AIによる大量生産、視聴者による大量消費時代。 短尺動画はいくらでも作れる時代へ

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ピックアップ :  Automated video creation startup Wibbitz raises $20M

短尺動画メディアが全盛期を迎えて1年以上は経ったでしょうか。Facebookを開けば1日1回は料理動画やガジェット紹介動画を見かけるようになり、ニュース動画に関しても ホウドウキョクタイムライン など多くのメディアがコンテンツ配信しています。

動画メディアの売りは、1分程度で手軽に面白いコンテンツやホットトピックを理解できる点です。特に難解な内容を扱うニュースメディアが、フォーマットをテキスト記事から動画にするインパクトは大きいでしょう。

実際Facebook動画市場における視聴割合を見ると、エンタメコンテンツが61%を占め圧倒的ですが、ニュースが10%を占めて市場第2位。各メディア毎の月間合計視聴数を見ると、エンタメ部門1位「 Bright Side 」が157億視聴である一方、ニュース部門1位「 Now This 」は194億視聴と、メディア単体で見ればニュースコンテンツ市場の方が拡散力が大きいです( tubularinsights より)。

このニュース動画市場にAIを用いた自動化制作の仕組みをもたらそうとしている動きが加速しています。

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Wibbitz はニューヨークを拠点とする動画制作スタートアップ。2017年10月に2,000万ドルの資金調達を行っています。

同社はAIを用いたテキスト記事解析を行い、重要なポイントのみを盛り込んだ1-2分の短尺動画を自動制作するシステムを提供しています。顧客にはUSA TODAY、Time Inc、Aol.が名を揃えています。素材動画をReutersやGetty Imagesからライセンス提供してもらい、自動で素材を組み合わせることで「それっぽい」動画を制作する仕組みです。

ちなみにアジアでもAIを使った動画制作スタートアップ「 GliaCloud 」が同様のサービスをローンチさせています。また、スマホで撮影した動画素材をAIで解析して即座に短尺動画を編集できる「 Octi 」も登場してきており、AI動画制作市場は熱を帯びている印象です。

「バズの弊害」がやってくる

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さて、動画制作が自動化される時代では、かなりクリエイティブな制作スキルを持ったソーシャル広告専門制作エージェント「 VaynerMedia 」であったり、著名YouTuber「 Casey Neistat 」のような存在しか生き残れないと感じます。簡単なスキルを持つ人へ動画制作プロセスをクラウドソーシングする必要すらなくなる時代が、数年以内に日本へもやってくるでしょう。

逆に言えば、テキスト記事を地道に書き溜めていたメディアが自社あるいはクラウドで動画制作担当を雇わずとも、安価で動画市場へ手を伸ばせられる大きな光明を得られる機会がやってきたとも言えます。AIによって参入障壁が下がった分、さらに短尺動画市場が熱を帯びるのは間違いないでしょう。

前述のNow Thisは自社編集チームを雇い、ネイティヴ動画広告であったり、Huluのような配信先プラットフォームからの収益化を図っていました。

Now Thisを始めとする分散型メディアはFacebookやTwitter、YouTubeなど各SNSに多くのサブスクライバーを持つからこそ、ネイティブ広告の引き合いが強かったです。また、これまで高速で素材動画を編集し、バイラルコンテンツを量産してきたからこそ配信プラットフォームからも声がかかっていました。

しかし、今では資金力さえあればサブスクライバーを買える時代。また、Wibbitzのようなサービスが普及すれば動画編集チームを自社所有しなくても競合他社と同質コンテンツを配信できます。つまり拡散力と自社編集チームの規模で戦ってきた新興動画メディアの常識が覆る様相を呈しているわけです。

一方、ここで新たな問題となるのは、バイラルしそうなネタの食い合いが始まる点にあります。

確かに短尺動画を量産すれば、どのメディアも簡単に、かつ短期間にファンへのリーチ数を増やすことは可能となりました。必要なのは資金力と流行りそうなトピックをいかに高速かつ大量に配信できるかだけ。ですが、視聴者にとってみれば、複数メディアから同じようなコンテンツが配信され、ニュースフィードを埋め尽くすのだからたまったものではありません。

「シェアをされないと意味がない」。SNSでコンテンツ配信をするメディアにとっては耳にタコができるほど聞き慣れた表現かもしれませんが、似通ったコンテンツが世の中に出回る「バスの弊害」とも言うべき市場構造が新たな課題となると言えるでしょう。

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ここで伸びてくるのがライブ動画市場です。ライブ動画では、場を盛り上げるタレント性が要求される一方で、他社には真似されないという大きな特徴を持ちます。テックコンテンツ動画を配信する「 Cheddar 」は短尺動画市場で発生する「バズの弊害」に気づき、ライブ配信に特化しています。

Cheddarは1時間程度のライブ動画配信をSNS上で日々行うメディア。 月間視聴数は2億視聴、1時間当たりのライブ動画視聴数は20-30万、2017年には1,100万ドルの収益を予想しています

同社はNow This同様にネイティブ広告や、Sling TVやPluto TVのようなストリーミング配信プラットフォームからの収益化を図っています。長時間ライブ動画の特性上、バイラルさせることは厳しいかもしれませんが、OTT(Over-The-Top)市場からのオリジナルコンテンツニーズを十分に満たす体制を持ち合わせています。

動画市場は全盛期を過ぎてバイラルさせるだけでは生き残れなくなりつつあります。バズらせることを念頭に置いていたパブリッシャーの優位性がテクノロジーによって崩れさっていくなか、ライブ動画メディアを中心にオリジナリティを出せる企業が勝ち残れる市場情勢が立ち上がりつつあると言えるでしょう。

via TechCrunch

 

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