
チャットボットツールを提供するhachidoriは5月21日、店長とバイトを繋ぐコミュニケーションアプリ「CAST」のローンチを発表した。今回はアルバイト向けアプリの公開で、店長向けアプリの公開は6月5日を予定している。
CASTはシフト管理や調整といった店長とアルバイトのコミュニケーション業務を効率化するアプリ。iOS10.0以降およびAndroid5.0以降に対応しており、ユーザー向けアプリは完全無料、店舗向けアプリはシフトの提出依頼、交代依頼、給与管理など一部機能の使用が有料になる。料金は月額制で500円からとなる。
同社代表取締役の伴氏によれば、飲食店や小売業におけるアルバイト管理はLINEのグループ機能を使用しているケースが多く、ニックネームでどのアルバイトの人なのかわかりづらかったり、シフト交代のやりとりが複雑になったりするケースがあるという。
「たとえば、LINEの名前を『佐藤』『サトー』『SATO』としている人がいる場合、ニックネームを見て瞬時に誰か判断するのは大変です。さらに提出の呼びかけなどで、1人あたり月1〜2時間かかっているので、10人であれば約10時間店長業務を圧迫しています」(伴氏)
現在40店舗にてテスト導入されている同サービス。店舗ヒアリングの結果、LINEグループでシフト提出の呼びかけをして出してくれるのは6割程度。さらに提出を再送し、それでも未提出の場合は個別のLINEで催促しながら、様々なグループ・個人のチャットから本名と照らし合わせつつエクセルに入力する作業が発生しているとのことだ。
CASTでは、このコミュニケーションと作業部分を一貫して担っていく。
クローズドで個人が特定できるコミュニケーション方法をつくる

2015年5月に設立されたhachidoriは、チャットボットツール「hachidori」「hachidori+」を展開している。同サービスを利用して作られたチャットボットは5200を超えた。今回CASTをローンチした理由の1つに、既存事業でアルバイト用ラインにチャットボットを導入していた経緯がある。
「そもそも、プライベートと仕事の使い分けができないことが店舗側もアルバイト側もストレスになっていました。アルバイト400人を対象にしたアンケート結果では、アルバイトでLINEを使ったことがある人は63%いるにも関わらず、その57%が否定的・もしくは割と否定的と回答しています。LINEはもはや、個人情報でアルバイト同士でLINEを交換しないといけないのが嫌だという声もあります」(伴氏)
同氏によれば、ノンドメインと呼ばれる公開型コミュニケーションとLINEやチャットワークといったドメインがあるコミュニケーションは存在するが、クローズドかつ個人が特定できる間のサービスがなかったということだ。この領域を同社のCASTでは狙う。
「完全B向けだった既存のサービスからのC向けサービスの展開なので、もう1軸という気持ちで臨んでいます」(伴氏)
同社は2017年2月にシリーズAラウンドで総額1億円の資金調達を実施している。今後はタイムラインやToDoリスト機能をリリース予定。アルバイト向けは年内50万ダウンロード、店舗向けには年内1000店舗の有料導入を目指す。将来的にはアプリ運営で蓄積したデータやノウハウをもとに、金融や求人関連の事業への展開も視野に入れている。
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