シンガポールのフィンテックスタートアップ Everex は直近のシード資金調達ラウンドで、中国の工業コングロマリットである Holley Group(華立集団)から50万米ドルを調達した。本日(7月24日)スタートするトークンセールでもかなりの額の追加調達を見込んでいる。
Everex はイーサリアムのブロックチェーンを利用した一連のオンライン決済サービスを開発している。製品群は送金、少額融資、暗号通貨用のeウォレットから成る。
潜在顧客としては、アジア地域のいわゆる「銀行口座を持っていない人々」をターゲットにしている。具体的には、タイで働くミャンマーからの移民を対象に商品をテストしてきた。同社のプレスリリースによると、こうした労働者の100人以上が Everex を利用し、ミャンマーに住む家族に送金を行ったという。
Everex の製品は、外国人労働者や銀行を利用できない個人のほか、為替手数料を負担したくない国外駐在者にも有益だとしている。また、ブロックチェーン技術を採用しているため、支援団体、開発団体、政府機関、NGO なども、きちんと監査を行いながら資金を分配することができるとしている。
今回の動きは Holley Group にとって初のフィンテックへの投資となる。Holley Group は杭州を拠点とするコングロマリットで、エネルギー、薬品、ゴムの生産など様々な分野で事業を展開している。2005年にタイに共同設立された Thai-Chinese Rayong Industrial Zone(タイ・中国のラヨーン県工業地区)においても相当な足場を確保している。
トークンセールによる追加調達
50万米ドルの資金注入は願ったりかなったりだが、Everex は今回の投資のみに甘んじているわけではない。同社は追加の資金調達を狙い、自社 EVX トークンの初となるクラウドセールを本日(7月24日)実施した。
Everex が事業を拡大するにつれ、EVX は多くの役割を果たすようになるだろう。トークンの保持者は他のユーザに提供されていないプレミアム機能を利用できるようになる。
さらに、EVX トークンを貯めれば、クレジットカードをこれまで利用していなかったり、利用履歴に傷が付いているために金融サービスを十分に利用できなかったユーザでも、クレジットの信用スコアを上げることができる。また、ローン返済時に報奨金として EVX を獲得できるが、返済が遅滞した場合は所持する EVX から差し引かれることになる。
Everex はトークンセールの上限を1,500万米ドルまでとしており、今月初めのプリセールで300万米ドルをすでに調達済みだ。投資を希望する場合はイーサまたはビットコインで EVX を購入できる。
アジアでは、数多くのオンライン決済提供企業が金融サービスを十分に利用できない人々をターゲットにしたいと考えている。Everex が最初のターゲットにしているタイでは、Ascend、2C2P、Omise などが主な競合となっている。Omise は最近のトークンセールで2,500万米ドルを調達した。
Everex は今年末までに、タイ、ミャンマー、ロシアでサービスの完全なローンチを行いたい考えだ。その他のアジア市場への展開は2018年第1四半期を予定している。
【via Tech in Asia】 @techinasia
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