登山を安全なものにすべく、行動を起こすスタートアップたち【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


Image credit: torsakarin / 123RF

2015年、若き市長である若林洋平氏が率いる御殿場市は、静岡県側からの富士登山者のために、自然災害発生時に緊急のシェルターにもなる頑丈な構造のトイレを設置した(現在では、これらのシェルターにアラームセンサーが設置され、より優れた避難場所になっている)。しかし、今年4月以降、日本のあるスタートアップの技術を使って、御殿場には大きな進展がもたらされている。そのスタートアップの買収を最近発表した通信会社 KDDI を通じての動きだ。

元 Amazon Web Services(AWS)エバンジェリストの玉川憲氏が2014年に設立したソラコムは、かつては日本の電話市場を単一支配していた巨大な NTT グループから借り受けた回線を使って、IoT サービスを提供している。このスタートアップは昨年、モバイルサービス「au」を展開する KDDI に対して、IoT ネットワークの構築を支援することを決めた。これは、富士山への入口である御殿場が、山頂に続く道を使う登山者の追跡システムの実現にあたり協業を決めたのも、この技術が元になっている。

2017年8月10日(新しく制定された祝日「山の日」の1日前の日)、IoT をベースにした追跡実験が実施された。IoT センサーがハイキングルートに沿って設置され、地方自治体のほか、富士山の近くを飛行中の危険に対峙する探索やレスキューのヘリコプターが、富士山への登山者をより正確にカウントできるようにしたものだ。

KDDI の研究所の技術サポートにより、KDDI の LoRa PoC キット(このキットの開発には、ソラコムの技術力が元になっている)で構築された省電力広域通信技術 LPWA(Low Power Wide Area)のネットワークは、今年の富士山の登山シーズンが終わるまで実験が続けられる予定だ。

数年前、モバイルキャリアのイーアクセス買収を試みたソフトバンクに競り負けてからというもの、KDDI は情報通信業界で相応の規模の企業買収を模索してきたと言われる。興味深いことに、最近まで KDDI は別のスタートアップであるコロプラとも協業してきた。コロプラはゲーム業界の強者だが、ここ数年は日本国内の地方コミュニティの活性化のために、IoT や VR/AR の利用を念頭にドローン利用にも積極的だ。さらに、KDDI はトロピカルフルーツの栽培に関連して、福岡拠点のスカイディスクとも協業している。スタートアップらが、KDDI とどのような関係をとっていくかは、今のところ定かではない。

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