アングリーバード開発元のRovio、IPOで3,600万米ドルの増資計画を発表

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フィンランド企業 Rovio が劇的な転換期を迎えようとしている。同社はモバイルゲーム事業の拡大と買収強化に向けて新規株式公開(IPO)の申請を行ったことを本日(原文掲載日:9月5日)発表した

3,600万米ドル相当の新株が発行される見込み。また、数名の既存株主には、投資資金を一部回収するために公募期間中に株式の売出しを行うことが認められるようだ。

Rovio が本日公開した財務開示資料によると、2017年上半期の収益は2016年上半期の約2倍に増加している。2016年の収益は2015年比で30%以上跳ね上がっている。

アングリーバードが世界的なセンセーションを巻き起こしたおかげで、Rovioは 地球上で最もホットなゲーム企業の一つとなった。しかし、2014年にはそのヒットを生み出す能力も壁にぶつかってしまう。同年12月、同社は状況悪化を防ぐために従業員110人を解雇し、ゲーム開発スタジオの一つを閉鎖した。

アングリーバードをもとにした独自のアニメーション映画を創るチャンスを得て、この試みが成功を収めた。ブランドライセンスからの収益のおかげで、2017年上半期の収益は約3倍の4,100万米ドルに増加した。とはいえ、同期間におけるゲームからの収益についても2倍の1億3,900万米ドルに増加している。Battle Bay と Angry Birds Evolution の2タイトルが収益を押し上げたようだ。Rovio はまだまだ新タイトルをローンチできるゲーム会社であるということを、同社はしきりに強調している。

Rovio で CEO を務める Kati Levoranta 氏は声明の中でこのように語っている。

ゲーム主軸戦略を通じて、ゲームのラインナップを強化することで、主要業績評価指標を改善することができました。

以前にローンチされたRovioゲームに比べて、Angry Birds Evolution、Battle Bay、Angry Birds Match などの最近ローンチしたタイトルは、主要業績評価指標において優れたパフォーマンスを示しており、このことは、さらなる成長の可能性を示唆しています。

だが、IPO から最も利益を得るのは Kaj Hed 氏だろう。同氏は Rovio の元会長で、自身の投資会社 Trema International Holdings を通じてRovio 株の69%を保有しているとも言われている。「特定の株主たち」と共に Trema は保有株式(株数は非公開)を売却する予定であると Rovio は本日の申請の際に述べている。Rovio は公開価格を決めていなかったため、同社のバリュエーションも不明。

しかし、Kaj Hed 氏の存在はRovioのクリエーションにとって不可欠だった。同社は Niklas Hed 氏、そのいとこのMikael Hed 氏、Kim Diker 氏、Jarno Väkeväinen 氏によって設立された。2005年に最初のラウンドで Mikael Hed 氏の父親である Kaj Hed 氏から資金調達を行い、その時に Rovio という社名が決まったのだ。

Mikael Hed 氏は2009年に CEO に就任し、同年後半にアングリーバードの最初のバージョンをリリースした。 2011年には Accel Partners と Atomico が Rovio に対して4,200万米ドルの投資を行っており、現在両社は Rovio 株の20%を保有していると言われている。Atomico と Accel が株式を売却する予定があるかどうかについて、 Rovio は明らかにしていない。

IPOの日程についてもまだ決まっていないようだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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