
シンガポールに本拠を置く不動産情報サイト99.co-優れた投資家に恵まれた同社が、インドネシアで最大規模を誇る不動産サイトの一つ、UrbanIndo を買収したことが関係者の口から Tech in Asia に語られた。詳細は明らかにされていないが、99.co もプレスリリースを通じてこのことを認めている。
これにより99.co は、東南アジア最大の人口を誇り、物件数においてはシンガポールをはるかに凌ぐ不動産市場を有するインドネシア国内での基盤拡大の機会を得ることとなる。99.co 上の15万件のシンガポール国内物件に UrbanIndo 上の120万件の物件情報が加わることになると同関係者は語っている。
99.co は、2016年にインドネシアに進出したもののマーケットプレイスをローンチすることはなく、デベロッパの不動産売却を支援するため彼らをエージェントに繋ぐツールの開発に取り組んでいた。しかし、この最新の動きにより、同社は買い手に対し直接接触する機会を得ることとなる。
不動産業者やその他住宅売主の手によって毎月掲載される新規物件数を他の不動産ポータルサイトと比較すると、UrbanIndo が最大のリクイディティを持っていることがわかります。これだけのものを作り上げるのには長い時間がかかりますし、そのネットワーク効果はとても大きい。すぐに真似のできることではありません。
同関係者はそう語る。同サイトは当面の間は有効なブランディングを保持することとなるだろう。
しかし、この買収劇に関し一つ不安定な要素がある。それは UrbanIndo の設立 CEO を(自身の Linkedin 上のプロフィールによると)昨年末まで務めていた Arip Tirta 氏の今後の動向である。スタートアップの CEO は、自社が買収された後も少なくとも数年は社に残る場合が多い。買収先からアーンアウトの先延ばしやボーナスを受けるといった形で特別待遇を受けながら社に残ることで、混乱を防ぎ移行を進めていくのである。
しかし同関係者によると「彼には別に興味のあることがあり、そちらに向かうため社を離れた」とのことである。
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このオンライン不動産市場における最新の合併により99.co と UrbanIndo が共同で iProperty や PropertyGuru といった既存サイトに対抗することとなり、東南アジア地域での同市場における競争激化が見込まれる。この競争はこれまでも度々激化しており、著作権侵害で PropertyGuru が99.co を相手に訴訟を起こすといったこともあった。99.co は現在も係争中の裁判においてこの訴えを否定している。
株主を満足させる成長を求める99.co と、インドネシア国内においてどの大企業にも属さない最大手 UrbanIndo。この二者間の合併は完璧なものに思われるし、必然的なものかもしれない。
UrbanIndo がインドネシア市場に参入したのは比較的最近のことである。ローンチは2011年11月、PropertyGuru や iProperty が同国に参入しローカルマーケットプレイスを獲得した後のことである。投資家から資金を募ってはいるが、シリーズ A ラウンド後の資金調達については公表していない。月間訪問者数が数百万単位へ伸びたとはいえ、少ない資金の元、同地域の強敵の後を追うことは大変だったであろう。
そのような状況の中、UrbanIndo の投資家、設立者、初期社員が99.co による今回の買収からどれだけの支払いを受け取ることができるかはわかっていない。
上記関係者はこう語る。
UrbanIndo は、特に発展途上の市場における急成長スタートアップの多くと同じように、そのランウェイが限られています。この買収前は、まさにマネタイズの初期段階に入ったところでした。
このことで利点を挙げるなら、合併後の事業が成長軌道を有し、「今後の資金を『調達する』自然な引力」をもたらしていることだと同関係者は続けて語った。
シンガポール国内で年額294~445米ドルの99.coの有料プランに加入している不動産業者の数はおよそ6,000、これは99.co に掲載されている業者の約半分の数である。
はっきりとした数字は明らかにされていないが、同関係者によると同社の2017年における収益は前年の3倍に成長したという。歳入モデルも拡大し、不動産デベロッパ向けの市場調査およびマーケティングサービスを含んだものとなっている。
【via Tech in Asia】 @techinasia
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