香港の共有小型倉庫スタートアップの Boxful(任意存) が台湾の ALL IN Premium Storage を買収する予定だ。これにより、台湾の倉庫市場の統合を早め、スケールメリットが生まれるとしている。
Boxful によると、倉庫業界では一般に、企業のインフラが成長するにつれ物流コストは低下すると言われている。合併した ALL IN により、土地コストが台北中心部より低い郊外の新北市の周辺に倉庫が追加されることになり、保管コストもまた低下していくだろう。
Boxful は設立の1年後、2015年に台湾市場に参入した。同社は保管物を顧客から直接引き取り、24時間監視や自動火災防止システム、空調管理サービスを提供している。
買収先を探し求めて
同社台湾ゼネラルマネージャーの Casper Koh 氏はこう話す。
Boxful は台北都市圏における小型倉庫市場の展望について楽観的です。
現在 Boxful は、ALL IN のようなプレイヤーを他にも買収する予定である。
現在台湾の倉庫市場には10を超える大企業が存在している。その中には、ALL IN や More Space の存在がある。
Boxful によると、台湾では倉庫市場は比較的新しく、過去には、ほとんどの消費者は家の外に財産を保管する習慣を持っていなかったという。
Boxful は、ベンチャーキャピタルからの初の資金調達となるシリーズ A ラウンドにより、台湾で買収の申し入れを行うのに必要な額を入手した。
昨年11月のプレスリリースによれば、Boxful は2017年末までに1,800万米ドルをベンチャーキャピタルからのシリーズ B ラウンドで調達した。資金は主として香港、台湾、中国本土、シンガポールの不動産業界から寄せられたものだった。
その合計額は、アジアの貯蔵業界において、1回のベンチャーキャピタルラウンドで提供されたものとしては過去最大規模であったとプレスリリースでは述べられている。
Boxful はこれまでに合計2,600万米ドルを超える資金を集めた。
ALL IN の買収額は明らかにされないと思われるが、集めた資金は、買収に向けた資金調達の額としては十分なものであった。
ALL IN は2016年にローンチし、新北市に2つの倉庫の運営をスタートした。Boxful は大台北エリアにすでに4つの倉庫を運営していたが、現在は ALL IN の顧客向けに5つ目の倉庫を建設している。
Boxful によると、ALL IN は More Space のような業界最大手ではないものの、e コマース企業など重要なクライアント企業を抱えているという。
台湾へと成長を続ける Boxful
Boxful の事業は、月当たり平均20%成長しており、台湾北部に拡大を見せている。
Koh 氏は、地方における高額な住宅価格と自宅の中に十分なスペースが設けられないことにより、共有倉庫への需要が押し上げられたとニュースリリースの中で述べている。また、季節性の気候の変化も需要を駆り立てているという。気候が暖かくなると、多くの消費者は重い衣類と寝具を共有倉庫に保管する。収集品や置物、おもちゃ、他の装飾品もまた、結局は企業資産や e コマース商品と一緒に、台北都市圏の保管所に収められることになる。
Boxful は、昨年の台北市の賃貸アパートの床面積1畳、1ヶ月当たりの平均コストは、1,648ニュー台湾ドル(50.23米ドル)であるという Ubee の統計を引き合いに出した。
以前の ALL IN の顧客に対しては、優遇措置の一環により、保管物を Boxful の倉庫に移動できるようにするという。
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