電通ベンチャーズ、DNA合成スタートアップのTwist Bioscienceに出資

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Twist Bioscience のチーム。前列中央が、共同創業者で CEO の Emily Leproust 博士
Image credit: Twist Bioscience

電通ベンチャーズは15日、サンフランシスコを拠点に DNA 合成効率化の独自技術を開発・保有する Twist Bioscience に出資したことを明らかにした。Twist Bioscience は今年3月からシリーズ D ラウンドで6,000万ドルを調達し6月にクローズしているため、電通ベンチャーズが参加したのはシリーズ E ラウンドと推定される。なお、電通ベンチャーズの出資金額、シリーズ E ラウンドにおける他の出資者等については不明。(15日11時30分更新:関係者によれば、電通ベンチャーズが参加したのはシリーズ D のエクステンションラウンドで、出資金額は数億円程度と見られる)

Twist Bioscience は2013年の設立以来、合計2億ドル以上を調達しており、Pitchbook などの情報を総合すると、現在のバリュエーションは4億ドルを超えるとみられる。

Twist Bioscience は、DNA 研究者の Emily Leproust 博士(現 CEO)らにより2013年に設立。従来の製造プロセスに比べ、高効率・短納期・低価格で、DNA合成を可能とする独自技術を開発・保有しており、顧客ニーズに応じた DNA を提供するスタートアップだ。従来型のプラスチックプレートではなく、独自開発したシリコンプレート上で DNA を合成することでそのプロセスを効率化、新薬発見・新素材生産・農業・学術研究・医療診断などの分野への応用が期待される。これまでに、マイクロソフト、Ginkgo Bioworks、Desktop Genetics らと提携し DNA 合成エンコーディングデータなどを販売、昨年にはイスラエルを拠点とする生物学者向けソフトウェアプラットフォーム Genome Compiler を買収した。

Twist Bioscieince は、Leproust 博士が2001年〜2013年に在籍した、ライフサイエンス関連大手のアジレント・テクノロジー(NY証取:A)から、Twist Bioscieince の DNA 合成技術が知的財産の盗用に当たる(アジレント在籍時に獲得した技術を元にしている)として、今年に入り訴訟を受けている。しかし、Twist Bioscience の主張によれば、Leproust 博士がアジレントを2013年に退社後に、Twist Bioscience が用いる DNA 合成に関する暫定特許が Twist Bioscience の2名の共同創業者によって申請されたとしている。一方でアジレントは2013年、Twist Bioscience の競合にあたる Gen9 に2,100万ドルの出資を行なった(Gen9 は今年1月、Ginkgo Bioworks によって買収)。

Twist Bioscience では今後、新たに調達した資金を活用し、創薬や DNA を大容量記憶装置として利用するデータストレージなどにも事業領域を拡大する予定だ。

電通ベンチャーズは今回の出資を通じ、Twist Bioscience と電通グループの顧客やパートナー企業とのアライアンスを促進し、Twist Bioscience による革新的ビジネスの開発を支援するとしている。電通ベンチャーズからライフサイエンス系スタートアップへの出資は増加傾向にあり、最近ではガン早期発見スタートアップのGRAIL、家庭向けの分子レベル健康チェックデバイスを開発する「Cue」などに資本参加している。

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