スモールチーム向け情報共有ツール「Stock」が正式ローンチ——口コミを中心に2,200社が採用、情報の蓄積にあわせチャーンの抑制にも成功

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Stock
Image credit: Linklive

Stock」は、情報のストックやタスク管理のための、誰にでも使える UI/UX を標榜して開発された SaaS 型情報共有ツールだ。Stock を開発・提供するリンクライブは10日、Stock の正式ローンチを発表した。昨年9月にβローンチした Stock は、ユーザのトラクションもこの半年間で順調に推移。今年2月には有料メニューを導入し、今月ユーザ数が2,200社に達したことも明らかにした。

今年はバーティカル SaaS の年と言われる中で、それとは対照的に Stock は業種を問わずにさまざまな場所で使われる汎用型 SaaS だ。従来、ストック型の情報共有はファイルを使った方法に依存せざるを得なかったが、Stock ではタブレットやスマートフォンからの書き込みも可能であるため、これがユースケースを広げる追い風になっているようだ。創業者で代表取締役の澤村大輔氏によれば、水道管工事の会社が現場から写真をスマートフォンでアップロードして記録したり、働き方改革を掲げる大企業や中小企業などが効率的な業務管理に使ったりと、採用業種は多岐にわたっているという。

ターゲットとして、拾える面(業種・業態)が広いというのがβサービス期間中に得られた発見でした。以前は士業の人々に使われやすいという傾向もありましたが、使われる業種も幅広くなった。有料メニューに転換しているユーザの業種も幅広く散っています。

Stock
Image credit: Linklive

SaaS 全般に言えるプロコンとして、オンプレミスやパッケージ型のソリューションに比べユーザは導入がしやすい反面、チャーン(ユーザ退会)が発生しやすいという、サービスプロバイダにとっては負の側面も存在する。しかし、フロー型の情報共有ツールとは対照的に、Stock ではストック型という特性がうまく作用して、チャーンレートの抑制にも成功している。情報のストックの量(Stock では「ノート」の数でカウントしている)が一定数に到達すると、ユーザはほぼ退会することは無いのだという(残念ながら、澤村氏はこの「一定数」の具体的な数については明らかにはしてくれなかった)。

入会したユーザが一定量の情報を蓄積した後は退会することが皆無なのであれば、新規ユーザの獲得に傾倒することが Stock 成功の近道だろう。SaaS でよく見られる友人紹介プログラムや、リワード割引などを導入する予定は無いのだろうか? 澤村氏に聞いてみた。

Stock の NPS(ネットプロモータースコア)を調べみたんですが、非常に高い値が出たんです。最近、話を聞く機会のあった SmartHR の宮田さん(宮田昇始氏)もおっしゃっていましたが、いいプロダクトで紹介プログラムをやったらうまく行くけど、紹介プログラムだけが単体でうまく機能するわけではない。(中略)

Stock では広告費をかけていないのに ここまで口コミで成長してきている。それを誘発するような施策を埋め込んで行きたいと思っています。(澤村氏)

IVS 2017 Fall の「LaunchPad」でピッチする澤村氏
Image credit: Masaru Ikeda

リンクライブはまず、ユーザの多くを占める中小企業の満足度を高めることに注力し、続いて、大企業のスモールチームのニーズにきめ細かく対応していきたいとのこと。外国人がメンバーにいるユーザからのフィードバックにも耳を傾け、将来的には海外対応にも視野を広げる考えだ。Stock の有料メニューがスタートしていることや、以前の記事も書いたように他の Web サービスで黒字化していることから、リンクライブは当面ブートストラップモードで経営を続けるようだが、「サービスの質やユーザの満足度が担保でき、一気にグロースできるタイミングが来たら、外部からの資金調達も検討したい(澤村氏)」としている。

同社は2017年12月、金沢で開催された IVS 2017 Fallのピッチコンペティション「LaunchPad」でファイナリストに選ばれた。

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