人工知能(AI)が新しい電気のようにインフラ化する理由

by VentureBeat ゲストライター VentureBeat ゲストライター on 2017.6.25

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Photo via VisualHunt / License: CC0 1.0 Universal (CC0 1.0) Public Domain Dedication

編集部注:NunoSebastiao氏は、様々なチャネルコマースにおける不正検出を事業とするデータサイエンス企業FeedzaiのCEOである。

2年半前、オバマ大統領はFCCに対してブロードバンドインターネットを公益事業として分類することを要請した。電気やガス、水道などは小さな組織(公益事業)としてグループ化されている。そして今、この組織に新しいメンバーを喜んで迎え入れることになるかもしれない。人工知能(AI)は最新の公益事業なのか、そして私たちはAIが水道設備のように利用される時代が目前に迫りつつあるのだろうか。

6年前にNetscapeの共同設立者であるMarc Andreessen氏は「ソフトウェアが世界を飲み込んでいる」と記している。実際に今、AIはソフトウェアを飲み込んでいる。

AIがSFの主題から、金融安定理事会(Financial Stability Board)のような組織の主題になる時代に変わってきていることはご存知の通りだ。同組織は、世界の銀行システムの安全を担う中央銀行家によるグローバルな組織である。データ侵害の多発に直面している昨今、この組織は重要な役割を担う。

昨年2月に発生したサイバー攻撃を考えてみよう。この事件では、ニューヨークの連邦準備銀行のバングラデシュ口座から1億ドル以上が不当に引き出された。ハッカーはマルウェアを使用してコンピュータネットワークを侵害し、転送の仕組みを解析することで銀行の認証情報にアクセスした。これはデジタル時代における新しい窃盗である。ケーブルや衛星の中で、誰も知らない間に「1と0」が操作され、瞬時に8桁もの金が盗まれる。

私たちの生きる時代のグローバル金融システムはインフラストラクチャとして脆弱である。しかし、ここにこそAIは生きてくるのだ。そして水のようにAIを使うべきであるというビジョンこそ私がFSBの代表団に話していた内容になる。

また、これに変化を受けない産業を想像するのは難しい。検索エンジン健康管理法律自動運転車はもちろん、そしてジャーナリズムも。

面白いことにAIはもはや新しいものではない。AIは1962年にコンピュータ・チェッカーを作ったArthur Samuelによって発明された。しかし、Da Vinci氏が飛行機を考案したときのように、AIのアイデアは技術がまだ十分でない段階で生まれた。そのため、米国から日本に至る世界中の政府が研究資金を出し渋ったのだ。それが最近まで続いたAIの冬につながった。

そして今、やっと技術がAI志向に追いつき、私がAIコンバージェンスと呼ぶ「AIの再生」を目の当たりにしている。これはAIにおける完璧な嵐のようなもので、テクノロジーにおける複数の異なる道筋が今までのすべてを変えようとしている。では、AIコンバージェンスの道筋とは一体何なのか?

1.手ごろな価格の並列コンピューティング

約10年前、Googleはコンピュータを並列処理するための手法であるMapReduceを作り出した。これによって桁違いな処理能力が導入された。

2.高速プロセッサ

以前わたしたちには、CPUしか処理装置がなかった。しかし今では、2つ目のGPUを手に入れている。ForresterのアナリストであるMike Gualtieri氏はこれをハードウェアのルネッサンスと呼び、機械学習のための新たなコンピューティング分野を開拓した。

3.安価でスマートなデータストレージ

ムーアの法則をご存知だろう。ムーアの法則は、メモリを格納する能力の指数関数的な増加を示唆している。専門家はムーアの法則が存在する場合、様々な点の成長を減速しなければならないと予測する。ムーアの法則で言われている成長率は不可能と思われているのだ。しかし、実際にはムーアの法則が今日まで続いている。それはデータを見る新しい方法を作り続けているからだ。

4.ビッグデータ

ビッグという表現は控えめだ。人類の誕生から2003年にかけて、人間は5エクサバイトのデータを作り出した。今でも毎日多くのデータを作成しており、データのフットプリントは毎年2倍ずつ増加している。

5.より優れたアルゴリズム

15年前の音声認識ソフトウェアを覚えている人はいるだろうか。これは使用者の声を認識するまでに3カ月のトレーニングが必要だった。現在、このソフトウェアは任意の音声を瞬時に認識することができるようになっている。より優れたアルゴリズムが発明されたためだ。これらは使用されるたび、正確にその領域をモデル化する力を持っている。

これらの積み重ねにより認知(コグニティブ)革命が起こる。産業革命はこのような革命が起こった最後の事例だ。その際には鉄道、鉄鋼、工場などの巨大な物理的資源が必要だった。しかし、今回の認知革命では少額の資金と実現可能なAIにより、これまで考えられなかった方法で中小企業が資本集約的な産業を後退させる可能性がある。

NuTonomyの例を見てみよう。彼らはMIT卒の従業員100人の小さなスタートアップだが、UberとGoogleも導入する自動運転タクシー市場で打ち勝った。NuTonomyはシンガポールを中心に運営しており、まもなくボストンでビジネスを展開する予定だ。この成功は何故か、それはAIへのアクセスだ。

別の例をあげると、私は航空宇宙のエンジニアだったのでSpaceXの進歩を見るのが大好きだ。しかし60年代に、民間組織が宇宙エンジニア分野に加わることが想像できただろうか?SpaceXは2014年、Falcon9ロケットとドラゴンカプセルの開発コストの合計額を発表し、それは8億4600万ドルであった。比較としてNASAは同程度のロケットであるOrionに380億ドルを費やしているが、これは320倍のコストだ。

しかもSpaceXの資金の約半分は、NASAからの出資だと誰が想像しただろうか?それだけではなく、イーロン・マスク氏は研究費を安くする方法を編み出し、NASAもこの事実を認めた。自分たちが民間組織を打ち負かすことができない場合、資金を供給する、これが資本を超えた未来だ。

産業革命は鉄鋼を叩くようなものだった。流水のようなAIによって強化されたこの新しい認知革命はさざなみのように聞こえる。パイプを流れる水のように。

【原文】

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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