ICO世界に蔓延する「風説の流布」と騙しのテクニックとは?ーー詐欺コインの犠牲者にならぬように

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Photo via VisualHunt.com


<ピックアップ> The ICO world is full of pump-and-dump schemes — don’t be a victim

仮想・暗号通貨関連の話題がビットコイン、ブロックチェーンから拡大し、スタートアップ界隈の資金調達環境を変える「何か」として聞こえてくることが増えてきました。つまり、ICOと呼ばれる一連の動きです。

IPO(新規株式公開)になぞらえて新規「コイン」公開と呼ばれるこの手法は実際に実践した人、やろうとしている人、研究している人、メディア、それぞれの思想や考えてることがまとまっておらずカオスでシンプルに面白いです。

ただこのカオスな状態はイコール、絶対的な情報が出しづらく、例えばこういう定量的な話題が比較的多く出回ることになります。上がった下がったは分かりやすくて確かにすごいんですけどね。

勢いを増すICO、2017年に入り既に13億米ドルを調達【Coindesk調べ】

で、当然ながらこういう流動性が高まる場所には香ばしい方々が集まるのが世の常でして、いわゆる詐欺(スキャム)コインの話題が尽きないわけです。

ピックアップしてるVentureBeatのゲストポストはTenXというウォレットサービスを運営する創業者、Julian Hosp氏によるもので、彼らのところにもICOで一発デカく金を集めたいという人々からの問い合わせが寄せられてるそうです。わかりやすい詐欺コイン案件についてシナリオを例示してくれてますので引用してみます。(彼の考えるICO詐欺「サークル・スキーム」については原文を参照ください)

ある日、友人が最新かつ最高にイケてる「投資」を紹介する。調査した結果、すべてが正当なものであるかのように信じ込む。

そのコインはCoincap(取引されるコインがずらりと並ぶチャートサイト)にあるし、そのICO案件は多くのトラッキング・サイトに掲載されている。YouTuberがこのプロジェクトはイケてると話をしている。ーーあたかもベストタイミングでこの案件に出会ったかのように錯覚したあなたはコインに投資をしてしまう。

(詐欺)コインの価値は上がり続け、そろそろ売却して利確しようかと思った時、価格は無情にも下落を始める。慌ててその友人に電話してみると、彼は既に利確しており、もう少し待った方がいいとアドバイスをするわけだ。慌てるな、待て、と。

しかしもう遅い。待てど暮らせど上がる気配はなく、その時は絶対にこない。慌てたあなたはパニック売りをし、大変な損失を抱えることになるだろう。そして自問自答することになる。「私は詐欺コインを買ったわけじゃない、これは正しい投資だったはずだ」とね。

こういった行為は非常に多く規制についても米国とシンガポールなどの一部で動きがある以外はまだまだ曖昧な状態のままです。寄稿者は著名人を担いでるような案件、YouTuberやブロガー、アドバイザーが熱心に推奨するような案件は賄賂が横行してる可能性があると警鐘を鳴らしてます。

その上で彼自身にやってきた提案について暴露してました。手口としてはこんな感じだそうです。

自分たちのトークンセールスに先立って、大型投資家から大幅値引きで購入させてもらえれば今回のICO価格を大きく押し上げるという提案があった。もちろん断った。しかし同じようなトークンセールスを計画している企業にもたらされたら、そしてそこが私たちほどの自信がなければ受け入れてしまうかもしれない。ビッグネームが背後にいるような会社はどういった取引が裏でなされてるのかを考えるべきだ。

私は多くの暗号通貨を保有しているため、例えばとあるサービスにポジティブな意見を言うだけで通常、5桁(時には6桁もの)ドル、もしくは2桁%のトークンの提供を受けることができる。もちろん私のアシスタントはそういった依頼は全て断っているが、こういった依頼を引き受けてしまう輩もいるのだ。YouTuberやソーシャルメディアでのインフルエンサーがとある製品やサービスに対して肯定的、もしくは否定的に話し始めたのであれば、その背後にある可能性について理解した方がいい。

寄稿の最後、彼はこういった詐欺コインに騙されないために、まずトークンやコインの思想、基本的な構造を理解すること、その企業がどういうものなのか、チームが誰なのかをしっかり把握すること、販売されるコインの価格の正当性を理解すること、などを挙げています。

ここ記事に何度も出てくるインフルエンサーとこの詐欺コインの組み合わせというのは本当に最悪で、何となく信頼出来そうな人が何となくテクノロジーっぽい案件を紹介して、何となく儲かりそうで買ってしまった、そしてスキームを理解することなくババを引いた、という状況は容易に想像できそうです。

本件は日本国内でも立ち上がりつつある事象ですので、引き続き注視して、時にはしっかりとした警鐘を鳴らせるよう準備してまいりたいと思います。

via VentureBeat

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