スタートアップ創業者の私が経験した、「EB-1」グリーンカード(アメリカ永住権)を取得するまでの道のり【ゲスト寄稿】

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本稿は、イスラエル出身の起業家で Shop Immigration の CEO である Liran Jakob Rosenfeld 氏による寄稿である。

Shop Immigration は、アメリカ唯一の移民サービスマーケットプレイスだ。提供するサービス内容に返金保証を提供することができる、アメリカの移民専門弁護士の1%と協業している。


Image credit: danielfela / 123RF

昨年、スタートアップコンテストで自分の会社をプレゼンすることになった私は、シリコンバレーのマウンテンビューを訪れた。投資家になってくれそうな人と会うための時間が欲しかったので、2ヶ月の旅程を組んでいた。最初の2週間を興奮のうちに過ごし、少額ながらシード投資を確保することができた。アメリカに拠点を設けなければ会社を大きく成長させることはできないだろうと実感した。

アメリカ移住——多くの起業家にまつわる悲劇

若い企業の創業者である何人かの知り合いに話を聞いていくと、どうやら、移住は手続きが複雑で煩わしい上に、結構なお金がかかるようだ。私が訪ねたその創業者たちはそれぞれ異なるプロセスをたどったらしい。

私は自分の移住計画をスタートさせることにした。移民専門弁護士との最初のミーティングはうまくいかなかった。150米ドルの相談料を支払ったが、成果は何もなし。その弁護士は1,000米ドルかけて旅行ビザを延長することもできる、と提案してきた。それに対して私は、ビザを延長しようとして結局「ビザが切れてしまった」人がいるという話を聞いていたので、その提案には興味がないことを説明した。こうしたことが法的な煩雑さにつながっているのかもしれない。

次に、弁護士は O-1 ビザを提案してきた。このビザは「特に優れた能力」を持つ起業家のためのもので、取得には7,500米ドルの法的費用がかかり、取得したとしても妻がアメリカ国内で働くことが法的に許されないらしく、私は失望してしまった。半日かけてロサンゼルスの反対側にやって来て、無駄に相談料を払うだけなんて、私は何をしているのだろうか?

移民専門弁護士の良し悪しの判断は難しい

他の弁護士にも相談してみることにしたのだが、今度は相談料の支払いには応じないつもりだった。移民専門弁護士というからには面倒見が良いはずで、そんな人なら私が良いクライアントであることに気づき、無料で相談に乗ってくれるはずなのだ。私は2人目、3人目とミーティングを行った。この2つのミーティングは互いに共通する内容はなく、もらった助言は相反するものだった。

2人目の方の弁護士は、L-1A ビザを提案してきた。このビザを取得するには、私の既存のビジネスをアメリカに移し、そのための新たなビジネスプランを作成する必要がある。さらに、自分でも証明できるのかよく分からないモノまで証明しなくてはならない。費用も1万米ドルかかる。

3人目の弁護士は、E-2ビザの取得を提案した。これは「大金持ちではない人」用の投資ビザで、費用が1万2,000米ドルかかる。この E-2 ビザを取得するとなると、アメリカ国内で投資を行っていることを実際に証明するためにシード資金の一部を使うことになる。

私が出会った移民専門家はそれぞれ異なる費用の異なるビザを提案してきた。これには辟易した。何が正しいのかを知るにはどうすればよいのか? 移民専門弁護士はどれほど信用できるのか? 一つの間違いで、アメリカで過ごす未来が台無しになってしまうというのに。

私の友人の創業者らはほとんどがサンフランシスコやロサンゼルスを拠点としており、同じような悩みを抱えている。複数の弁護士に会い、異なる助言を受け、結局どうなるかも分からないまま誰かの助言に従うことになる。友人の中にはビジネスを発展させるために忙しく、上述したような相談を行わなかった者もいる。そうした彼らの選択はさらに悪い結果を招いた。

彼らは約6ヶ月間アメリカに滞在し、5ヶ月目にビザを延長しようとする。すると、移民局(USCIS)が彼らの要求に応じるまでには(拒絶される場合もある)いつの間にかビザが切れていて、突然アメリカから退去させられるか、もっとヒドい目にあうこともある。そうなると悲惨だ。

