訪日旅行客向け無料SIM「WAmazing」が10億円調達ーー開始約半年で1.2万人利用、セントレアにも受取ロボ設置

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セントレアで実際にWAmazingのSIMを受け取る訪日観光客(写真提供:WAmazing)

訪日外国人向けに無料SIMを配布し観光サービスを提供する WAmazing は9月7日、ANRI、BEENEXTをリードとする第三者割当増資および融資による資金調達を公表した。今回の資金調達ラウンドに参加したのはSBIインベストメント、みずほキャピタル、Sony Innovation Fund、BEENOS、オプトベンチャーズ、静岡キャピタルの6社。個人投資家としては青柳直樹氏と有安伸宏氏も参加している。

調達した資金は日本政策金融公庫とみずほ銀行、静岡銀行からの融資も含めて総額約10億円で、それぞれの株式割当や投融資の比率、払込日などの詳細は非公開。同社では調達した資金で現在提供する「WAmazing」のサービス開発およびそれに伴う人材強化を進める。

WAmazing はスマートフォンを中心とするモバイル通信 SIM と観光案内アプリ、予約案内などがセットになったサービス。開始当初iOSのみだったアプリは8月にAndroid版も提供開始、無料のSIMカードを受け取れる受取ロボットも成田空港第1・第2・第3ターミナルの到着ロビーに加え、中部国際空港(セントレア)にも追加設置された。サービスに関する詳細は前回記事を参照されたいが、アップデートとして予約可能な宿泊施設数が1万件に拡大している。

利用者は約半年で1.2万人、早期10万人を目指す

今年1月にネット関連事業に精通したベテランたちにより創業され話題となったインバウンド事業の「本命」が順当に次のラウンドに駒を進めた。

同社代表取締役の加藤史子さんに開始半年の状況について聞いたところ、アプリインストール数は8月末時点で3.5万件、無料SIMの配布数は1.2万枚となったことを教えてくれた。事前登録や受取が空港のみという仕組み上、SIMカードの配布数はそのまま利用者数と考えていいだろう。なお、前述の通りこれは「iOSのみ」の数値だ。加藤さんは今後の数値見込みについてこう話す。

「WAmazingがターゲットとする香港台湾のユーザーは8割程度がAndroidユーザーです。また約2000名のWAmazingユーザーにアンケートをとったところ約7割のユーザーが1年に1回以上、訪日しています。来訪間隔が想像以上に短い(高頻度で日本に来る)ことで、リピーターもユーザー数増加に寄与すると考えています。 目標では2018年3末までに10万以上のユーザー獲得を目指します」(加藤さん)。

WAmazingは単なる無料SIM配布ではなく、国内情報に不得手な外国人観光客に向けて「ワンストップ」の観光サービスをモバイルインターネットを通じて提供するのがウリになっていた。

一方でタクシー移動やホテル予約、レジャーアクティビティの利用などをシステム的に連携させることはなかなか難しい。サービス開始当初は仕様を探る目的でメールが多用されるやや、人的なミスの発生しそうな取り組みとなっていた。この辺りの効率化はどのような状況なのだろうか?

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「 本当はUberのようにアプリ上で料金確定や行き先指定もできるというのが一番なのですが、日本の法規制などクリアすべき課題がある状況です。一方で宿泊施設の予約機能については8月から日本全国約1万件の宿泊施設がアプリ内で予約・決済完結できるようになりました」(加藤さん)。

なお、無料SIMの提供元となるソラコムは先日、KDDIへの電撃的な傘下入りを決めたが、現時点で提供される料金等の変動はないということだった。同社にとっては仕入れコストに直結するため、この辺りの数字についても注目したい。

SIMを受取れるロボットの拡大については、まだ具体的な名称は開示できないとしつつも、年内には訪日外国人旅行者の利用空港シェア率で8割に達する見込みということだった。

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