NetEase Cloud Music(網易雲音楽)とソニーミュージックエンタテインメント、中国で音楽ライブイベント事業を共同で運営へ

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数百人の人々が木製ステージの周辺に集まり、大好きなアーティストの登場を待っていた。スポットライトがステージ脇を照らすと、黒いスーツを着た22歳の台湾人歌手 Zhou Xingzhe(周興哲)氏がステージへと歩を進めた。観客からは一斉に悲鳴にも似た歓声が上がった。

観客に挨拶をし、司会進行役と軽く言葉を交した後で、Zhou 氏は薄暗くなったライトの中で歌い始めた。聴衆は一緒に歌いながらメロディに合わせて身体を揺らし、腕を伸ばしビートに合わせて手を叩いた。曲の合間にはランダムで選ばれた人がステージに上がって Zhou 氏と話をし、選ばれなかった人々は羨望の眼差しを送っていた。デジタルな音楽とストリーミングメディアの時代においては、これはレアなファンサービスであった。

これは NetEase Cloud Music(網易雲音楽)と世界最大のレコードレーベルの1つである Sony Music Entertainment が共同で中国の若者に届けた10のライブハウスパフォーマンスのうちの1つである。来年からは NetEase Cloud Music のライブハウスブランドである Yundou Live(雲豆現場)が国内外から歌手を招くようになる。

合同記者会見で NetEase Cloud Music のバイスプレジデント Ding Bo(丁博)氏は、ライブハウスを「カラオケや映画館と同じくらい一般的」にすることを目指すと述べた。同氏は Yundou Live が2018年中に1,000回目の公演を開催すると予想しており、NetEase Cloud Music はライブ音楽ビジネスを拡大する用意ができているということを示唆している。

日本発祥のライブハウスは音楽のための小規模な場所であり、一般的に椅子はない。演者はステージに立ち、数メートルに満たない距離で観客と直接向き合う。

NetEase のマーケティング部門PRマネージャー Michelle Chan 氏は TechNode に語った。

ライブハウスによって、物理的な面と感情的な面の両面で、音楽がより身近になりました。これは音楽ファンにとって視覚的にも聴覚的にも素晴らしいことです。

オフラインでのパフォーマンスによってマーケティングや流通のさらなる方法も提供されますし、ファンとの交流も可能になります。

ニューエコノミーに特化したコンサルティング企業 iiMedia Research(艾媒諮詢)のアナリスト Li Songlin 氏は、次のように TechNode に語った。

ライブ音楽ビジネスを育てることは、新たに移り変わりつつある現在の中国の消費とマッチしています。そして Yundou Live は NetEase Cloud Music がオンラインからオフラインに至るまで独自のエコシステムを構築する手助けとなるでしょう。

2013年にローンチした NetEase Cloud Music のユーザは2017年11月には4億人に達した。このスピンオフ企業は2017年4月に Shanghai Media Group(上海文化広播影視集団)がリードする7億5,000万人民元のシリーズ A を完了し、評価額は80億人民元となった。NetEase Cloud Music は自身が作り上げた音楽コミュニティの中心となっており、その中にはユーザがキュレートし作り上げたプレイリストや、アクティブなコメントエリア、そしてインディーズ系アーティストが含まれている。

成功したインディーズ系アーティストは自身のデジタルアルバムの売り上げから大きな収入を得ることができるが、Cloud Music はビッグデータを通じた正確なターゲットマーケティング戦略でそれらのアルバムを強化している。フォークシンガー Zhao Lei(趙雷)氏の Can’t Grow Up (無法長大)は Cloud Music で20万枚を売り上げ、およそ36億人民元に達した。

2016年後半に NetEase がインディーズ系ミュージシャンに対して行った調査によると、ミュージシャンの大部分はより効果的で多様なプロモーションと流通チャネルを必要としており、Yundou Live はそれが提供できると Chan 氏は述べた。

