「9歳の少女もデザインして販売」ーーハンドメイドアクセサリーの作成・購入プラットフォーム「monomy」運営元が総額1.2億円の資金調達を実施

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FUN UP代表取締役の山口絵里氏

ハンドメイドアクセサリーを作成・購入できるプラットフォーム「monomy」を運営するFUN UPは9月4日、総額1.2億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。引受先はベクトルおよび個人投資家2名。株式比率や払込日は非公開だ。なお、既存株主である個人投資家の島田亨氏が社外取締役に就任することもあわせて発表している。

monomyではゲーム感覚でパーツを選び、繋げていくことでオリジナルアクセサリーを作成できる。作成したアクセサリーはオリジナルブランドとしてプラットフォーム上に公開され、自身はもちろん他のユーザーも購入が可能だ。なお、アクセサリーの製作や発送はFUN UPの抱えるクリエイターやスタッフが実施するため、ユーザーに手間はかからない。アクセサリーが購入されると、作成者は売上の10%を収入として換金できる。

 

monomyで着目すべき点はアクセサリーを作って売れるだけでなく、アプリ内がコミュニティ化しているということだ。気に入ったデザインはlikeボタンで保存することが可能で、このlikeを送り合うことによりユーザーがコミュニケーションをとっているのだ。

「投稿してだいたい1〜2分でlikeが入ります。自分で考えて作ったものをlikeされると嬉しいんですよね。monomyで作ったものを褒められることで承認欲求が満たされる、自分のセンスを在庫リスクなく発信できる仕組みをこころがけています」(山口氏)。

実際、取材中にmonomyでデザインをつくってみた結果、公開後1分でlikeの反応があった。コアなユーザーだと1日にデザインを100投稿以上することもあり、累計で1000投稿以上している人も。また1000投稿以上している人は販売実績もあり、自分の商品が販売された後はサービスの継続率が20%以上、投稿率も約4倍程度になる。

同サービスを利用するユーザーはアクセサリーを買いたいユーザーが多いのか、作って売りたいユーザーが多いのか聞いてみたところ山口氏は下記のように答えてくれた。

「実際うちのサービスは作り手がほぼ全員売り手なので、作り手買い手というよりはサービスを楽しむユーザーが多いです。買っているだけの人は3%で、47%が他人のものも買うし、自分のものも買うユーザー、50%が自分で作って自分のものだけ買うユーザーです」(山口氏)。

同社はリリース後から良いコンテンツが集まる仕組みづくりのため、使用できるパーツ数や作成率、like数の増加を目指してきた。そして今回新たなフェーズに踏み出すための資金調達の実施に至った。調達資金はエンジニア採用や横展開のプロジェクト、ECサイトへの在庫を持たない商品出品連携などに充当する。

日本のモノづくりとトレンドを組み合わせて世界に発信したい

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9歳の少女もmonomyでデザインをつくり、販売実績をあげている

販売やバイヤー、商品開発などの事業経験をもとにmonomyを作った代表の山口氏。

同社が目指しているのはハンドメイドアクセサリー市場の活性化だけではない。将来的な展望として日本の生産流通の仕組みの改革を目指している。その第一歩としてアクセサリー分野に取り組んでいるということだった。

「日本の製造率は年々下がり、若者も参入してこないため50%以上が低迷し、工場が日々1件つぶれるような現状です。これらを解決するために製造や流通の適正化やトレンドを取り入れた製品づくりなどに取り組んでいます。

monomyはデザインを消費者が、製造元はプロが担う仕組みで使用できるパーツも百貨店で取り扱うものと同品質のものを工場の方とやりとりさせていただいています。そのため在庫リスクを持たずに良い品質のアクセサリーを提供できます」(山口氏)。

製品のクレームは1度もないそうだ。この仕組みを家具やジュエリーといった他の分野の製造に応用していくことで、トレンドを取り入れた品質の高いアイテムの提供を流通業者を挟まない適正価格で実現する。また、海外展開をすることで日本の技術を海外に広めていくこともできる。具体的なことはまだ決定していないが、ファッション文化が日本と比較的近い台湾を視野にいれているそうだ。

まデータ解析も積極的に実施しており、ユーザーがデザインをする中でわかる「どのパーツが人気があるのか」「年代別でよく作られているデザイントレンド」といった情報もわかっている。これらを活用し、生産者に届けることで無駄のない製造の実現も考えているそうだ。

「日本の良い技術を新しいトレンドでもっと多くの人に知ってほしい」と話す山口氏。サービスの横展開と海外展開、そしてデータ活用による製造改革で新しいMade in JapanブランドをFUN UPが発信していけるかもしれない。

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