
メアリー・ミーカー女史の毎年恒例、インターネットトレンドが発表された。人工知能の普及から2017年に登場以来初めてのフラットな成長となったスマートフォンの話題まで、次世代技術の進化に関する膨大な報告書になっている。
彼女の報告書は今年の3月に発表されたエイミー・ウェブ女史の2018年テック・トレンド・レポートと同じく、複雑な人工知能システム開発における中国の勢いと、政府による人工知能イノベーションシステムへの前向きな計画、民間との共同による軍事AI計画の増加を指摘していた。
米国が依然として先行しているものの、中国は「集中的に組織化され強化が進んでいる」と指摘。元GoogleのCEO、エリック・シュミット氏は「今後5年間で中国と米国がAIの優位性が同等となる」と予測している。
ミーカー女史は世界が雇用市場に及ぼす影響を熟考している。例えばテクノロジーというのは歴史的に見ても、常に雇用を創出する側と奪うという両面を持っており、列車に関連する仕事の数が減った場合に航空産業の従事者が増加していたり、農業雇用の減少に伴ってサービス雇用が増加したりするなど、その相関を指摘している。
しかし新しいテクノロジーはそうではなく新しい仕事や効率化、成長を生み出しているので、「歴史と矛盾する」ことになるだろうと考察していた。
また、Googleの音声アプリケーションの単語誤認率の低下や、Alexaのスキルが3万を超えたことを指摘するなど、会話コンピューティングが人々の生活の中に入り込んでいる点も強調している。さらにエンタープライズ顧客間のAI活用もまた増加すると予想している。

報告書ではその他の優れた統計情報を共有している。以下にいくつか紹介する。
- グローバルインターネットの利用率は2012年の24%から49%に上昇し、グローバルソーシャルメディアの普及率は14%から33%に増加した。ソーシャルメディアの平均利用時間は、2012年の90分から2017年には135分に増加した。
- TencentやAlibabaなどの中国の巨人だけでなく、Google、Amazon、Microsoftなどのテクノロジー大手の時価総額も引き続き上昇している。

- UberやAirbnbなどのオンデマンドプラットフォームを活用している「ギグ・ワーカー」は、2015年の240万人から2018年の680万人に増加している。
- デジタルメディアの1日の使用時間は、2008年の2.7時間から2017年の5.9時間に増加している。
- Fortnite Battle RoyaleはストリーミングサービスTwitch内で最も注目されているゲームで、利用者は2012年の500万人から2017年の約1,500万人に増加している。
- 検索エンジンの動向として、商品検索の85%がAmazonやGoogleから始まるため、消費者の購買意思決定を促進する上で重要な役割を果たしている。
- InstagramやPinterestのようなソーシャルメディアも、18〜34歳の米国の消費者の間では商品検索をする上で不可欠になっている。
- WhatsAppやWeChatのようなメッセージングアプリは引き続き急成長を続けている。
膨大な294ページの文書で取り上げられている他のテーマの中でも、ヘルスケア、食糧、交通、住居などに高額の費用を支払っている状況に触れ、それらの市場でどのようにAirbnbやUberのようなテクノロジープラットフォームがホテルのような既存産業を破壊しているかを紹介していた。
またレポートでは、SlackやDropbox、Intercom、Zoomなどのエンタープライズソフトウェアが、オフィスでの仕事の仕方を変革させている状況を説明したり、介護・医療保険のような政府プログラムに起因する米国の債務や支出をどう変えるべきかについても解説していた。
Kleiner Perkins Caufield&Byers(KPCB)のレポートは、eMarketer、World Bank、およびIntuitのようなさまざまなソースからの考察をまとめたものだ。なお、中国の動向の一部は、Hillhouse Capitalが調査にあたっている。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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