスト」
- AGS Consulting 提供……優勝者向け:エビスビール1年分
- freee 提供……優勝者向け:50万円分利用権
- PayPal 提供……全登壇者向け:決済手数料100万円分
cluster. by クラスター(1位)
cluster. は、ソーシャル VR サービスだ。VR を使って、多人数で集まってのイベント体験を享受することができる。 URL を共有することで、その URL を知るユーザ同士のみが同じ部屋に入って体験を共有することができる。VR 上の一つの部屋に集まったユーザ同士が、部屋に備えられたスクリーン上で同じ画面を見ることができる。ここにゲームや YouTube 画面を投影できるので、複数ユーザが映像コンテンツを見ながら意見を言い合ったり、スポーツ中継を見ながら体験を共有することも可能だ。
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iNAIL by BIT(2位)
「iNAIL」は、自動ネイルプリントサービスだ。既存のネイルサロンでは、ネイリストが手書きでネイルにデザインをするため、コストと時間がかかる。ネイルプリンタに手を入れることで、3D プリンタのしくみでネイル上にデザインをプリントする。プリントは15秒で完成。
ヘアサロン、ネイルサロン、エステサロンなどでのサービス展開を計画中。日本のネイルアートに対するレピュテーションの高さを背景に、サービスの世界展開についても意欲的だ。
タウンWiFi by タウンWiFi(3位)
タウンWiFi(旧:WiFiShare)は、ユーザがスマートフォンのデータ量制限を受けないようにするため、市中の無料 WiFi サービスに自動で接続できるようにするモバイルアプリ。日本国内のみならず、アメリカ・韓国・台湾・香港・マカオなど200万ロケーションで WiFi への自動ログオンを提供する。WiFi 接続時のプッシュ広告、有料 WiFi へのアプリ内課金による販売手数料でマネタイズ。
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one visa by Residence(4位)
ペルーで生まれた岡村アルベルト氏は以前、友人が日本のビザの取得不備でペルーへ強制送還されたのを目の当たりにした。これを契機に、ビザの問題を解決しようという衝動に駆り立てられる。日本の入国管理局にいるのは公務員であるため基本的には日本語しか話せず、ビザ申請書類も日本語であるため、ビザを申請する日本語を母国語としない外国人にとっては、コミュニケーションのハードルが高い。
岡村氏は自ら品川の東京入国管理局に勤務し、3万人に上る外国人のビザ発給業務に従事。このときの経験を生かして、one visa(旧:Residence) を開発した。Residence ではビザ申請に必要な項目を、外国人向けに母国語で質問を表示し、それに応えていくだけで申請に必要な日本語の様式を出力できる。
登録された情報をもとに、外国人向けの与信サービスなどを展開しマネタイズ。
6月6日にオープンベータ版を公開。リクルートの TECH LAB PAAK 第4期から輩出。
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LION PROJECT by HYPER8(5位)
これまでに「mespo(メスポ)」や「タベニーク」といったサービスでも紹介したことのあるハイパーエイトが展開する、新たなインターネットサービス「LION Project」。
Facebook Messenger のボットとのやりとりで、イベントの2次会に女子を呼び出すことができる「キャバクラ版 UBER」を展開。
客単価 2.7 万円、30日以内のリピート率68%。今年の2月のローンチ以降、MoM の成長率は40%。820名以上の女性が登録している。
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よろペイ by Popshoot
よろペイ(旧:CashD)は、お金の貸し借りができるメモアプリだ。貸し借りの理由を記録することができ、借方にはメッセージで決済のためのリンクが送信され、クレジットカードや銀行引き出しにより、借方は貸方に支払いすることができる。店舗決済手数料、アプリ内広告、レンディングなどでマネタイズ。
Smooz by Astool
Astool が開発したのは、iOS で利用可能な〝芋づる式ウェブブラウザ〟の「Smooz(スムーズ)」。今見ているウェブ画面の内容からから、本文抽出・形態素解析・ランクづけ・関連語抽出を行い、次にユーザが欲しているだろう検索キーワードをリコメンドする機能や、ソーシャルメディアの反応を見て、ブラウザがユーザにブックマークを提案するスマートブックマークの機能を持つ。
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Player! by ookami
Player! は、スポーツゲームをライブで伝え、ゲームの途中経過や結果とともに、同じゲームを実況観戦する他ユーザと思いをリアルタイム共有できるスポーツ SNS アプリだ。
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HoloEyes VR by HoloEyes
HoloEyes は、VR を使って医療分野に情報革命を起こそうとするスタートアップだ。人体の情報を 3DVR の形で情報共有し、医療の世界に役立てる。CT スキャンのデータを集め 3D の人体モデルを作り、それを集積することで医療 VR データベースができあがる。
例えば、「60代男性前立腺がん」というキーワードで検索すると、それにマッチした症例の 3D イメージを取り出すことができ、医師が類似症例の診断の参考にしたり、外科手術をする際のトレーニングに使ったりすることができる。病院には VR ビューアーを提供し、患者の同意を得て集めたデータを、医科系大学や製薬会社などに販売するビジネスモデルを想定している。
APlay by NAIN
APlay(エープレイ)は、スマホに届く通知を音声で聞ける Bluetooth イヤフォンで、ハンズフリーで扱える音声アシスタントだ。音楽や通話での利用はもちろん、Twitter のタイムラインやLINE を耳で聞くことができる。
Cansell by Cansell
Cansell は、宿泊予約の権利売買ができる P2P コマースプラットフォーム。宿泊予約をしたものの、そのホテルへの宿泊予定が無くなってしまったユーザが宿泊権利を出品、他方、宿泊するホテルを探しているユーザがそれを購入する。
出品者にとっては、<ホテルや OTA に支払った宿泊料 − Cansell で転売した金額 − Cansell の手数料> が手元に残り、OTA やホテルにキャンセル料を支払うよりも結果的に割安に、また、購入者にとっては、Cansell 上に出品された宿泊権利を OTA などでホテルを予約するより割安な金額で購入できることになる。
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Matcher by Matcher
Matcher は、OB 訪問マッチングサービス。「就活相談にのるので、◯◯してくれませんか?」という合言葉のもと、「就活相談をしたい学生」と「お願い事をしたい社会人」をWEB上でワンクリックで繋ぐ。
学生からの視点では、大学の先輩以外でも、気になる企業の気になる人に気軽に OB 訪問をすることができる。企業側からの視点では、新入社員に対する効果的なアプローチの手段として活用することができる。昨年2月からサービスを開始し、今年4月には学生ユーザ数が1万人を突破、100社以上がサービスを採用している。
scouty by scouty
scouty は、AI を使った人材マッチングサービス。特にエンジニアの採用に強みがある。エンジニアが情報を発信しているソーシャルメディアをモニタし、ネット上のオープンデータから情報をクロールし、個人(80万人)に関する情報を統合。定性データから人工知能で人々の退職確率を予測し、最適な企業とマッチングする。
潜在転職者に対しては、そのプロフィールに応じたメールをテンプレートをベースに書くことができる。
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Receptionist by Delighted
「RECEPTIONIST」は iPad アプリ で提供されている受付の来客対応サービス。チャットワークや Slack などのチャットツールを使用して担当者が訪問客の対応をする。スケジュール、顧客管理、労務管理プラットフォームとも連携が可能。
今後スマートフォン向けのアプリをローンチ予定。アポに遅れそうなときは、ワンタッチで相手に連絡することができる。訪問先の受付では、スマートフォンを RECEPTIONIST の iPad アプリにかざすだけで受付手続を自動化できる。
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