施工管理に職人の仕事マッチング、建設業界の業務効率化に取り組むスタートアップ4社を紹介@THE BRIDGE X Lab. Night

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4月より開始した「Lab.」では毎月課題を設定し、課題解決に関する勉強会形式のミートアップを開催している。8月のテーマは「長時間労働問題/建設業編」。本テーマに関して1カ月間にわたり調査やミートアップを実施してきた。

今回は関連するスタートアップ等に話を聞き、この分野に役立つテクノロジーについて整理を進めた。課題調査やレポート作成、スタートアップとのミートアップ実施にあたってはこちらの協賛パートナー企業に協力をいただいた。改めて御礼したい。

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8月31日には今月のテーマに関連するスタートアップ4社がピッチ登壇してくださったのでその様子をレポートさせていただく。

長時間労働問題に取り組むテクノロジー企業4社レポート

<ピッチ登壇企業>

  • 建設会社の案件マッチングプラットフォーム「ツクリンク」
  • 建設の現場仕事と職人をマッチングするアプリ「助太刀くん」
  • 建設業向けの写真共有アプリ「Photoruction」
  • 現場監督と職人を繋ぐ施工管理アプリ「AND PAD」

建設会社の案件マッチングプラットフォーム「ツクリンク」

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ハンズシェアが運営する建設会社のマッチングプラットフォーム「ツクリンク」。建設業における仕事の波や人材不足を解消するためにつくられた同サービスは、登録案件に対して対応可能な職種な人がコンタクトし、実際に条件が合えば制約するといった仕組みだ。

案件の作成に必要な項目は工事内容、人数、どのような工事をお願いしたいか。ハウスメーカーや専門工事会社、建設業を営む個人事業主など1万7千社が登録しており、案件登録時に地域や職種にマッチングしそうな人にメールが送られる。サービス利用時の登録や案件の成約時などは無料で依頼したい案件を目立たせるためのオプションシステムなどの機能のみが有料。流通総額は30億円にのぼる。

2013年5月のサービス開始を振り返って代表取締役の内山達雄氏は「職人がパソコンを使えない、案件に反応があるかわからないという中で案件を作っていくことが大変だった」と語る。現在の登録者の7割はスマートフォンのアプリやWebから利用している。案件で成約した人からの口コミや紹介からの登録が増えており、登録者は受注と発注の両方をプラットフォーム上で実施している。

建設の現場仕事と職人をマッチングするアプリ「助太刀くん」

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2017年9月末にアプリβ版をリリース予定の「助太刀くん」は、東京ロケットが開発した建設現場と職人をつなぐアプリ。同アプリは職人がアプリをスマートフォンにダウンロードし、登録しているだけで自分にあった仕事の案件が届く。

この仕組みを実現するのには約61種と職種が多く、兼業しない建設業界の職人のスタイルが大きく影響している。たとえば壁のボードを貼るのはボード職人、クロスはクロスの職人といったように彼らは働く。また居住地近くの職場を担当する特徴もある。電気工事の分野で現場監督を15年間、さらに電気工事会社を10年経営する同社代表取締役の我妻陽一氏はこの2つの情報を登録するだけでその人が担当できる現場の情報を届けられると気づき、仕組みに取り入れた。

同氏は「機関工事システムなどの部分は効率化されていく中で300万人以上が働く人の部分はずっと変わらない。仲間の紹介で仕事が行き交って電話でやりとりしている」といった課題の解決を目指す。今後は勤怠管理システムや請求書作成の代行システムの開発、支払い機能の付与も検討しており、建設業界で働く人の労働環境の改善を目指す。

建設業向けの写真共有アプリ「Photoruction」

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建設現場向けの業務効率改善システムの「Photoruction(フォトラクション)」は建築や土木生産者がスマートフォンで撮影した工事現場の写真をクラウド上で整理・共有してくれるサービス。同社代表の中島貴春氏によれば「ゼネコンで働く建築技術者は1日5時間程度を事務作業として費やしている」そうで、現場の写真撮影や整理をクラウド化することがこの建築技術者のコスト削減に繋がるとしている。

同サービスは集合住宅の改修やオフィスの建て替え、ホテルの新築といった現場で使用されている。ちなみにホテルの新築で撮影する現場写真は1カ月で3000〜4000枚程度にものぼる。利用者は労働時間の削減や必要なときにすぐに資料を出せない、見つからないといったデータ管理の危機感から利用するケースが多い。

撮影した写真は情報を紐づけることで自動的に整理が実施され、データはエクセルで出力し提出することも可能だ。今後は図面をデータベース化する機能やバージョン管理の機能の追加を予定している。

現場監督と職人を繋ぐ施工管理アプリ「AND PAD」

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オクトの運営する「ANDPAD(アンドパッド)」は現場監督と職人を繋ぐ施工管理アプリ。職人や現場監督がスマホアプリのチャット・日報機能で情報を共有。工事の情報や図面などの資料。工程表、写真といった情報もクラウド上で一括管理できる業務効率化ツールだ。

5億円以下の住宅施工などの小規模施工の現場を中心に利用されており、登録企業数420社、工事件数は6000社にのぼる。利用している職人数は2万人程度。新規導入の際は必ず説明会を開催し、直接利用する職人達に使い方を伝えて利用率を向上させている。

同サービスは複数現場の同時進行の状況把握や連絡・発注ミスを防ぐことを目的としている。同社代表取締役の稲田武夫氏によれば、「100万円以下のリフォームは50%以上がクレームになると言われている」ということ。このトラブルによる工期遅れやクレームによる値下げを防ぐことで職人への負荷を軽減する。

Intellex社との社内基幹システム・資材流通システムと連携して流通情報のリアルタイム確認を可能にするなど提携による連携も進めている。

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