
Photo credit: Lalamove
シリーズ B ラウンドで3,000万米ドルを調達してわずか9か月後、香港を拠点とするオンデマンド物流スタートアップの Lalamove は本日(10月11日)、新たに1億米ドルを調達したと発表した。
シリーズ C をリードしたのは、Shunwei Capital(順為資本、Xiaomi=小米社長の Lei Jun=雷軍氏が設立)で、これに Xiang He Capital(襄禾資本)や MindWorks Ventures(概念資本)などの既存投資家が参加した。同社がこれまでに調達した資金総額は公表されたもので1億6,000万米ドル、この業界では最高額の部類に入る。
中国本土では Huolala(貸拉拉)、他の地域では Lalamove として知られる同社は現在100都市で事業を展開しており、2017年末の目標として設定した水準をすでに達成している。
展開地域の多くは中国で、国内でのLalamove の「市場浸透率は80%」だと同社設立者兼 CEO の Shing Chow(周胜馥)氏は話している。残りは東南アジアおよび東アジアの諸都市、つまりシンガポール、ホーチミン市、バンコク、マニラ、台北、そしてもちろん香港だ。
新規で獲得した資金は、ベトナムでの事業拡張やマレーシア、インドネシア進出のほか、人材採用、新機能導入のために活用される。
Shing Chow 氏は次のように述べた。
当社では、クリティカルマスに到達した都市、つまり大規模な主要都市に注目しています。ここには多くの分断ポイントがありますので、物流の改善が求められているのです。
中国の物流市場の規模は1.7兆米ドル相当だという。そしてこの業界は東南アジアで経済の15%を占める。
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競合の先を行く
コンサル企業 Bain での勤務経験がある Chow 氏は、数年にわたるプロのポーカー選手としての賞金をもとに2013年に Lalamove を設立した。当時彼は Uber に魅せられていた。そして、同じコンセプトを至るところで応用してみようと思ったという。
Lalamove では、クライアントのためにラストマイル配送を行うトラック運転手を募集し、Uber のように手数料を徴収する。誰でもアプリを使って配送できるが、Uber とは異なり、同社が相手にしているのは大半が中小企業(SME)だ。現在、200万人のトラック運転手と1,500万を超える登録ユーザがいる。
Chow 氏は Tech in Asia に対し、いくつかの都市では採算を確保できるようになったと話してくれた。
スタートアップにとって最も簡単なことは、市場に適合した製品を持ち合わせていることを証明するために資金を使うことです。誰かがサービスに対価を支払う際、製品の必要性を示すだけでいいのです。当社では、これを収益確保に向けた最優先事項としました。「デフォルトが死」ではなく、「デフォルトが生」であるようにするためです。生き残るために外部資金に頼りたくありません。

Photo credit: Lalamove
Lalamove は、提供サービスの一貫性とターゲットとする顧客の種類のおかげで財務実績が達成されているとしている。SME のロイヤルティ維持は難しくない。割引よりも、取引実績やサービス品質が決め手となるからだ。この点、販促を利用してサービスを簡単に乗り換えてしまう個人顧客とは異なる。
同社で国際事業を率いる Blake Larson 氏も以前、Tech in Asia に対して補助金とは縁のない戦略について語ってくれた。実際、同社の経営は効率的で、100都市で社員は1,500名しかいない。彼によると、中国では「何百社」という同業他社がしのぎを削っていたが、値下げ合戦を経てほとんどが共倒れしてしまったという。
今では、当社を含め2社しか残っていません。(Larson 氏)
もう1社は、中国のクラシファイドサイト58.com(58同城)からスピンオフされた Wuba だという。
東南アジアでは、GoGoVan、Deliveree のほか、昨年のシリーズ B ラウンドで3,000万米ドルを調達した Ninja Van といった競合がいる。
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次の手とは
Lalamove は、企業がより多くのトラックに直接アクセスできるといった新機能の開発に取り組んでいる。API 統合サービスも展開しているので、クライアントは Lalamove のアプリではなく自社の配送管理システム経由でアクセスが可能になっている。
また、現在46分もかかっている運転手による平均配送時間をさらに引き下げたいとも考えている。Chow 氏はこう話す。
配送情報は瞬時に処理されますが、実際の品物の配送はまだ緩慢です。これを変革したいです。当社の目標は、事業拡張関連にとどまりません。注文量と一貫性を高めるところにあります。
【via Tech in Asia】 @techinasia
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