イーサリアム上でブロックチェーンスタートアップを立ち上げる前に、考慮すべき選択肢とは

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Adam Ghahramani 氏は e スポーツブロックチェーンスタートアップ bison.gg の共同設立者であり、thevinx.network のアドバイザーを務めワインの先物取引のトークン化に取り組んでいる。VentureBeat への寄稿も頻繁に行われている。詳しくは adamagb.comで。


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Ethereum 上でブロックチェーンスタートアップを立ち上げる、仮想通貨の世界にいる大半の人々が行っているやり方であるが、そうする前に今一歩踏みとどまり、よく調べてみよう。その気があれば、価格比較を少し行うだけで、Ethereum の対抗馬を用いてブロックバスターを起こすことができるかもしれない。

Stellar や NEO、DragonChain や Zen Protocol、その他いくつものブロックチェーンプラットフォームは技術面においてそれぞれ独自の長所を有しており、Ethereum 以上に自らのプロジェクトに適したものがその中から見つかるかもしれない。また、これら対抗馬は現金を豊富に有しており、スタートアップが自らのエコシステムに参加することを切望している。それゆえ、喜んで取引に応じてもらえるだろう。

2015年のリリース当時、Ethereum の誕生は啓示的であった。複合的な非中央集権的スマートコントラクトを誰もが打ち立てられるようになったのである。しかし、その万能型のアプローチや近年増加しつつある諸問題により、Ethereum は脆弱化している。Mobius の COO で共同設立者の Cyrus Khajvandi 氏は自らのプロジェクトに際し Ethereum を綿密に検討した上で、はっきりとこう述べた。

遅すぎるし不安定すぎます。それに実際に運用するにあたってはコストがかかりすぎます。

このことに気づいている人はまだあまりいません。多くの人がグループシンクに陥ってしまっているのです。

Khajvand 氏は、その速さと「飛び抜けて安価な」取引コストゆえ Stellar を選択した。この選択は彼以外にも見られる。Kik もまた同様の不満を口にし、先月(2017年12月) Ethereum を離れ Stellar を用いることを発表した。Kin の Kik はトップ100通貨であるがゆえ、これは一大事であった。

対抗馬となるプラットフォームを選ぶ理由は技術面の適合だけにあるのではない。Stellar での立ち上げによって Mobius は開発支援や事業紹介、ソーシャルメディア支援を受け、また Stellar の CEO である Jed McCaleb 氏が顧問委員になるというクリプト界有数の栄誉を受けることとなった。Mobius のトークンが2時間で売り切れたのも納得の出来事である。

ワインの先物取引のトークン化に取り組む VinX Network の設立者 Jacob Ner-David 氏はこのアプローチに賛意を示している。VinX は近頃、Ethereum を避け、ファイナンシャルブロックチェーンプラットフォーム Zen Protocol 上でプロジェクトを展開、同プラットフォーム上で初めて展開されたプロジェクトの一つとなった。専門性の高いブロックチェーンを選択することで、VinX は開発に要する時間とコストを大幅に削減している。また、Zen Protocol のチームとは密接な協働関係が築かれており、各カンファレンスや同社のテレグラムチャンネルにおいて積極的な売り込みが行われている。(開示:筆者は VinX のアドバイザーである。)

公開されることが望まれていない情報であるが、プラットフォームから直接資金提供を受けているブロックチェーンスタートアップの話もすでに聞こえてきている。各プラットフォームが成長し競争が激化するにつれ、この傾向は加速していくと考えられる。

Ethereum を選んだとしても、それを理由にあなたを信用してくれる Ethereum 支持者というのは現れないだろう。2万6,224番目(その数はさらに増え続けるている!)のトークンとしか見られないからだ。しかし NEO を選べば、その名は NEO の全投資家に知れ渡り、財政面でもソーシャルメディア面でも支援を受けることができる。なぜなら、あなたが成功することで同プラットフォームには確証性が与えられ、さらにはそれがプラットフォーム上の通貨価値を上げる要因となるからである。

しかし誤解しないでもらいたいのは、こういった対抗馬の関心を引くのは容易ではない、ということである。各プラットフォームには問い合わせが殺到している(私の知るところでは、DragonChain のインキュベータプログラムは多くのバックログを抱えている)ため、彼らにアプローチするには、一流のベンチャーキャピタルへそうする時のようにあらゆるコネクションを利用し、カンファレンスで顔を合わせ、コミュニティへと入り込み、斬新なプロダクトでもって関心を引き付けなければならない。決して簡単なことではないが、怠ってはいられない。

Ethereum が今も真っ当な選択肢であることは確かである。ランウェイがあるのなら、最終的には Ethereum によって諸問題が整理されるだろうことは間違いない。また、洗練された ERC20 トークンのエコシステムや大規模な開発コミュニティ、あらゆるプラットフォームの中で Ethereum が最も長い期間を持ちこたえられそうだという安心感、といったものが利点として挙げられる。

終わりに。Ethereum にせよ他の対抗馬にせよ、決断は早く下すべきだ。

Khajvandi 氏はこう警告している。

一度決心したら、途中で切り替えることは難しいのです。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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