ソーシャルVRの成功のカギを握るのはヘッドセットではなく、人間

by VentureBeat ゲストライター VentureBeat ゲストライター on 2018.1.23

筆者の Michael Park 氏は PostAR の設立者兼 CEO である。同社は拡張現実の構築、探検、シェアが可能なプラットフォームを提供している。


Facebook Oculus Rift VR ヘッドセットのソーシャル VR
Image Credit: Facebook

Rec RoomAltspace といったソーシャル VR アプリの初期の成功は、ソーシャル VR ベンチャーがエンジニアリングや3D ユーザエクスペリエンスデザインと同じくらい、人間の行動の鍵となる原動力に焦点を当てる必要があることを示している。さらに、ポケモン GO の隆盛とそれに続く低迷は、私たちにとって大切なコミュニティとともに作り出し、シェアしたいという人間本来の欲求を無視するとどうなるか、という結果を示している。この記事では、なぜユーザのモチベーションを理解することがソーシャル VR の長期的な成功の鍵になるのかを説明してくれる、人間行動の専門家と VR の思想的リーダーを取り上げる。

ユーザが意義ある選択をするよう力づける

HoloLens や Oculus Rift を初めて試すと誰もがこれまでにない没入型の環境にいる体験をすることに本能的なレベルで驚愕する。しかし、その目新しさはすぐに色褪せ、新しいユーザは市場での魅力的なコンテンツの不足に幻滅することになる。ここで疑問が生じる。複合現実コンテンツのクリエイターはユーザがより多くを求めて戻ってくるように引き離さないエクスペリエンスをどのように築くことができるのか?結局のところ、ユーザを保持する強い力がなくては、どのようなメディアでもソーシャルプラットフォームを築くことは不可能だ。

Yu-kai Chou 氏『Actionable Gamification』の著者でゲーミフィケーションと行動デザインの専門家である。彼はこの点について詳しく説明している。

VR アプリは多くの場合、エクスペリエンスの没入的な側面をなるべく魅力的にしようとすることに重点を置く一方で、エクスペリエンスに戻ってきたいとユーザを惹きつけるような、人間の核となる原動力の部分をないがしろにしてしまっています。その結果、もっと時間とエネルギーを費やしたいと思わせるソーシャルな影響力や戦略が究極的に欠如しているため、ユーザは目新しさのある数分間を楽しんだ後、「もう試したから十分だ」ということになるのです。

Chou 氏はさらに次のように続ける。

VR エクスペリエンスをできる限りリアルに見せることに力を注ぐ代わりに、クリエイターはゲームデザインからのベストプラクティスに重点を置くべきです。ユーザには意義のある選択をする方法があるのか?ユーザが自己表現をするどんな選択肢があるのか?ソーシャルな関わり合いを得るための競争的あるいは協力的な方法は?こういったことがうまくできれば、VR は輝きを放つことができます。なぜなら没入型のソーシャル環境は、顔の表情、体の動き、アイコンタクトのシミュレーションといったより深いレベルの双方向性を可能にするからです。ユーザが意義ある選択を自分自身でできるように力づけることは、バーチャルな世界をもっと試してみようという動機づけになります。

ユーザが自分の「仲間」のために作り出すことを可能に

人類は本質的に社会的で相互依存的だ。我々の脳は他者と共感することができるよう進化を遂げてきた。協調するということは歴史的に、生存に不可欠だったからである。そのため、仲間の一部になることを生まれつき欲し、仲間の一部である、価値がある、他者に必要とされていると感じた時に報われる。これが、過去10年のソーシャルメディアプラットフォームが成功した理由である。現代の「仲間」とともに作り出し、シェアする原始的な行動学をうまく利用したのだ。人間の核になる帰属願望を理解することは、バーチャル、リアルを問わず、いかなるソーシャルなエクスペリエンスを築く場合にも鍵となる。

Nir Eyal 氏は Wall Street Journal 誌のベストセラー『Hooked: How to Build Habit-Forming Products』の著者である。彼はこの点についてさらに詳しく語る。

