
2017年も中国のテック業界は、さまざまなニュースで賑わった。以下に、今年の12大テックニュースをあげてみたい(順序は任意)。
1. テスラになりたいテック新興大手LeEcoによる大規模レイオフ、資金難
かつて中国テック業界に君臨していたLeEcoのファウンダーJia Yueting氏は今年、多くの資産を売払って資金調達に奔走する結果となった。この6年間だけで、Yueting氏は70億ドルを失った。
過去にはテスラのライバルとも見られていた同社の電気自動車事業も、資金調達に苦戦していて多くのメンバーをレイオフしていると報じられている。
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2. 中国政府、ICOを全面禁止
今年の春夏には大胆な評価額がつき、非常に速い資金調達があったものの、その後9月に中国政府は、仮想通貨を用いた新しいクラウドファンディングの方法である「イニシャルコインオファリング(ICO)」にストップをかけた。
この禁止措置によって、中国の多くのブロックチェーンスタートアップは、ICOのバッカー返金をすることを迫られることとなった。海外に拠点を移し、シンガポールのような、トークンの販売が現時点では違法ではない場所で新たに登記をした事業者もいる。
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3. 中国のスマホがインド市場を制覇
中国のスマホメーカーが大きく、そして急速な成長を遂げているインドの市場に注目し始めたのは今に始まったことではないが、今年はこれまでの努力が実った年となった。
今年は初めて、Xiaomi、Oppo、Vivo、Lenovoという中国企業がつくるスマートフォンが、インド市場の過半数に達した。
4. IPOブーム
中国企業によるIPOが今年は好調だった。2017年前半にIPOで調達した額は、前年の同期間に比べると406パーセント上昇した。
10月には、香港で最大のIPOがあった。TencentのeBook部門であるChinese LiteratureのIPOがあり、取引の初日で64億ドルの市場評価額に達した。
フィンテックのスタートアップ Qudianも、アメリカでのIPOで9億ドルを調達した。とはいえ、同社の株価は、現金ローンサービスに関する論争によって、大幅に下落した。
5. MobikeとOfuによるシェアバイクが世界展開加速
バイクレンタルのMobikeとOfoは、急速な成長を経て、今年は海外展開を加速させた。
3月、Mobikeはシンガポールにて初の海外展開。6月にはTencentなどから6億ドルの資金を追加で調達してグローバル展開の加速を目指している。その翌月、Ofoは7億ドルをアリババ主導のラウンドで調達している。
両者はこれまでに、中国国内の都市を含めて世界で150の都市に展開している。

6. 2強以外のバイクシェア事業は苦戦
一方で、その他のバイクレンタルスタートアップは苦戦を強いられた。かつて1億4000万ドルの評価額がついたBluegogoも、11月には財政難に陥り、社員への給料未払いやユーザーがデポジットを引き出せなくなる事態となった。
「Bluegogoを始めた当初から、潤沢な資金を調達していた2社のプレイヤーとぎりぎりの対決をしてきました」CEOのLi Gang氏は、MobikeとOfoのことをそれとなく言及しつつコメントしている。
7. 当局によるデータの取り締まりが強化
今年の夏、中国の多国籍企業に最大の衝撃を与えた出来事といえば、中国の新しいサイバーセキュリティに関する法律が発効したことだろう。
これは、外資企業は中国国民や安全保障に関するデータを国内のサーバーに保管しなければならないという内容のものだ。多くの外資企業は、運営コストの増加や中国企業を優遇するものだとして、この決定を否定的に捉えている。
8. アップル、中国当局への対応に苦慮
今年は中国のアップルにとっては微妙な年だった。最新のアップル製品を買うために、ファンが店舗の前にキャンプで泊まり込みをするような時代は過ぎ去り、中国国内の競争が厳しくなった今、もっとも重要なスマートフォン市場における関心が衰えつつある。
政府の規制に対応する際も不利な状況に置かれている。今年、アップルはVPNのアプリを国内のアプリストアから取り下げなければならなかった。
「参加するか? それとも傍観者として物事がどうあるべきかを叫ぶのか、という選択しかありません。私の考えは(中略)、現場に現れて参加するというものです。舞台に出ます。観客席にいても何も変わらないのですから」CEOのTim Cook氏はイベントでこうコメントしている。
9. WeChat、アップルと対決(そして勝利)
中国の規制当局だけでない。中国でもっとも人気のあるソーシャルアプリ、TencentのWeChatもアップルと対決した。
4月、WeChatはiPhoneユーザーからチップ機能を使えないようにした。ブロガーやメディアパーソナリティの収益化を可能にする機能だ。アップルは、全iOSアプリがアップルの決済システムを使うことを強制しており、30パーセントをカットする。この方針が理由であるとTencentは発表している。
9月までに、アップルは方針を変更してユーザー間のチップを許可した。アップルにとっての最大市場のひとつで批判が沸き起こったことが理由だろう。
10. 拡大するシェアリング事業、セクシー領域にも
バイクレンタルに限らず、マイクロレンタル事業は今年中国で大きく伸びた。賛否両論が巻き起こったケースの一つは、セックスドールシェアリングだ。下半身のパーツはユーザーごとに取り替えることができるものだ。
当局は、ローンチ後数日でアプリを閉鎖した。
11. アリババ、数十億ドルをオフライン小売領域に投入
中国のテック領域で、今年のバズワードの一つは「ニューリテール」だ。オンラインとオフラインのデータを統合して、売り上げを伸ばすというアイデアのことだ。
アリババほどこのワードを声高に叫んだ企業はいないだろう。今年、アリババはHemaというスーパーマーケットをローンチして、ユーザーがスマートフォンで操作し店舗内の商品を支払えるようにした。各店舗は出荷センターももち、半径3キロ以内のローカル配送にも注力している。

12. アリババは東南アジアに大金を投入
今年、アリババは東南アジアへの展開を加速させた。2016年、アリババは東南アジアにおける大手eコマースの一つLazadaに10億ドルを出資している。
今年は、アリババは同領域にさらに11億ドルを投入して、インドネシアのマーケットプレイスTokopediaの株式を買った。TokopedaとLazadaを抑えたことで、アリババは実質的にインドネシアのeコマース市場を独占したともいえる。
(本記事は抄訳になります。)
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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