
ネット通販向けにオープンソースの e コマースプラットフォームを提供している Reaction Commerce は、シリーズ A ラウンドで850万米ドルを調達した。この案件をリードしたのは Google のベンチャーキャピタル部門 GV で、その他に CrossCut Ventures、Double M Partners、Joanne Wilson 氏、Female Founders Fund も参加した。
カリフォルニア州サンタモニカで2013年に Ongo Works として設立された Reaction Commerce の「プラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)」を利用する小売店は、カタログ、製品、在庫管理、商品販売、決済、業務処理その他あらゆる業務を対象とするツールを入手できる。基本的に同社の有料サービスは店舗やマーケットプレイスをデプロイ・ホストするエンドツーエンドのプラットフォームとなっているが、Reaction Commerce のコードベースには誰でもアクセスできるため、自社のニーズに合わせたカスタマイズや拡張が可能だ。

Reaction Commerce のプラットフォームはすでに単独運営の店舗向けに提供されているが、同社は本日(10月30日)、複数店舗を抱えるマーケットプレイスもサポートすると発表した。これには、店舗の追加、複数店舗での決済、個々の店舗のブランディング、個別の注文サポートといった機能が含まれる。
これまでの展開
Reaction Commerce が運用開始されてから4年が経過しているが、プラットフォームの一般向け利用を公式に発表したのは2017年3月のことだった。では、それまでの数年間はどのような状況だったのだろうか?
同社共同設立者兼 CEO の Sara Hicks 氏は VentureBeat にこう語った。
当社では、足かけ4年ほどを費やして Reaction Commerce を構築し、カタログおよび在庫の管理から決済処理、商品発送、税務処理など小売店やブランド側にとって必要だと思われる全てのコア機能をサポートできるようにしました。
当社が管理する(有料)プラットフォームは、小売のアプリケーションをスケールするのに必要な全てのホスティングとソフトウェア開発手法「DevOps」も取り扱っています。当社はオープンソースのコミュニティで積極展開していますし、サポートや貢献の面で成長していますが、その他の分野では意図的に目立たないようにしています。
月間インストール数は2,500を超えるという。正確に言うと、このインストール数は必ずしも有料顧客数というわけではない。「店舗やマーケットプレイスを Reaction Commerce 上で構築するか、既存の店舗を当社に変更すること」に関心を示した企業の数だと Hicks 氏は述べている。ただし、Reaction Commerce を使ったオンライン店舗を積極的に管理している企業名(もしくは企業数)については明言を避けた。
フォーチュン誌上位10社やインターネットリテーラー500社からバーティカルでネイティブなスタートアップに至るまで、その他様々な主要ブランド企業から引き合いがあります。

オンラインのマーケットプレイスは、いわゆる「デジタル経済」を発展させている主要素であるが、買い手と売り手をつなぐことで Uber、eBay、Amazon、Airbnb といった有名ブランドが数十億米ドル規模の会社になっている。このコンセプトはスタートアップのエコシステムを通して染みわたり、物流、現地での売買プラットフォーム、ニッチなネットオークション業者、手芸アートや手芸のコミュニティ、人材採用、中古ファッションなどを対象とするマーケットプレイスに相当の投資がなされてきた。Stripe などの決済処理業者もマーケットプレイスの成長を取り込みつつある。
Reaction Commerce には5,500人のデベロッパーを抱えるコミュニティがあるとしているが、この会社が持つオープンソース的な要素も特に興味深い。しかしながら多くの e コマースプラットフォームも、コア機能としてオープンソースの要素を持つ方向に向かっていることにも留意すべきだ。その代表例に Magento がある。同社は2011年に eBay により買収され、その4年後にスピンオフされた。
しかし Reaction Commerce は目新しい機能を付けてローンチした。同社は現代的なテクノロジースタックを重視しつつ、新たな e コマースプラットフォームの開拓を求めて成長する企業をターゲットにしたい意向だ。実際、最近のインターネットリテイラーのレポートによると、約半数のネット通販企業は e コマースプラットフォームの変更を希望しているという。
Hicks 氏はこのように述べている。
小売店はデジタル戦略への投資を目論んでいますが、その大部分は技術の近代化が占めています。Reaction Commerce はこうした店舗に対し、迅速に行動し統制を図るのに必要な柔軟性を提供しています。当社ではよく、コマースは「誰もが同じものでよいわけがない」と言っています。ですから、オープンで完全な拡張ができるプラットフォームが現代の小売業には欠かせないのです。
Reaction Commerce はシードラウンドにて現地企業やエンジェル投資家から約320万米ドルを調達してきた。今回850万米ドルを獲得したことで、新たなプラットフォーム機能を開発し、エンジニアリングおよび製品開発チームを拡充する計画だ。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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