ポケモン GO はほぼ間違いなく、歴史上最も成功したバーチャルエクスペリエンスでした。流行はなぜ過ぎ去ってしまったのでしょうか。それは、ポケモン GO では他者とエクスペリエンスをシェアすることが難しかったからです。ゲームの焦点の大半は自分で街を探検し、デジタルモンスターを探すことに注がれていました。少しの間はそれで楽しめましたが、すぐに飽きられてしまいました。もしもっとソーシャルなものであったなら、その魅力はより長く続いたでしょう。確かに、プレイヤーは赤の他人と「バトルする」ことはできましたが、時間をかけて関係を築くことはできませんでした。

Eyal 氏はさらに次のように続ける。

「仲間の恩恵」をソーシャルプラットフォームに植え付けるには、クリエイターは何らかの形でユーザが大切な人とコンテンツやエクスペリエンスをシェアできるようにすることが不可欠です。仲間から認められるために何らかの形で貢献するように力を与えること。人は他者に必要とされ、感謝されたいと感じています。この成功例は友達同士をつなぐ
Facebook、仕事仲間向けの LinkedIn、エンジニアのための StackOverFlow に見ることができます。クリエイターは、エクスペリエンスがどうしたらユーザが長時間にわたって絆を育むことができるかという点に焦点を当てるべきです。

コミュニティを予期しない形で発展させる

設立者が自身の会社に対して支配力を持ちたいと思うのは自然なことだ。新しいものを築くために必要な心理的、感情的な情熱は、設立者自身が発展や成長の妨げになってしまうことにつながりかねない。なぜなら、彼らの創造物は有機的に予期せぬ方向に進むこともあるからだ。しかし、ソーシャル VR プラットフォームを構築する場合には、設立者は手放すことを学び、そしてある程度まで、ユーザがコミュニティの将来の進展を決めることを許すべきである。

Gavan Wilhite 氏は、Microsoft が最近買収したソーシャル VR プラットフォーム、AltspaceVR の設立者だ。彼は次のように語る。

自分が意図したものではなくても、コミュニティを喜ばせるものを受け入れることが重要です。私たちは、自分たちのバーチャル世界のイースターエッグやシークレットから多くのことを学びました。偶然のものもあれば、意図したものもあります。しかし、イースターエッグの存在はユーザの好奇心に火をつけました。このバーチャルビルの屋上にどうやってたどり着くか。このレベルに隠されたチームの秘密の写真はどこか。ミステリーやセレンディピティで遊ぶことはカルチャーが生まれる環境をもたらす役に立つのです。

Wilhite 氏はさらに続ける。

私たちはこの考えを、ユーザがマシュマロ、ハンマー、剣、マグといった環境の中のモノやツールとどのようにやり取りできるか、という点に応用しました。これらのモノに特別な力を与える代わりに、ユーザがソーシャルで協調的な方法で、それらと有機的にやり取りできることを優先しました。例えば、シンクロさせたり互いに手渡し合ったりできるようにすることです。これらのモノはジャグリングのスキルを見せびらかすための手段や、お互いにプレゼントをあげる手段となり、そこから予期しない用途や、より活発なコミュニティが生まれました。

最初からクロスプラットフォームに

VR 業界は市場のハードウェア、ソフトウェアの分断により、スケーラビリティの問題に直面し続けている。しかし、VR ソーシャルプラットフォームを成功させるのは、バーチャル環境のクオリティだけではなく、製品を通じて可能になる社会的絆の強さでもある。

Dean Johnson 氏は VR に携わって約20年になるイノベーションエージェンシー、Brandwidth のイノベーション責任者である。彼はこの点について次のように詳説する。

VR でのコミュニケーションにおいては、ソーシャルな側面は VR の側面よりも重要です。Facebook Spaces は友人のスマートフォンデバイスと電話会議することを可能にしたことで、VR ヘッドセットを持たない人が外部からではありますが、バーチャル世界を体験できるようにし、状況を一転させました。ソーシャルネットワークはエクスペリエンスにアクセスするためのデバイスにかかわらず、ネットワークのサイズとその中の人々の絆の強さと同じくらいにしか、強くはなれません。そのため、ソーシャル VR プラットフォームが生き残るには、クロスプラットフォーム機能が最初から製品に組み込まれるべきなのです。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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