
日本の e コマース大手・楽天は、一連のスポンサー契約や子会社のリブランディングにより、その名前を世界に向けて懸命に広げようとしている。
最近の取り組みは Wuaki.tv に関するものだ。楽天はスペインのビデオオンデマンド(VoD)企業
Wuaki.tv を2012年に買収した。今ではスペイン、英国、フランス、ドイツ、イタリアなど欧州12ヶ国に500万のユーザを抱えている。
様々なプラットフォームのストリーミング用に映画やテレビ番組を提供しているサービス Wuaki.tv のリブランディングが計画されていたのは周知の事実だが、作業はすでに完了したようだ。
今後、Wuaki.tv は Rakuten TV として知られるようになる。そして同社は100万ユーザを擁する英国市場への投資を倍増させる計画だ。報道によると、楽天は米サンフランシスコに本社を置くビデオストリーミングサービスの Viki(2013年に2億米ドルで買収済み)を、Wuaki.tv や日本国内で展開中の Showtime とともに広範な Rakuten TV ブランドに統合する計画であるという。
こうしたニュースが流れたのは、同社が FC バルセロナと世界的なパートナー契約を締結した直後のことだった。この契約により楽天ブランドは、サッカー選手のジャージについているロゴで今後お目にかかることになる。

1997年に設立された楽天は日本で最大の e コマース企業の一角であるが、買収を通じて欧米市場にもかなり食い込んでいる。2011年には Kindle と競合するカナダの e リーディング企業 Kobo を3億1,500万米ドルで買収し、数年後、楽天 Kobo へとリブランドした。他にも2014年にイスラエルのメッセージングサービス大手 Viber を9億米ドルで買収し、最近この会社名を Rakuten Viber にしたと発表した。
これに関連して楽天は、WhatsApp や Facebook Messenger などのサービスと競合する Viber を、FC バルセロナとファンおよびメディアを結ぶコミュニケーション手段として推し進めていく計画も明らかにした。Viber のユーザ数は8億人にも上るという。
これまで、東洋に拠点を置くテック企業が西洋市場で名を上げるのは容易ではなかった(逆もまたしかり)。しかし楽天は、グローバル化に向けた取り組みでスマートなアプローチを採用してきた。同社はビデオストリーミングやモバイルメッセージングなど異なる市場、異なる業界にて企業を買収した後、シナジー効果を引き出そうとしている。そのブランド名を世界中にいる何億もの人に認知してもらうためだ。
楽天と FC バルセロナとの提携も決して過小評価すべきではない。このチームは世界で最も価値あるサッカーブランドで、市場価値は14億米ドルに相当するとされる。あと1ヶ月ほどでシーズンが始まるスペインのラ・リーガ(La Liga)を活用することで、楽天の名前は世界中の何百万という家庭やスポーツバーに流れることになる。エル・クラシコ(El Clásico、伝統の一戦)と呼ばれるバルセロナ対レアル・マドリードの試合だけでも約5億もの人が観戦するため、世界的なブランド構築の実践という意味で言うと、楽天にとってはこの上ないプロモーションとなるだろう。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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