
中国発バイクシェアリングのスタートアップ Mobike(摩拜単車) が同社にとって初となるアメリカの都市ワシントン DC に進出した。数あるバイクシェアリング企業がアメリカ中に同様のサービスをローンチする中での同社ローンチとなった。
Mobike についてまとめると、同社は自転車とモバイルアプリのテクノロジープラットフォームを提供しており、利用者は携帯で QR コードをスキャンすることで自転車のロックを解除できる。自転車の強度を持たせるため、自転車はチェーンレス、パンクしないエアーレスタイヤを使用しており、錆びないアルミフレームとなっている。
重要なのは、同社の自転車が「ドックレス」なことで、利用者は自転車をどこにでも乗り捨てることができる。GPS 機能が組み込まれているので、Mobike 側も自転車を見つけるのは簡単だ。

Image Credit: Mobike
2016年に上海でローンチされた Mobike は中国国内数十都市に展開し、その後、3月にシンガポールに上陸したのに続き、イギリスや日本、その他たくさんのマーケットへの進出を果たしている。いまや180都市でサービスが利用可能だが、その大半はまだ中国国内だ。
今回のアメリカ上陸は注目に値する。なぜなら、中国のライバル Ofo がアメリカ最初の都市となるシアトルでローンチしたのが先月のことであり、アメリカを本拠とする競合 LimeBike がアメリカ国内数か所にサービス展開することを今週(9月第4週)発表したばかりだからだ。
資金調達の状況
Mobike は6億米ドルもの資金調達を6月に発表しており、特に Tencent(騰訊)や Sequoia、TPG、Hillhouse Capital(高瓴資本)といった著名な投資家からの支援を受けている。これにより、同社の調達総額は9億米ドルを超えることとなった。同様に、最近になって Ofo(小黄車)も Alibaba(阿里巴巴)や Didi Chuxing(滴滴出行)などから7億米ドルを調達し、調達総額は12億米ドルを超えている。
サンマテオを本拠とする LimeBike が調達した資金は1,200万米ドルと控えめではあるが、同社は米アメリカ市場に特化しているので国内的には十分といえる。というのも Mobike と Ofo は世界中にまたがる数百都市でマインドシェアを押さえるべく熾烈な戦いを繰り広げているからだ。
Mobike はワシントン DCの「鍵となるダウンタウンの各ロケーション」に自転車を配備してアメリカ進出を果たした。自転車には新しいデザインや3段ギアを装備してワシントン DC 市場向けに特に工夫したという。通常 Mobike の自転車はギアレスだ。

アメリカでバイクシェアリングの戦いが勃発していることは明らかで、マインドシェアを獲得するという点ではファーストムーバーアドバンテージが重要となる。しかし、複数の企業が同時期に「先手」を打ち進出してくるとなると今後の展開はまた面白くなる。例えば、あるバイクシェアリングブランドがたまたま最初にローンチしたことで特定の都市を押さえるということもあるだろう。だが、もっとあり得る展開としては、各社それぞれのローンチ計画がかなりの部分で重複する場合、あちこちで激しい戦いが起こり、他社を出し抜く取り組みが行われるようになることである。
LimeBike は今年末までにアメリカ市場で最大40都市への進出を計画しており、Ofo や Mobike も1~2都市だけではなく今後も各都市へとサービスを拡大していくことだろう。
Mobike アメリカのマネージャー Rachel Song 氏は次のように述べている。
当社はアメリカにおいて多数の都市への展開に取り組んでいます。今回の取り組みが多くのパートナーシップの端緒になり、アメリカ中で自転車が最も便利で手頃な値段の交通手段として普及していくと確信しています。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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