消費者が日用品をメーカーから直接購入し、日用品店やスーパーマーケットを全く使わなくて済むような世界を想像してみてほしい。それこそ、ブロックチェーンのスタートアップ INS が実現したい未来だ。これを実現するために、一般向けにトークンを販売して約4,300万米ドル(6万イーサ)を調達した。
INS によると、世界上位20社の消費者向け日用品(FMCG)企業の7社が同社プラットフォームに関心を示したという。代表的なところでは、Unilever と Mars がある。上位20社以外にも、「メーカー500社が当社事業に関心を示し、本格運営時には協力いただけるという覚書を締結した」と広報担当は VentureBeat に語った。
INS が発表した声明では次のように述べられている。
現在の日用品業界は非効率な形態となっており、小売店による統制を受けています。例えばイギリスには7,000を超えるメーカーがありますが、2,500万の家計は、市場の76%を占有する大手小売店4社に依存しています。INS ではブロックチェーンの採用により、卸売業者や小売店といった中間事業者を取り除き、消費者が日用品の買い物で30%節約できるようにしたいと考えています。
一方でメーカーは売上の17%の節約に向け賛同した。現在は取引の販促に資金を投入しているが、これをエンドユーザ向けにパーソナライズ化およびターゲティングされた販促に切り替えることができる。
同社によると、どのメーカーであれ「INS のエコシステム」に商品を掲載し販売することができる。自由な価格設定も可能だ。その他、このプラットフォームを活用して、顧客からのフィードバックを受けたりロイヤル顧客に販促したりすることもできる。こうした直接販売を可能にするのは、ブロックチェーン上のスマートコントラクトだ。
モスクワを拠点とする同社は2018年末までに世界展開を計画している。まずは EU 主要国、アメリカ、東ヨーロッパの諸都市からだという。しかし展開としてははまだアーリーステージにとどまっているようだ。例えば、同社が活用しているブロックチェーンの種類については明言していない(その技術には多くの人が利用可能であることとプロパティが求められるという。取引速度が遅いため、イーサリアムは現在使えない)。ただ、広報担当によると「本格的なブロックチェーンサービス企業」との提携に向けた交渉は大詰めを迎えているという。アルファ版のローンチ予定は2018年第3四半期だが、来年末(2018年末)までに本格実施できるかを見通すのは困難である。
とはいえ、INS は日用品ビジネスに無縁だったわけではない。共同設立者の Peter Fedchenkov 氏と Dmitry Zhulin 氏はかつて、ロシアの大手オンライン日用品販売サービス企業 Instamart を設立しているからだ。この会社は VC から1,000万米ドルを調達している。Fedchenkov 氏は今でも同社 CEO を務めている。さらにロシアの日用品大手 Dixy の元社長である Ilya Yakubson 氏からの助言を受けている。
Instamart と同じように、INS でも日用品を保管するためのフルフィルメントセンターを運用する計画だ。独立系の配送事業者や物流企業のネットワークを活用して配送が行われる予定。
予定されているサービスのモックアップはこちら、フルフィルメントアプリのモックアップはこちらでご覧いただける。
Collinstar Capital と Blockchain Ventures が INS に投資した。また、INS トークンの交換や流動性の選択肢をユーザに提供するため Bancor と提携した。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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