Linden Lab、ソーシャルVRプラットフォーム「Sansar」のオープンベータ版をローンチ

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(上)「Sansar」内にある Apollo Museum
Image Credit: Loot Interactive

Linden Lab は、ソーシャル VR プラットフォーム「Sansar」のクリエイター向けベータ版を公開した。 同プラットフォームの開発は、SF ファンが何十年も夢見てきた没入型仮想世界「Metaverse」の実現に向けた大きなビジョンの一部である。

サンフランシスコを本拠とし、かつて仮想世界「Second Life」をもたらした同社は、4年におよぶ開発を経て、Sansar で VR に歩みを進めようとしている。すでに Sansar マーケットプレイスでは Sansar ユーザが制作した VR 体験が数多く提供されている。

Sansar の製品担当 VP を務める Bjorn Laurin 氏は、GamesBeat のインタビューで次のように語っている。

Sansar は万人向けで、個人、コミュニティ、学校、スタジオ、企業、ブランド、その他のどんなユーザでも Sansar を利用すれば、娯楽用の3D ソーシャル体験を簡単に制作、シェア、究極的には販売もできるのです。

4年に渡る取り組みの集大成とも言える日を迎えることができて、とても嬉しく思っています。

Sansar のオープンベータ版公開は、もう一つのソーシャル VR プラットフォーム「AltspaceVR」が8月3日に閉鎖されることが発表されて数日後のこととなった。AltspaceVR には3万5,000人のユーザがいたが運転資金が尽きてしまった。期待よりも立ち上がりが遅いのが VR 市場の現状だ。それでも、Roblox や Facebook をはじめ Sansar にはまだ数多くの競合がいる。

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(上)Sansar のエクスペリエンス「Autowerks」
Image Credit: Sansar Studios

Sansar は、HTC Vive VR ヘッドセットや Oculus Rift、Windows パソコンで利用できる。Second Life はログインして利用する仮想世界として存在したが、Sansar は様々なエクスペリエンスのコレクションだ。クリエイターはエクスペリエンスを制作して、ソーシャルメディア上でリンクとしてシェアができ、ユーザは直接アクセスできる。そのため、Sansar のコンテンツは誰にでも利用しやすいのだと Laurin 氏は話す。

Linden Lab の CEO、Ebbe Altberg 氏は声明で次のように述べている。

Sansar はソーシャル VR を一般大衆に普及させます。これまでは複雑さや高コストのため、ソーシャル VR のコンテンツを制作・公開できる人は限られていましたが、Sansar はこれを劇的に変革します。限定プレビュー期間中だけでもすでに数多くのバーチャル作品が Sansar で公開されているのを目にして自信を深めると同時に、このベータ版により扉が開かれたことで今後クリエイティビティが爆発的に花開いていくことを心待ちにしています。

公開時点で、Sansar の Atlas ディレクトリにはすでに数百ものバーチャルエクスペリエンスがあり、マルチプレーヤーゲームや名所史跡巡り、アートインスタレーション、映画館や博物館、ナラティブ体験、ジャングルの寺院、360度の映像ドーム、SF をテーマにした場所などがある。

限定アクセスのプレビュー期間中にプラットフォームのプレビューに招待されたクリエイターは何千もの公開・非公開のエクスペリエンスを制作し、ベータ公開の本日(7月31日)、招待は世間一般に対象が広がった。1万4,000名を超える人たちが応募したが、Liden Lab は3,000名に絞った。

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(上)エクスペリエンス「Foggy Night in the Forest 」
Image Credit: Tray Biker

Linden Lab は Sansarでの制作活動がより直観的なものになるツール群を開発した。ドラッグアンドドロップによる編集機能を備え、一般的な3D モデリングツールで作成済みの素材や Sansar ストアで購入した素材のインポートに対応してシーンを簡単に作成できる機能などがある。

ボタンを押すだけで、作品が VR ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使用するユーザが楽しめるホステッド型マルチプレーヤーエクスペリエンスに早変わりする(PC 上ではデスクトップモード)。 どの Sansar エクスペリエンスにも固有のリンクがあり、Facebook や Twitter、e メール、ブログでシェアできるようになっている。

エクスペリエンスの各インスタンスは35個のアバターが同時に利用できるよう設定されており、自動インスタンス生成により利用者数に制限はない。Laurin 氏は、年末までに各インスタンスのアバター数を100に増強するつもりだと話す。

すでに何千もの作品があるものの全てのクリエイターがエクスペリエンスを公開しているわけではありません。(Laurin 氏)

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(上)Sansar のエクスペリエンス「Beach Basketball」
Image Credit: Bjorn/Linden Lab

アバター(自分の分身となるキャラクター)には幅広いカスタマイズのオプションが用意されている。また、Sansar はカメラやトラッカーなどの追加ハードウェアが必要ないリッチなソーシャルインタラクションも提供する。Speech Graphics の技術との統合により、ユーザが HMD やオーディオヘッドセットのマイクロフォンに向かって話しかけるのにリアルタイムで反応して、高い精度でくちびるの動きが同期しており、顔のアニメーションも動くようになっている。フルボディのインバースキネマティクス技術である IKinema の RunTime ミドルウェアを統合したことで、VR ハンドコントローラーを通じて、アバターはユーザの手や腕の動きをリアルに反映する。

Sansar では、クリエイターは Sansar ストアで作品を販売することでお金を稼ぐことができる。将来的には、クリエイターは自分のエクスペリエンスへのアクセスに課金したり貸し出したりすることもできるようになる。ベータ公開時点では、Sansar ストアは世界中のクリエイターによる数千のアイテムを販売している。

TurboSquid との提携により、クリエイター向けに数百の追加の高品質3D モデルがストアでアクセス可能で、今後数ヶ月間でさら何千件かが追加予定である。TurboSquid の StemCell イニシアチブとの統合も計画されており、TurboSquid の3D モデラーのコミュニティが作品を簡単に Sansar ストアにアップロードしたり販売したりできるようになり、クリエイターが手近に利用できる素材集がさらに増強することになる。

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(上)エクスペリエンス「Creative Yong」
Image Credit: Bing/Linden Lab

Sansar の利用は無料で、追加容量やカスタマーサポートが月額9.99米ドルからの有料サブスクリプションを通じて利用可能だ。Linden Lab は1999年に設立、同社の Second Life プラットフォームは史上最大の仮想世界となり、同プラットフォームのユーザによる作品が無数にリリースされた。

Sansar を通じて、同社はエクスペリエンスをよりアクセスしやすくし、さらに多くのユーザを獲得することを目指している。

Laurin 氏は次のように語る。

3D 制作になじみのある人は、1~2日程度でエクスペリエンスを制作できると思います。ですが、誰でも作れます。先日 VR のレッドウッドの森を散歩していたのですが、迷子になってしまいました。エクスペリエンスはそれほど大きなものにもできるのです。今後数週間、数ヶ月、数年の間にエキサイティングなものを目にすることになると思います。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】