YunDou Live(雲豆現場)のライブイベント
Image credit: Technode

インディーズ音楽が重視されている状況であっても、ライセンスの問題はまだ存在する。4月上旬、QQ Music(QQ 音楽)のオーナーである Tencent(騰訊)は Cloud Music に対してライセンスが失効した Jay Chou(周杰倫)氏の曲を取り下げるよう伝えた。これは中国国家版権局が Tencent と NetEase に対してそれぞれの音楽ライセンスの99%をシェアするよう要求した後に起きたことであり、Jay Chou 氏は残りの1%ということが示唆されている。NetEase Cloud Music は Jay Chou 氏の曲をすべて削除し、同プラットフォーム上に戻せるのがいつになるのか明らかにすることはできなかった。

新たなビジネス

NetEase のプレスリリースによると、NetEase とソニーの協力はライブハウスビジネスに将来性があるとの共通認識に基づいたものであるという。

2016年のライブハウスイベントの収益は2015年の46億人民元から48億人民元に増加した。ライブハウスの収益は8,200万人民元に達し、2015年の6,300万人民元から30%増加した。

ライブハウスのチケットは一般的に100人民元前後であり、普通は数千人民元になる大きなコンサートよりもずっと手頃だ。Mao Livehouse(世紀楽夢)の CEO である Chi Yongqiang(池永強)氏はかつて China Business News に、中国のライブハウス市場は急激な成長の前夜にあると語ったことがある。2007年に初めてオープンした Mao Livehouse は中国でも最初期のライブハウスであり、2017年のプレ A ラウンドでは数千万人民元を調達した。

オフラインの興行においてインターネット企業が持つ強みは、大きなユーザトラフィックによってマーケティングやプロモーションを容易にすることができるという点です。しかしオフラインの運営経験や物理的な会場の欠如という弱みもあります。ですので、分野を超えて企業と協力するのが一般的です。(Li 氏)

現在、Zhou Xingzhe 氏は NetEase Cloud Music 上で5万人以上のフォロワーと9万以上のコメントを持ち、ライブパフォーマンスに容易にアクセスできるファンベースを提供している。

Sony Music にはオフラインの公演の経験があります。Sony Music が運営する Zepp は非常に活発なライブハウスビジネスです。(Chan 氏)

ミュージックホールの Zepp は国内外の出演者が公演を行い、東京や大阪、名古屋といった日本の主な都市に存在している。

成長を続けているものの、中国のライブハウスビジネスはまだ成熟しておらず、企業はどういったビジネスモデルが最も適切か、ターゲットの観客はどういった人々なのかを探る必要がある。これにはさらに時間がかかると Li 氏は述べた。

2017年5月4日にローンチしてから、Yundou Live は469のライブイベントを130組以上の出演者で、32の都市で定期的に開催してきた。この度のパートナーシップは Yundou が初めて Sony Music のような大手レコードレーベルと手を組むものである。

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ソニーへのメリット

Sony Music の中国国内マーケティングおよびアーティストマネジメント・ディベロップメント部門のデピュティゼネラルマネージャー Enrique Shen 氏は述べた。

A&R(アーティスト&レパートリー、人材を発掘することとレコーディングするアーティストを商業展開すること)に力を入れ続けること以外にも、弊社は業界が競争力を保つためにはどうすれば価値を付加できるのか、どうすれば演者と観客の両者により良いエクスペリエンスを提供できるのかを考えています。

NetEase Cloud Music との協力は弊社が探っている分野の1つです。

NetEase の前には Sony Music は中国の別のテック大手 Tencent Holdings と共同で、新たなエレクトロダンスミュージックのレーベル Liquid State をローンチしている

2017年の Global Music Report によると、Sony Music Entertainment 中国・台湾の CEO である Samuel Chou 氏は、レーベルはもっと幅広い音楽業界で、特にライブ分野と一体になるべきだと述べている。

単に録音した音楽をストリーミングサービスで流すというだけのことではなく、アーティストをサポートし、アーティストと共にこの新たなビジネスを作り上げその形を描き出すということです。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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