ネイルサロン経営者が作った予約システムiculuや現役会計士のFUNDBOARDのように各業界に課題を持った人々がITベンチャーを立ち上げるケースが増えているように感じる。今回取材したm-floのアーティスト☆Taku Takahashiことblock.fm代表取締役の高橋拓氏もまた例外ではない。
ダンスミュージック特化の音楽プラットフォーム「block.fm」を運営するBlockFMは8月24日、総額5000万円の第三者割当増資を実施したことを発表した。引受先は個人投資家らで詳細は非公開。同社にとってこれがはじめての資金調達となる。
block.fmはダンスミュージックを中心にラジオ番組や動画、記事を配信する総合型音楽メディア。ミレニアム世代をターゲットにしたコンテンツ提供やスマホ特化のUXが特徴で、WebおよびiOS8.0以上アプリより利用が可能だ。アーティストのトークや音楽をそれぞれ視聴できるほか、ラジオ番組を聴きながら記事を読むといった使い方ができる。
主なユーザーはFacebookやツイッターなどのSNSからの流入で、ラジオを聴きながらプラットフォーム上にコメントをしたり、ハッシュタグ付きでSNSに投稿する機能でコミュニティ化も考えられている。
制作チームは8人体制。オリジナルのラジオ番組を約50〜60本、記事コンテンツを150本、さらにインタビューなどの動画コンテンツ20本月間で制作している。今回ロゴ変更なども含めたリニューアルおよびAndroid版のリリースもあわせて発表した。
資金調達は多様なコンテンツを配信するマルチプラットフォームの実現と、解析やクリエイティブを得意とする人員の強化が目的だ。アクセス数は公開していないが、全体の約1〜2割がアメリカおよび香港やシンガポールなどからの流入で、メディアの多言語化による日本発信のコンテンツ配信を強化する方向性も示している。
課題を解決するのはアーティスト活動もベンチャー起業も同じ

アーティストとして知名度がある高橋氏がなぜITベンチャーをはじめようと思ったのか?高橋氏は下記のように回答してくれた。
「新しいことをはじめているようにみえるかもしれませんが、実はいままでやって来た方針とは変わらないんです。m-floで取り組んでいた”ポップスのスタンダードでなかったクラブミュージックをいかに一般の人に届けていくか”という課題に取り組むのと同じように”フュチャーされていない音楽やアーティストをいかに世に輩出していくか”を考えて取り組んでいます」(高橋氏)。
はじめはメインストリームではないものを紹介する、ミレニアル世代に響くメディアがなかったことからはじまったサービス。自己資金で運用していたが体制強化やさらなる拡大を理由に今回の資金調達に至った。
同氏は「海外ではドクター・ドレーがbeats by dr.dreをつくったようにアーティストがベンチャーをすることはイレギュラーなケースではありません。自分自身も5年運営して連続で黒字を出していたことが投資家の方々に評価してもらえたポイントで、きちんと結果を残して面白い取り組みをする人が増えていけばいいと思っています」と語っていた。
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