起業家用グリーンカード

Image credit: convisum / 123RF

ある日、10年前にアルゼンチンで出会った旧友とコーヒーを飲んでいたときのこと。その彼にはアルゼンチン人の友人がいて、起業家だったおかげでグリーンカードを取得することができた、という話を教えてくれた。それも、取得までに6ヶ月もかからなかったそうだ。

そんなはずはない。

私は言った。それがもし本当なら、誰もが同じようにするはずだ。

それから、私の友人は移民専門弁護士に対する考えを話してくれた。

彼らの大半は信用しちゃいけないような人たちで、オンライン上にあがっているレビューも信じちゃダメ。ほとんどがウソなんだ。移民専門弁護士は「安心してください、あなたの案件は慎重に進めます」と言って君に売り込みをかけてくる。

だけど、依頼すると数千ドルも取られるし、契約書にサインした途端に君の案件は若いパラリーガルか弁護士ですらない人にまわされる。そうしたケースの多くが悲惨な結果に終わり、才能豊かな人たちに災難が降りかかることになる。

あの弁護士たちが誰も EB-1 グリーンカードのことを教えてくれなかったのはなぜか?

それについて、友人の移民専門弁護士に電話して訊いてみた。すると、私と妻の両方が取得したい場合、EB-1 と EB-2 というカテゴリのグリーンカードが有効で、EB-2 にはナショナルインタレストウェイバー(NIW)という法的手続きが必要であることが分かった。これに関してもう少し調べてみると、移民問題はいくつかの専門分野に分かれていることに気づいた。

家族向けに問題を扱う移民専門弁護士は、必ずしもビジネスビザの扱いに優れてはいないのだ。また、ビジネスビザの専門家はたいてい EB-1 の専門家ではない。EB-1 案件の扱い方を知らない移民専門弁護士が、EB-1 をわざわざ提案するだろうか?

それからしばらくして、EB-1 を専門とする移民専門弁護士を見つけることができた。自分の旅のことや、どういう仕事をしているのかを彼女に話した。彼女の説明によると、10年のグリーンカードを取得するには EB-1 が最速の方法であり、5年経てば市民権を申請できるようになるという。

実際には、創業者のほとんどが O-1 ビザの取得を選ぶ傾向があるという。特に、アメリカにすでに在住していている者が迅速かつ安全に身分を取得したい場合にその傾向が強い。O-1 が承認された後でEB-1またはEB-2の申請を行うことも可能で、その申請が通らなかった場合でも O-1 ビザは有効なため、再度申請することができるというセーフティーネットが常に働く。

案件に対する返金保証

EB-1 でグリーンカードを取得するにはどれくらい時間がかかりますか?

私が尋ねると、彼女は「6ヶ月です」と答えた。

費用はどれくらいかかりますか?

1万5,000米ドルです。

そんな大金を払ったのに申請が拒否されるかもしれないというリスクを冒すことはできないし、そんな額の現金は手元にないことを彼女に説明した。

それに関しては心配しなくてもいい、と彼女は言う。

分割で6回払いも可能ですし、EB-1 が承認されなければ返金します。つまり「リスクフリー」です。

本当ですか! でもどうしてそんなことが可能なんですか?

私が尋ねると彼女は、申請内容はしっかりしているし、上手くやり遂げるだけの能力が自分にあると説明してくれた。

これしかない。彼女に依頼することにした。

待っている時間がまさに悪夢

Image credit: zimmytws / 123RF

自分でも信じられないのだが、7ヶ月後には承認され、今ではグリーンカードを持っている。やったぜ!とはいえ、それほどすんなりといったわけではない。

申請から4ヶ月後に RFE 通知を受けた。RFE とは、追加証拠の要請(Request For More Evidence)という意味。これのせいで非常に不安で疑心暗鬼になってしまった。弁護士選びを間違ったんじゃないか? 拒否されたらどうしよう? 彼女は本当に返金してくれるのだろうか?

