これはトリプル・ダブリュー・ジャパンにとって、2016年7月に実施したシリーズ A ラウンドでの5億円の資金調達(うち1億円は、みずほ銀行と日本政策金融公庫からの借入)に続くものだ。トリプル・ダブリュー・ジャパンへの出資は、ニッセイ・キャピタルは2015年4月のシードラウンドで、2020 はシリーズ A ラウンドで参加しており、いずれの社にとってもフォローオンでの出資となる。トリプル・ダブリュー・ジャパンのこれまでの累積調達金額は約15億円。
今回のプレシリーズ B ラウンドは、シリーズ B ラウンドでの調達には一定の時間を要することから、既存株主を中心に、現在のトリプル・ダブリュー・ジャパンがスピードを緩めることがなく成長できるよう、当座の資金として調達したものだ。同社は11月以降、シリーズ B ラウンドの本格的な調達を始める予定で、プレシリーズ B ラウンドに参加した投資家は、シリーズ B ラウンド成立時に新株予約権(Convertible Equity)を株式に転換する見込みだ。同社では、2018年度に10億円規模のシリーズ B ラウンドを実施したいとしている。
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写真左から:Reaktor Japan エンジニア Gabriel Lumbi 氏、ダイドードリンコ 経営戦略部 事業開発グループ アシスタントマネージャー 西佑介氏、Reaktor Japan 代表取締役 Aki Saarinen 氏、Reaktor Japan シニアサービスデザイナー 宮本麻子氏 Image credit: Masaru Ikeda
Reaktor のチームは、大阪にあるダイドードリンコの本社にあるプロジェクトルームに詰め、ダイドードリンコの経営戦略部のメンバーと共にサービス開発に没頭、そうした苦労の末に生まれたのが、今年9月にローンチした「Smile Town Portal」というサービスだ。Smile Town Portal では、先に書いた Smile STAND に対応した自動販売機(スマートフォンと Bluetooth 通信ができる機能を持った自動販売機)で利用でき、自動販売機の半径1キロ県内にある飲食店や美容院などの店舗情報を、スマートフォン上の専用アプリ「DyDo Smile STAND」に配信する。配信される情報は、リクルートの「ホットペッパーグルメ」や「ホットペッパービューティー」から情報の提供を受けているのだそうだ。
Smile Town Portal 対応の自販機 Image credit: Dydo Drinco
東京では山手線の駅などで、前に立ったお客の出で立ちなどから判断して飲料製品をお勧めするインテリジェントな飲料自動販売機を時折見かける。JR 東日本ウォーターサービスが展開している自動販売機で、カメラなども備わっているのでマーケティングデータも取得できるようだが、まさに「時折見かける」という普及程度だ。一方、ダイドードリンコの場合、Reaktor と取り組んだプロジェクトについて、構想から実行、そして導入までのスピードが速く、同社の自動販売機の2台に1台の割合で、数年以内に Smile Town Portal に対応することになる。大手企業のクオリティアシュアランスや、全国展開する手間を考えれば、このタイムラインはなかなか驚異的である。
今回のプロジェクトで Smile STAND のしくみづくりはダイドードリンコが、Smile Town Portal のサービス開発やソフトウェア開発は Reaktor が担当したとのことだ。Smile Town Portal の立ち上げに要した期間は3ヶ月程度で、「自動販売機に対して面白いよねというイメージを持ってもらえば、それが成功になるのではないか(西氏)」と革新的なサービスに対して、社内での KPI の設定についても柔軟なようだ。Reaktor がフィンランド企業であること、また、ダイドードリンコがモスクワ市内に700台程度の自動販売機を展開していることもあり、Smile Town Portal のアイデアが海外進出する可能性についても期待が持てそうだ。
ただ、今回のプロジェクトの成果について、西氏は Smile Town Portal というアウトプットだけでなく、そのプロセスについても大きな学びがあったと、オープンイノベーションの意義について強調する。
ダイドードリンコ本社内に設けられたプロジェクトチームで、Smart Town Portal の開発に余念の無い、同社経営戦略部と Reaktor の皆さん IMage credit: Dydo Drinco
Reaktor の日本法人である Reaktor Japan 代表取締役の Aki Saarinen 氏は、デザインと開発作業を組み合わせながら進める方法、ソフトウェア開発とクオリティアシュアランスをステップバイステップで進めていく方法がとれたからこそ、今回の短期間でのプロジェクトが実現できたと話す。このようなアプローチを通じて、日本の大企業がスタートアップからベネフィットを得られる機会を、他のスタートアップにも体現してほしいと、高まるオープンイノベーションの可能性について期待感を示した。
Above: Messenger VP David Marcus onstage during the keynote address at the F8 annual developer conference held April 18-19 in San Jose, California. / Image Credit: Khari Johnson / VentureBeat