Alibaba(阿里巴巴)、世界最大の賭博都市マカオをスマートシティへと変革させる計画を発表

SHARE:
Image credit: orpheus26 / 123RF

Alibaba(阿里巴巴)が、歴史ある都市、かつ世界最大の賭博施設を誇るマカオを Alibaba Cloud(阿里雲)のサービスによって将来のスマートシティに変える計画である、と同社は発表した。マカオ特別行政区においてマカオ政府と交わした覚書によると、ヘルスケア、輸送、シティガバナンス、観光、人材開発が今年始まるプロジェクトの焦点となる見込みであるという。

このパートナーシップは4年間続き、2017〜19年のフェーズ1の間にプロジェクトのプラットフォームとしてクラウドコンピューティングの技術をマカオで発展させる予定。これは Alibaba が発足した中国本土で2016年10月にローンチされた Hangzhou City Brain(杭州城市数据大腦)の計画と似た手法である。Alibaba は投資の規模については明かしていない。

後のステージでは、環境保護、経済予測、また香港―マカオ―中国本土の3つの関税ゾーンにまたがる珠江デルタにとっては多少お節介な問題である通関手続きに取り組む見込みである。

実のところ、この地では観光分野が鍵となるだろう。マカオは収益において世界最大の賭博センターであり、財政の3分の2を賭博による収益が占める。中国の領土の中で賭博が許可されているのはマカオのみだ。中国本土での汚職摘発により大金を賭ける賭博師がギャンブルを敬遠したため、マカオのカジノ産業は2014〜16年に長引く不況を経験した。それからマカオは、観光産業をより多様化する試みを開始した。

Image credit: orpheus26 / 123RF

Alibaba によると、スマートシティプロジェクトは、ターゲットマーケティングにより観光業の発展を支援するものだという。将来、観光客は「潜在ニーズを満たすガイド付きツアー」、便利なモバイル決済(例えば Alipay=支付宝)、そして「空港、商業区、観光スポット、コンビニやレストランでのカスタマイズされた販売プロモーションなどの各種特典」を楽しむことができるようになる。カスタマイズデータは、マカオを訪れる観光客のおよそ3分の2を占める中国本土からの観光客から集めたユーザデータに基づく。

Alibaba は TechNode(動点科技)に次のように述べている。

Alibabaはこのスマートマカオプロジェクトに特化したスマートなテクノロジープラットフォームを構築するためにマカオ政府と協業しており、また、データの安全性を保証する世界品質の技術力を持っています。そのため全てのデータがマカオ市内に保存されることになります。

シティガバナンスは、異なる都市部門を結ぶクラウドベースの集中管理型プラットフォームによって強化される見込み。マカオ特別行政区は、「一国二制度」の考え方により人民政府からは独立して統治されている。近隣の香港も同様である。

この発表には Alibaba Cloud IT の履修証明プログラム及び高等教育機関を備えた B2B の e コマーストレーニングプログラムのローンチも含まれている。世界最大のeコマース企業である Alibaba が「マカオの有望なスタートアップと優秀な起業家を見つけ、育成する」支援をするのだ。

Alibaba のリリースでは、マカオ特別行政区行政長官事務所の O Lam(柯嵐)氏の以下の発言を引用している。

マカオをスマートシティに変革させるという目標を設定した後、マカオ政府はそれぞれの形でスマートシティとして発展した他の都市の例について研究しました。徹底した研究や調査を経て、私たちはクラウドコンピューティングとビッグデータ技術を発展させるにあたり Alibaba グループと協業することを決めたのです。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する