
Image credit: MindCET
The Global EdTech Startup Awards(GESA)は、毎年ロンドンで開催される、世界最大の EdTech コンペティションだ。2014年、イスラエルの EdTech スタートアップインキュベータ MindCET による主導のもと、それぞれ EdTech インキュベータ であるEU の Open Education Challenge と、イギリスの EdTech UK によって共同創設された。
先月、その日本予選で勉強ノートまとめアプリ「Clear」を開発・提供するアルクテラスが優勝したことをお伝えしたが、同チームが今月24日にロンドンで開催された第4回 GESA 世界決勝に参加、日本スタートアップとして初めてグローバルで優勝した。2位にはケニアのモバイル学習管理プラットフォーム M-Shule、3位には大企業やメンターらとの協力を得て学生に実際の社会問題の学習機会を提供するインドの MentorMind が選ばれた。

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今回開かれた GESA 2017 には、世界70以上の国や地域から 600 2,000社がエントリ、世界決勝にはアルクテラスを含む18社がファイナリストとして出場された。審査員の多くは、EduTech 特化 VC や教育関連団体など8カ国から参加。アジアのプレゼンスが必ずしも大きくないコンペティションで、日本のスタートアップが優勝の座を獲得したのは感慨深い。優勝したアルクテラスには、主催者の MindCET から特典として、教育エコシステムにおける世界展開のサポートや、PR支援、メンターシップやビジネス支援の機会が提供される予定だ。
アルクテラスの Clear はこれまで、受験競争が厳しいながらも、クラスメイトや友人同士が勉強を教えあい助け合う文化のある、日本を含むアジアの国や地域で広く浸透してきた。今回、ヨーロッパで開催された欧米のコミュニティのコンペティションで優勝したことで、Clear のアジア以外の地域への展開にも弾みがつきそうだ。アルクテラス代表取締役の新井豪一郎氏によれば、具体的にどの国に進出するかは市場調査を行なった上での判断によるものの、GESA 参加者の意見などを参考に各国の学生のモノの考え方をふまえると、イギリス・フランス・ロシアなどが Clear の需要に合う可能性があることがわかったとのことだった。

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ローンチから約4年を迎え、アジア圏におけるダウンロード数は160万件以上で、うち日本におけるダウンロード数は120万件を超えた。日本の中高生人口が約700万人であることを考えると、5人に1人は Clear を使っている計算になる。加えて、タイ、台湾、中国、インドネシア、インドでサービスを展開している。2018年以降には、インド、ブラジル、ベトナムに進出する計画だ。
アルクテラスは、Clear 以外にも、塾向けの指導ツール「カイズ」や東京・大田区の住宅街で志樹学院という個別指導塾を営んでいる。2015年に7月にはスターティアなどから約1.3億円を調達、2016年にはシリーズ B ラウンドで朝日学生新聞社や Z 会から1.1億円を調達している。2017年11月には、代々木ゼミナール教育総合研究所と協業し、教育機関向け授業支援ツール「ClearS」を導入展開することを発表している。

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