
シンガポールに拠点を置くオンライン送金スタートアップの SingX が、シンガポールと香港の富裕層やシニアバンカーがリードするプレシリーズ A ラウンドで450万米ドルを調達した。
SingX は、シンガポールでの顧客獲得や決済ルートの増大、プラットフォームの開発に資金の一部を利用する予定。
また、香港、マレーシア、オーストラリアへの展開にも今回獲得した資金を活用するという。特にマレーシアは SingX が注目している市場である。
SingX の公式プレスリリースには次のように書かれている。
シンガポールには現在35万人のマレーシア人がおり、ローンや請求書、家族向けやその他費用を母国に送金して支払っています。現在、多くのマレーシア人はシンガポールからマレーシアへの送金に非常に煩雑で安全性の低い方法を利用しています。
さらに次のように付け加えている。
こういった方々は、まず外貨両替店の列に並んでシンガポールドルをマレーシアのリンギットに替え、そしてそのお金をマレーシアに直接持ち込み、今度はマレーシアの銀行に並んで預金しているのです。
シンガポールの中央銀行であるシンガポール金融管理局(MAS; Monetary Authority of Singapore)のライセンスを受けている SingX は、今年1月にまずインドで送金サービスを開始した。これは American Express の元社員で SingX の CEO 兼共同設立者 Atul Garg 氏の主導によるものだ。
SingX の強みは、Ayannah や BitSpark といった多くのデジタル送金サービスや、Bitcoin や Toast といったビットコインベースのプラットフォームのように銀行をバイパスすることでより安価(かつ直感的)に利用できる点である。
銀行やその他これまで利用されてきた金融機関を介した送金では、高い電信料、手数料、外国為替換算率を支払わなければならない。しかし、SingX を使えば為替レートはかなり安く抑えられる。例えば、シンガポールからインドに送金する場合、銀行を利用すれば振替手数料として通常約8%が課されるのに対し、SingX ではたった0.5%である。
集中型デジタルプラットフォームにより、最新の為替レートなどの関連情報を明確かつ即座に表示することもできる(銀行振込は通常3日かかる)。また、顧客は振込のために銀行支店に行く必要もない。
Garg 氏は次のように付け加えた。
このプラットフォームは SWIFT(国際銀行間通信協会)や銀行ネットワークの中間プロセスを飛ばしているため従来より速く、振込に1~3日しかかかりません。
しかし、SingX と前述のデジタル送金プラットフォームとの違いは、ブルーカラーの移民労働者ではなくホワイトカラー労働者や中小企業を対象としているところだ。
つまり、SingX はより影響力の強い金融知識の豊富な層を対象としているのだ。この層はフィンテックアプリにも精通しており問題なくこの新しいソリューションを受け入れられると思われる(もし SingX が送金サービスへのアクセシビリティを上げるビジネスモデルであれば、当然ブルーカラー労働者を除外するべきではない。というのも、移民労働者はあらゆる地域の国際送金の大多数を占めているからだ)。
Garg 氏は、SingX の年換算ランレートは1億米ドルに達すると述べた。
また、SingX は最終的に P2P 外貨両替プラットフォームを展開することを目標としているという。
そのうち、P2P 技術によってある通貨から別の通貨へ両替する必要性がなくなっていくでしょう。
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