シンガポールのブロックチェーンスタートアップVeiris、ビットコイン取引所や決済ゲートウェイ向けにインドネシアでKYCサービスをローンチ

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Image Credit: Veiris

銀行、フィンテック、旅行、保険セクターにいる世界中の企業は、本人確認(KYC)として広く知られている顧客の身元を認証する業務を ID 収集を通して実施することが法律によって義務付けられている。

この手続きには、それ自体に課題がある。企業が実施をするのに時間がかかることのほか、各地に店舗を設置しなくてはならないことがよくある。

この問題を解決するために、シンガポールを拠点とする Veiris は、企業が身分認証を遠隔でできるブロックチェーン対応の KYC プラットフォームを構築した。

このプラットフォームは、専用のブロックチェーン対応プラットフォーム「Veiris Enterprise Ecosystem (VeE)」を通じてフィンテック企業、銀行、公益企業などとつながることにより動作する。また、文字、顔、色のアルゴリズムで文書の自動認証を行う。それにより企業は、実物の文書を相互に共有することなく、ID 証明画像と顔認証分析をつないだり共有したりすることができる。

Veiris によると、同社のシステムにより、「摩擦のない」リアルタイムのデータ統合と保有が可能になるという。

インドネシアでこのサービスをローンチした同社は、ターゲットとする主な市場としてインドネシアと母国のシンガポールを挙げた。

CEO の Anwar Yunus 氏は e27に e メールで次のように語ってくれた。

当社の計画は、この市場に初めて来たときから、フィンテック企業、OTA、インシュアテック企業、小規模銀行と提携することです。

同スタートアップによると、インドネシアでは現地のビットコイン取引所や決済ゲートウェイ企業と提携しているという。

この市場において、手続きをデジタル化することで簡易な e-KYC を提供しているシンガポール拠点のフィンテック企業は Veiris だけではない。Plug and Play Indonesia アクセラレータプログラムを最近卒業した KYCK もその1社だ。

Yunus 氏はこう説明している。

KYCK との違いは、当社が顧客データを保有していないことです。当社は、企業が KYC の結果を互いに共有するエコシステムを提供しています。

始まり

Veiris は、Yunus 氏のほか Gabriel Rey 氏(CTO)、Kevin Chen 氏(COO)により2015年に設立された。

この3名の共同設立者は、東南アジアスタートアップコミュニティの新顔というわけではない。

Yunus 氏は、インドネシアの割引クーポンサイト Dealjava、Rey 氏はビットコイン OTC スタイルの交換所である Triv の設立者兼 CTO として知られている。

Chen 氏は Keytech Group を共同で設立した。この会社は、IT インフラとセキュリティに特化したマネージドサービスプロバイダである。

Yunus 氏は Chen 氏と2014年のスタートアップカンファレンスで出会い、Rey 氏とは Dealjava がスラバヤに拠点を拡大した2015年に顔を合わせた。

Rey 氏は e-KYC の考えをシェアしてくれました。(中略)彼は仮想通貨の交換所を運営していて、顧客データの認証が難しいと感じていました。e-KYC には未来があると信じています。急成長しようとしている企業が直面するリアルな問題だからです。

面白いことに、Veiris のプラットフォームは彼らが以前いた企業 Triv と Dealjava における社内プロジェクトとして始まった。企業用の認証向けにこのプラットフォームを使う中で、スタンドアロンの事業としての潜在性を意識したのだ。

Yunus 氏は次のように述べている。

注意深く検討した後、この技術は一般向けに公開し、単独企業になれるほど十分優れていると判断しました。

将来

2018年に関して言えば、Veiris はインドネシア市場に注力しつつも、現地の業界プレイヤーとさらに提携関係を確保していく計画だ。

今年の提携目標を10件としている Yunus 氏は、自社技術の実装に向け、ダナモン銀行や新韓銀行といった大手銀行と交渉をしているところだと述べた。

ブートストラップで運営されているこのスタートアップは2018年第2四半期、複数の交換所でトークンセールの実施を計画している。VeE Tokenとよばれるトークンのセールで1,800万米ドルを調達したいとしている。

調達資金の大半は、開発とマーケティングに活用し、Veiris が KYC 市場のリーダーになるための地ならしをしたいと思っています。

Yunus 氏はそう述べた。

現在、自社ネットワーク、ソーシャルメディア広告、ICO 企業を通じたプロモーションにより ICO 実施に向けた準備を進めている。

【via e27】 @E27co

【原文】

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