ブロックチェーンによる分散型ジャーナリズムの可能性ーープラットフォーム「Civil」が500万ドル調達、独自トークンの発行も

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2017.10.29

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Photo via Visual Hunt

<ピックアップ> Civil Announces $5 Million In Funding From ConsenSys

インターネットが随分と浸透したおかげで、メディアというもの、特にニュースに限らず、本当にごくありふれた日常のアレを食べたとかこういういざこざがあったとかそういう情報がすごいスピードで伝わるようになりました。

情報の爆発によるスピーディーな伝達が可能になる一方、やはりインターネットの功罪、玉石混交の問題はずっと続いていて、大きなものであればFacebookを中心とするフェイクニュース問題はいまだに議論され続けてますし、国内でも昨年に発生した一連のキュレーションメディア事件は記憶に新しいところです。

デマと紛らわしい情報、理念の違う意見というのは紙一重で、この分類についても先の総選挙でファクトチェックが始まるなど、一定の定義・議論が進んでいますが、中でも「あきらかな嘘(偽情報)」のような質の悪い情報についてはGoogleやFacebookなどプラットフォーム側対策を進めています。

こういったいたちごっこが終わらない背景としてひとつ考えたいのが情報生産のコストの問題があります。当然ですが、しっかりとした情報を収集して整理・編集し、読者のみなさんが興味を持てる読みやすい記事にしようとすれば相応のコストと時間がかかります。

で、このコストを支えるモデルにはざっくりと広告やイベントなどのマーケティングモデルと購読モデルがあって、多くのメディアが採用しているのが前者なんですね。細かい分析は長くなるので避けますが、まあ、ご存知の通り、計算式が全て揃ってると思ってもらえれば結構です。こうやればこうなる、という。

一方でこの広告モデルも万能というわけではなく、特にごく一部の業界に特化したような専門的な情報には相性が悪かったりします。そういった場合に使われるのが購読モデルなのですが、売上天井が見えやすかったり、そもそもインターネットの情報にカネを払うという行為にハードルがあるせいか、あまり一般的とは言いづらい状況です。

ただ最近になってこちらにもいろいろ動きがあるようで、例えばオランダの「De Correspondent(コレスポンデント)」がクラウドファンディングで100万ユーロを集めた事例は話題になっていました。

Civilの事前登録ページ。市民によるジャーナリズムの可能性についてメッセージが書かれている。

ちょっと前置き長くなりましたが、この購読モデル、特にクラウドファンディングの進化の一つとしてここに暗号通貨を活用したモデルの模索が始まった、というのが今日の話題です。

Civilが目指しているのが分散型ジャーナリズム・プラットフォームで、10月25日にブロックチェーンの開発企業「ConsenSys」から500万ドルを調達したことを公表しています。Mediumに記載されているCivilの概要を整理するとこんな感じです。

  • 創業者Matthew Iles氏によると「広告やフェイクニュース、外部からの第三者の影響を受けないジャーナリズムのための自立的なジャーナリズム・プラットフォーム」を目指す
  • ライターや編集者、フォトグラファー、ファクトチェッカーなどに対して経済的なインセンティブを提供するほか、独立した諮問委員会を設置することで公平で客観的かつ専門的なガバナンス構造を提供する
  • ジャーナリストはこのプラットフォーム上で自らの記事を発行するためのチームを組むことができ、読者はこれら個々のジャーナリストをスポンサードする。これらの取引にはブロックチェーンベースのスマートコントラクトが適用され、Civilは独自トークン「CVL」の発行を計画している
  • Civilはローカルニュースや政治、調査報道に力を入れる

まだ詳細はこれから、という感じですが、いわゆる非中央的なメディアプラットフォームでありながら、その情報の正確性や正当性を諮問機関によって担保し、かつ、こういった「ボランタリー」な活動を何らかのトークン発行によって支援しようというモデルが浮かび上がってきます。

なんていうんでしょうか、どこかのブログプラットフォームで書かれてる自由な記事が第三者機関によってきちんとチェックされている上に、読者からの支援でしっかりとそのコスト構造もカバーされている。さらにそのトークンを保有する人、つまりその情報を支持する人たちが増えれば増えるほどネットワーク効果が働き、トークン自体の流動性や価値も高くなる、といったところでしょうか。

実はこういったジャーナリズム活動はオープンソースソフトウェア(OSS)開発と通じるところがあると思ってまして、そういう意味ではイーサリアムの提唱者、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏のこのインタビューに共感を感じる部分がありますね。

実際にトークンをどのような形でプロジェクトに組み込むのか、ユーザーに与えられるベネフィットは何になるのか、それは継続的なものなのか、などなど、気になることは沢山ありますので引き続きプロジェクトウォッチして参りたいと思っております。

via Medium、Coindesk

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