1対Nでもぬるぬる動くVR「スペースリー」が1億円調達、不動産や観光地紹介に活路ーー蓄積データの研究「Spacely Lab」設立も

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スペースリー代表取締役の森田博和氏

360度VRの編集、配信ツールを提供する「スペースリー(Spacely)」は4月10日、Draper Nexus Venture Partners、 Archetype Ventures、DBJキャピタルの3社を引受先とする第三者割当増資を公表した。調達した資金は総額で約1億円。外部機関による出資はこれが初めてで、出資比率などの詳細は非公開。

また同社は、蓄積したデータの活用や画像解析、研究開発推進を目的としたSpacely Labの設立も伝えている。調達した資金で開発体制の強化や顧客サポートの充実などを進める。

スペースリーは360度のVRコンテンツをウェブブラウザから編集、配信することのできるツール。360度カメラで撮影した画像素材を用意してツールから登録し、それらの視野角や移動などを設定することで、視聴者が現場を擬似的に体験できるパノラマ型のコンテンツを配信することができる。

制作は事業者側が実施することになるが、マニュアルなどが用意されており、例えば不動産の内覧コンテンツのようなものであれば、1〜2時間程度のレクチャーで利用できる、ということだった。

特別なローカルソフトは必要なく、全てブラウザ上でサービスは完結しており、保管枚数やアカウントなどの条件に応じて3つの料金プランが用意されている。

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手持ちのスマートフォンでVR体験ができる「カセット」。開けるとグラスホルダになる

もっとも特徴的なのは対複数に対する同時配信で、例えば大型の不動産プロジェクトなどを複数人に対してプレゼンテーションする場合など、説明している側がその場でコンテンツ内を見回ったり、移動したりする様子をリアルタイムに聴衆に対して配信ができる。

視聴側はPCブラウザはもちろん、スマートフォンを使ったVR視聴にも対応。同社がオリジナルで用意する「カセット」というグラスをアタッチメントを使うことで、簡易な没入体験を提供することができる。

価格やブラウザ完結の手軽さもあり、2016年11月のサービス開始以降、事業者ユーザー数(アカウント発行数)は650件に到達している。同社代表取締役の森田博和氏に話を伺ったところ、不動産事業者がやはり多く、ハウスメーカーや施工会社などのプロジェクト紹介に使われたり、観光や防災などの分野に利用が拡大しているということだった。

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