台湾AppWorks(之初創投)が第15期デモデイを開催——8割のチームがEコマースとAIに特化、歴代輩出チームの企業価値は計約1,800億円を突破

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アジア最大のスタートアップアクセラレータ AppWorks(之初創投)は9日、AppWorks Demo Day #15 を開催し、合計25チームのスタートアップが登壇した。そのうち、Eコマースと人工知能、IoT が20チームを占め、スタートアップの新しい技術トレンドの変化を見て取ることができる。

Jamie Lin(林之晨)氏:「大東南アジア市場こそ、台湾が活躍できる場」

台湾の EC 大手二社、PChome(網路家庭)と Shopee Taiwan(楽購蝦皮)の激しく戦う中、Lin 氏は Shopee の親会社である SEA が アメリカでの IPO にあたって公開した目論見書に、「大東南アジア市場」という概念が含まれていることに言及した。

簡単に言うと、大東南アジア市場とは、ASEAN 11カ国に台湾を加えたものだ。(中国・台湾などを加えた)大中華市場には隔たりができ、かつての大中華市場のモデルは現在の状況に合わなくなっており、むしろ、と運アジアにおいて活躍の場があり、これは経済上の共通点が多かったり、トレンド動向が似ていたりすることからも明らかなのだという。AppWorks が輩出したチームのその後を追跡したデータによれば、彼らはまず台湾で安定したビジネスモデルを確立し、次に東南アジアへと進出している。つまり、大東南アジア市場とは、台湾の新しいポジショニングとしては自然の流れなのだ。

このほか、Lin氏はこれまでに AppWorks から輩出されたスタートアップの数字を公表した。輩出スタートアップの数は323社、年間の合計売上総額は13億米ドルに達し、5,696人分の雇用を生み出し、調達金額総額は4.5億米ドル、企業価値総和は16億米ドルを超えた。

今回の Demo Day #15 に参加した25チームのうち韓国から初めて2組が参加、また今回の創業テーマには、人気の AI、Eコマースと IoT が含まれ、これら3つのバーティカルで20社を占めた。継続的に人気を集める FinTech や O2O などの多元領域は、台湾と大東南アジア市場のデータエコノミー起業の盛り上がりを示した。

1. 骨伝導ウエアラブルリング「ORII」

香港のスタートアップ Origami Labs が開発するスマートデバイス「ORII」は、世界初の骨伝導技術を用いたウエアラブルリングだ。指に装着後、耳穴に指を入れてことで、振動を通じて電話をしたり、状況を伝えたり、Siri を制御したり、手軽に情報を伝えたりできる。

ORII は国際的なクラウドファンディングプラットフォームを通じて40万米ドルを調達しているが、すでにその達成率は1,100%に達し、第一陣の製品は来年2月に消費者に届けられる予定。ユーザは、アメリカ、日本、イギリス、台湾、香港に広がる。

創業者の目標は、ORII を次世代のワイヤレスデバイスに育て上げること。台湾で ORII を立ち上げた理由は、台湾には素晴らしいエンジニアがいるからとのことだった。

2. Facebook をパワフルな E コマースプラットフォームへと変える「FBBuy」

FBBuy は、Facebook でのショッピングに特化した設計となっている。

消費者は、販売者の商品内容の投稿に「+1」というコメントを残すだけで購入が完了し、一方、販売者はシステマティックなデータ収集により、受注状況を容易に把握することができる。販売者は Facebook 上で広告を使うことなく月に数万件の業績を作り出すことが可能で、販売者が自前でウェブサイトを設置した場合よりも明らかに大きな売上となる。

Facebbok Live と組み合わせれば、Facebook Live 内での「+1」のメッセージ投稿により、その場で直接購入することも可能。ユーザ数は現在40万人で、平均客単価は1,827ニュー台湾ドル(約6,700円)、2017年には流通額が10億ニュー台湾ドル(約36.7億円)を超えた。

3. 価格比較で不動産購入時の最強シンクタンクとなる「Leju(楽居)」

Leju Technologies(楽居科技)は、不動産の最良価格を調査し、実売価格を登録するウェブサイト「Leju(楽居)」を運営。ユーザは道路名や町名を入力するだけで、基隆(キールン)から新竹(シンチュウ)の街まで26,541軒の集合住宅物件の情報をすぐに閲覧することができる。サイトがローンチしてから8ヶ月だが、メンバー数は15,000人を超え、月間ページビューは140万件を超えた。

現在のところ、Leju は消費者が不動産市場を最も効果的な方法で理解できるよう支援すること、プロフェショナルなブランドイメージを作ることにコミットしている。将来的には、広告収入を増やすため、建設会社やコンサルティング会社と協力することを予定している。

