USVフレッド・ウィルソン氏が指摘する「ICO詐欺」見分ける5つのポイント

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Photo via Visual hunt

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有名人を担いだ詐欺って定期的にニュースになるもので、日本でも古くは円天事件なんてのもありましたし、ここ数年で言えば芸能人ブログのステマも広義でそこに入れていいと思います。ペニーオークション事件など気がついたら懐かしいものになってしまいました。

で、最近の流行りと言えばやはりこれ、ICO詐欺でしょう。

中国で無条件禁止されたのは記憶に新しいですが、米国韓国シンガポールフランスベトナムなどなど、各国でもそれぞれガイドライン的なものや警告を出しているのが連日ニュースで流れてきています。日本もやや遅れてつい先日、イエローカードならぬ注意喚起が金融庁から出されていました。同時に、クラウドファンディングや暗号通貨関連の情報を積極的に発信している森・濱田松本法律事務所の増島雅和氏もICOについての考察を発表するなど徐々に日本国内での方向性も見えつつあります。

しかしその一方でこのICOそのものについては当然ながら正当性があり、例えばブロックチェーンベースのアプリケーション基盤になりつつあるEthereum(イーサリアム)のICOの意義についてはこのインタビューにある通り、OSS的な活動を支える「進化したドネーション、クラウドファンディング」としての価値が高く認められるわけです。ジャーナリズムのような公共性が認められる活動にもトークンセールスは相性がいいかもしれません。

では、どうやって本物のICOと詐欺を見分けたらいいのでしょうか?これについてブロックチェーン分野にいち早く支援参加している著名キャピタリストのフレッド・ウィルソン氏がその方法として次の5項目を挙げています。ちなみに彼は2011年頃からブロックチェーンやビットコインについて研究していて、エクイティだけでなくトークンに対しても投資する「ハイブリッド型」としてゆるくポジショニングされています。

  • プロジェクトの複雑さと集める金額に相関性はあるか
  • ブロックチェーン技術による分散化アプローチを必要とする非常に明確な使用例
  • プロジェクトが追求する機会の大きさに基づく合理的な評価
  • 信頼できるチーム
  • 少なくとも実証可能なところまで構築されている技術

そもそもICOプロジェクトのホワイトペーパーに記載されている「これからできるであろう」プロダクトの概要をGithubでチェックして「これはイケる」と判断できる人は投資的なセンスだけでなくプログラミングにも精通してなければなりません。また、こういった暗号通貨を投資に回せる人というのは、暗号通貨コミュニティに初期からコミットしている人や、ウィルソン氏のように専門的な知識を持っているごく一部の投資家・ファンドであって、ETFで手軽に資産運用と考えている個人投資家でないことは明らかです。

ややこしいのはここにセレブっぽい人たちや識者が広告塔として出現していることですね。

彼のブログが指摘している、ニューヨークタイムズが取り上げたこの記事にある通りで、それなりに有名なセレブが「みんな!このトークンはお買い得よ!」ってやってる訳ですからまあ、なんか言いたくなるのもよくわかります。ちなみにトークンは先の増島氏の考察にある通り、現時点で少なくとも国内については「(二次流通『も』可能な)仮想通貨で購入するクラウドファンディング」という認識なので、マーケティング自体は詐欺にはなりません。

詳しくは考察読んでもらえばわかると思いますが、このセレブたちはあんまり本質的でない二次流通時の値上がり期待を煽ってるのでアウト、ということですね。(ちなみに国内では考察にある通り、取引所が新しい仮想通貨を取り扱う際は金融庁による審査を受ける必要があるので、セールス時点で「交換所での取り扱い間違いなし!」とかやると本格的に詐欺にあたる可能性があります)

ちなみにICOというか、トークンのクラウドセールスについては機会あれば国内投資系の方々とも意見交換していますが「様子見」が多く、情報収拾されている方との知識差は広がりつつあります。

via AVC

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