当時、私はホームシックになり始めており、家に帰って家族と会い、いとこの結婚式に出席する予定を立てていた。祖母が病気になっていたのに、申請のプロセス中だったためにアメリカを離れることができなかった。まるで悪夢のようだった。もし帰国すれば、もう二度とアメリカに戻ってくることはできないのだ。そのときに気づいたのだが、EB-1 の申請をしたい場合は焦らずに自宅から申請するか、アメリカ国内で法的身分もしくはビザを取得している状態で申請するのが最善の方法なのだろう。

情報格差という問題

アメリカに来た当初は、自分がここに合法的に留まることができるのか全く分からない状態だった。移民専門弁護士への相談で時間を無駄にし始めたときには、世の中に信頼できない専門家がこんなにもいるとは考えてもいなかった。EB-1 や EB-2 を専門とするニッチな弁護士がいて、彼らが実際にそんな案件を扱えることも知らなかった。また、金持ちでもなく、ごく基本的な教育しか受けていない私でも、実際にグリーンカードを申請して本当にそれを取得することできるということも知らなかった。

EB-1 や EB-2 の要件を読んでみると、ノーベル賞受賞者にでもならなければいけないのではないかと思うだろう。もちろんノーベル賞受賞者はEB-1に申請できるが、私のような起業家でも申請できる。同じカテゴリーに属しているのだ。ということは、基本的に「並外れた能力」を持っていなければならないことになる。実にややこしい。

行動に移すのがこんなにも難しいのはなぜか?

経験から言えば、小さなスタートアップを抱えてアメリカにやって来るのは簡単な旅ではない。起業家は高い給料をもらえるわけでもなく、素敵な居住空間の家賃を払うことも、イイ感じのオフィスで働くことも、全く新しいコミュニティを見つけることもできない。新しい会社の法人口座を開設するだけでも、まだ社会保障カードも持っていないような状態だとコストもかかるしなかなか難しい。信用できない移民専門弁護士に1〜2万米ドルを払ってみると、あなたの旅はたちまち過酷なものになってしまうのだ!

移民専門弁護士を選ぶ際に最も重要なことは、次の通りだ。

  1. 返金保証の有無を確認する。
  2. 弁護士がEB-1/2の専門家であることを確認する。
  3. 過去を掘り下げて必要な証拠を揃えるための十分な時間を確保する。

10カテゴリのうち3つで承認されれば、EB-1は取得可能

下に掲げたのは、EB-1 の 10のカテゴリだ。そのうち、3つの確実なカテゴリで申し込む必要がある。申請したカテゴリが万一承認されなかったときのために、3つより多いカテゴリで申請した方が望ましい。

特殊能力を持つとされる条件

あなたの分野で、特殊能力があることを証明するには、以下の10条件のうち3条件を満たす必要がある。

  • 優秀さについて、国または国際的にあまり認知されていない賞や表彰を受けたことの証拠
  • メンバーに対して卓越した業績を求める、あなたの分野の組織のメンバーであることの証拠
  • 専門的または主要な取引出版物などの主要メディアで、あなたについて書かれた記述の証拠
  • 個人または団体の一員として、他者の作品について審査を求められたことの証拠
  • あなたの分野に重要な意味を持つ、オリジナルの科学的、学術的、芸術的、運動的、またはビジネスに関する貢献の証拠
  • 専門的または主要な取引出版物などの主要メディアにおける、学術論文の著者としての証拠
  • あなたの作品が、美術展やショーケースに展示されたという証拠
  • 優れた組織における、主要な役割や重要な役割の実績の証拠
  • あなたの分野で、他者と比べ、高い給与や著しく高い報酬を得ていることの証拠
  • 舞台芸術における、商業的成功の証拠

ある人物が教授や研究者として卓越していることを示した、文書証拠の事例

  • 卓越した実績について、主要な賞や表彰を受けたことの証拠
  • メンバーに対して卓越した業績を求める組織のメンバーであることの証拠
  • 学術分野において、専門出版物上に他者が書いた、当該外国人の作品についての記述の証拠
  • 自分の学術分野または関連する学術分野において、個人または団体の一員として、他者の作品について審査に参加したことの証拠
  • あなたの分野において、オリジナルの科学的、学術的研究に関する貢献の証拠
  • あなたの分野において、(国際的に購読される学術誌上で)論文や寄稿の著者としての証拠

私について言えば、この経験が人生を変えた。私が遭遇した問題を解決しようと決め、Shop Immigration を始めたのだ。このプラットフォームは、安全に移民専門弁護士を雇い、返金保証が得られるマーケットネットワークである。

Shop Immigration のアイデアは、ユーザが費やす時間と悩みを減らしたい思いから生まれた。弁護士に対する本物のレビューを見て、移民ビザの取得に必要な固定料金を確認し、どの弁護士に頼むべきか正しい決断をしてほしい。最初のユーザ質問表に答え、危険の無い移民ビザ取得への旅路を歩んでほしい。

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