4. 成果を直接目にすることができる、韓国発のアパレルショッピングプラットフォーム「Codibook」

女性は一人あたり、洋服を選ぶのに平均4,000時間以上を費やしていると言われる。「Codibook」は韓国最大のファッションに特化したショッピングプラットフォームで、洋服を購入する際の面倒を解決してくれる。韓国のアパレルブランド50社以上、人気商品8万点以上、指を動かしクリックするだけで洋服を選べ、選んだ洋服を組み合わせて見られるのが最も便利な点だ。

現在、全世界でのダウンロード数は180万件で、月間売上は50万ドルに近づいている。アメリカ、日本、香港、カナダ、オーストラリア、台湾で熱狂的な購入ユーザを増やしており、韓国では若年女性の30%が Codibook を使っている。台湾でのユーザも毎年増加しており、台湾市場の開拓を目指し Codibook が本プログラムに参加した。

5. アダルトビデオ特化サーチエンジン「PPAV」

PPAV のチャットボットは、ユーザが欲しいアダルトビデオを見つけられないというユーザの面倒を解決し、女優の名前、タグ、情報を入力するだけで、ビデオの情報を提供するほか、何人の人が見ているかもわかるのでユーザは安心して選ぶことができる。また、画像認識機能により、女優の顔写真を使った検索も可能。

Facebook Messenger 上ではポルノメッセージの交換は禁じられているため、現在、PPAV のチャットボットは Telegram 上に実装されている。チャットボットに特化しているのは、ユーザがビデオを選ぶ際、よりプライバシーを求めていると PPAV が考えているからだ。

6. チャットボットのための Google Analytics「Botimize」

Botimize」は、チャットボットの AI エンジンだ。チャットボットを運営する企業が自ら AI を使ったスマートサービスを提供できるよう、マシンラーニングと自然言語処理技術を用いて、チャットボットの処理や、感情・対話イベント・頻度などの細部を開発チームが分析・最適化するのを支援する。

現在、アメリカ、シンガポール、韓国、イスラエルに顧客がいる。顧客との対話品質向上や、将来的にはより効果的でユーザフレンドリーなサービスを提供すべく、多くの台湾の企業が Botimise と協業している。Chatbot 分析についての話題のとき、チャットボット界の Google Analytics として Botimize を認識してもらえることが目標。

7. Facebook を使ってマーケティングするチャットボット「Mr. Reply」

プライベートメッセージを使ったチャットボットの利用方法は特に驚くべきものではないが、「Mr. Reply」の Facebook AI Chatbot はメッセージの回答にまでもう一歩進めたもので、消費者が事業者にメッセージを出すと、それに対してすぐに予め用意してある情報を回答してくれる。メッセージの開封率は90%と高い。

消費者とのメッセージでのやりとりは、ファンページの自然流入率を向上させ、広告予算を著しく減少させる。この素晴らしいマーケティング効果によって、同社は800人以上のユーザを抱える、多くの大企業につながることができた。大企業顧客の顔ぶれには、香港印刷業界のリーダーである e-banner や、香港最大のオンライン生鮮食品デリバリサービス Ocean Three などがいる。

8. マレーシア発、独自開発製品を届ける、メイカー向けの電子パーツ E コマース「Cytron Technologies」

Cytron Technologies」は、マレーシア最大の電子パーツ E コマースプラットフォームだ。Cytron はロボットコンテストといった超ニッチ市場から着手し、小中学校市場へのリーチをにらみながら、大学生市場への進出した。

現在のユーザ数は5万人以上で、年間売上額は150万ドルを超えた。海外17カ国で営業している。Cytron はまた、メイカー同士が互いに対話できる情報プラットフォームも提供している。これまでに、400件以上の文章がアップロードされ、多くの先輩メイカー達によって、それらの質問がサポートされている。

初心者が購入、組み立て、ローヤルカスタマーを育てる計画を立てられるようにするため、最初の段階で2,000以上の製品が用意されている。

最初の段階で2,000件を超えるアイテムが用意され、初心者向けの購入・組立手段、計画的なローヤルカスタマーの獲得方法が提供される。

アプリ・ウェブサイト・ドメインなどのデジタルアセットを自ら売買できる「FlipWeb」

トラフィックが得られるウェブサイトが運営できるようになった後、それを売りたいと思ったことはないだろうか?

FlipWeb」は、アジアで唯一のデジタルアセット仲介プラットフォームで、アプリ、ドメイン、ウェブ、Facebook のファンなどの資産をユーザ同士が取引するのを支援する。サイトが立ち上がってからまだ3ヶ月だが、取引委託された案件の総数は1,000万件を突破した。

AppWorks では、第16期の2回目の募集を開始している。応募はこちらから。

【原文】

【via TechOrange】 @TechOrange

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