香港発のエイト証券、野村アセットから2,500万米ドルを調達——日本部門は野村が支配権を取得、若年層の顧客拡大に期待

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Mikaal Abdulla 氏
Photo credit: エイト証券

株式取引スタートアップであるエイト証券の創業者 Mikaal Abdulla 氏は、これまでで最大金額の資金調達を実施し、今日(原文掲載日:4月2日)は強気に感じているようだ。今回投資を受けた2,500万米ドルは、Abdulla 氏がフィンテック王国を作るために獲得した4年ぶりの資金調達だ。

前回のラウンドは2014年夏で、その際に得た資金は Chloe と Tradeflix を開発するために使った。

Abdulla 氏は、同社が2016年にローンチした手数料無料の株式取引サービスの名前を引用し、Tech in Asia に語ってくれた。この株式取引サービスは昨年10月に本格展開となった。

マーケティング活動への投資を増やし、ソフトウェア開発チームを拡大するため、今回はより大きな額を資金調達することに決めた。これまで、マーケティングに大きな投資はしてこなかったが、トラクションが強くなっていることから、アクセルを踏むのは今だと考えた。

アメリカの取引アプリ「Robinhood」とは異なり、エイト証券はアジアに特化している。ユーザの大半は出身地の香港のほか、中国本土やシンガポールにいる人々だ。

2018年は新市場に参入することは考えていないが、2019年には活動的になると思う。我々が優先する市場は、東南アジアや中国だ。

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エイト証券の株式取引アプリ「Tradeflix」
Photo credit: エイト証券

今回の調達は、グループ会社である野村アセットマネジメントを経由して、日本最大の投資銀行である野村ホールディングスからもたらされた。同社は、2,500万米ドルを出資してエイト証券の主要事業の過半数未満株式と、日本部門の支配株主持分株式を取得する。

これより少し前、野村ホールディングスはメッセンジャーアプリ「LINE」のユーザが株式を売買できるようにすることを狙って、LINE と提携した。このサービスは年内に日本で開始される見込みだ。

エイト証券は、E トレードのような古株とともに、銀行や証券会社にチャレンジするフィンテックスタートアップの新しい波を構成する一社だ。Abdulla 氏と、彼のビジネスパートナーで共同創業者の Mathias Helleu 氏は、共に E トレードのエグゼクティブ出身である。2010年にエイト証券を設立する前、Abdulla 氏は E トレードで12年間勤務した。エイト証券は2012年に公開された。

我々の顧客資産は毎年倍増しており、売上はこの間で190%増大している。

Abdulla 氏は先月末のデータを引用してそう語ったが、実際の細かい数字については開示しなかった。

退職後に生計を立てられるようポートフォリオを組んでいる高齢者のような個人投資家がいる一方、エイト証券のユーザが若いことは驚きに値するかもしれない。同社の AI アドバイザーのユーザの平均年齢は28歳で、同社からスピンオフしたアプリ「Tradeflix」のそれは30歳だ。同社にとって新たな親友となった創業92年目を迎える組織(野村證券)のユーザ層とは全く異なる。

野村の顧客の平均年齢は60〜80歳。しかし、野村はミレニアル世代向けにモバイル製品やサービスをローンチすることにコミットしていて、それを実現するために我々を戦略パートナーとみなしている。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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