バーチャルのアバターを使ったソーシャルVR/ARを開発するカバー、 シードラウンドでみずほキャピタルやTLMなどから約3,000万円を調達

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東京を拠点とする VR/AR スタートアップのカバーは1日、シードラウンドで約3,000万円を調達したことを発表した。このラウンドに参加したのは、みずほキャピタル、TLM、および、gumi(東証:3903)代表取締役の國光宏尚氏、ユーザーローカル(東証:3984)代表取締役の伊藤将雄氏と、名前非開示の個人投資家1名。

これは同社が先ごろ Tokyo VR Startups(TVS)第2期アクセラレーションプログラムに採択された際、シードラウンドで TVS から1,000万円を調達したのに続くものだ。

同社は今回調達した資金を使って、アニメやゲームを展開する企業が、ファン向けに3Dキャラクターを使ったインタラクティブな番組を生放送できる、AR 対応のバーチャル版ライブ配信サービスを開発するとしている。

同社は2016年、グルメアプリの 30min.(サンゼロミニッツ)などを世に出した、シリアルアントレプレナーの谷郷元昭氏が設立。当初は TECH LAB PAAK の第7期デモデイでも披露した「Ping Pong League」といった軽めの VR ゲームを開発していたが、「そこには需要があまり無いことがわかった(谷郷氏)」としてピボット、4月の TVS のデモデイでは、1ヶ月間という短期間で MVP 作成に漕ぎ着けたという VR/AR 配信プラットフォーム(名称未定)を披露した。

これまで、3D のバーチャルキャラクタを生かせるコンテンツフォーマットとしては専らゲームなどが主流だったが、カバーでは VR/AR とキャラクタの相性がいいことに身をつけ、アバターを使ったライブ配信サービスを手がけることにしたという。

昨今、3D で作成されたバーチャルキャラクタ Kizuna.ai が人気を博し、日本のみならず中国のコアファンなどからも熱烈な支持を得ている。カバーではプラットフォームの開発とともに、自らもバーチャルキャラクタを開発しているが、こちらも正式リリース前から中国の人々からの反応が上々なのだとか。

VR をやれる会社、インターネットをやれる会社は、それぞれいる。しかし、VR とインターネットを両方やれる会社は、それほど多く無い。(谷郷氏)

インターネットに VR が繋がるソーシャル VR の分野では、日本でも Embody.Mecluster.Cynack などのスタートアップが生まれているが、VR を使ったエンターテイメント配信としては、インターネット大手の DMM もサービスを展開している。しかしながら、バーチャルキャラクタのライブ配信を前面に押し出している点で、カバーは新しい市場を作り出せるかもしれない。

カバーではこの配信プラットフォームのビジネスモデルを大きく2つ想定している。一つは C 向けで、アニメやゲームのデベロッパがバーチャルキャラクタを使ってライブ放送をし、ちょうど DeNA の SHOWROOM のようにユーザからバーチャルアイテムを投げ銭してもらう方法。もう一つは、アニメやゲームデベロッパが、バーチャルキャラクタ作品をテレビや映画で本編を流す前の、事前プロモーションを VR/AR でやってもらうという B 向けのビジネスだ。

カバーでは目下、外部デザイン会社、声優事務所などと共にバーチャルキャラクタを開発している。正式ローンチを前に8月中旬位からは、YouTube やニコニコ動画上で、このバーチャルキャラクタを使ったライブ配信の試験運用が開始される予定。こちらも楽しみにしたい。

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