
インド最大の E コマースマーケットプレイス Flipkart が、その株式の75%をウォルマート(NY証取:WMT)に150億米ドル(つまり時価総額200億米ドル)で売却する見込みであると、Bloomberg や Wall Street Journal などが報じている。
今回の取引には、Google の親会社である Alphabet も参加する模様。また、最大株主である SoftBank Vision Fund が Flipkart 全株式の20%を売却するとみられる(時価総額を考慮すれば、売却額は概ね40億米ドルとみられる。SoftBank Vision Fund は昨年8月に25億米ドルを出資し最大株主となっていた)。
2007年に設立された Flipkart は、2012年に Amazon がインドに進出して以降苦戦を強いられ、2016年にはマイノリティ投資家の Morgan Stanley に数度バリュエーションを切り下げられた。近接する競合で世界的な E コマース大手である Amazon でも払っていないような給料額が、Flipkart ではトップ従業員に不当に支払われているとの報道がなされ、Flipkart は業界関係者からの激しい応酬にさらされることとなった。
Flipkart はシェア拡大を狙って、これまでに複数の同業との合併を試みており、eBay India との買収には成功したものの、Snapdeal との買収は破断に終わった。ソフトバンクは Snapdeal にも出資していて、当初は Snapdeal を Flipkart に買収させ(統合させ)てから筆頭株主の座を獲得したかったようだが、買収の破断から競合する2社へ出資している状態という〝ねじれ現象〟が続いていた(ただし、Snapdeal への出資は SoftBank Vision Fund ではなく、ソフトバンクからの出資とみられる)。
ウォルマートは2016年、自社傘下だったネットスーパー Yihaodian(1号店)を JD.com(京東商城)に売却しており、中国市場からは事業を一部撤退しながら、インド市場には攻めの一手に出た形だ。Flipkart のウォルマートへの売却は、早ければ日本時間の来週中には完了する見込み。
<これまでの Flipkart の軌跡>
- インド最大のEコマースマーケットプレイスFlipkart、SoftBank Vision Fundから25億米ドルを調達——ソフトバンクは、Flipkartの最大株主に
- Flipkart、ソフトバンクから最大20億米ドルの調達に向け交渉中——eBay Indiaとの合併は完了
- Flipkart、9億5,000万米ドルでのSnapdeal買収は破談に
- Snapdeal、Flipkartからの9〜9.5億米ドルでの買収提案を受け入れ【報道】
- インド最大のEコマース企業FlipkartがTencent(騰訊)、eBay、Microsoftから14億米ドルを調達
- FlipkartがeBay Indiaを買収し、20億米ドルを調達【報道】
- インドのFlipkartが10億米ドルを資金調達、さらに10億米ドルの調達を予定【報道】
- インドEコマース2位のSnapdeal、同業首位のFlipkartやAmazon Indiaとの合併を模索か【現地メディア報道】
- ユニコーンの失速:インドのコマース、Flipkartが評価額を150億ドルから110億ドルに下げる
- FlipkartとUdacityが実現を目指す「就職面接のない社会」とは?
- インドのEコマース巨人Flipkartが7億ドルを資金調達、上場に向けてのカウントダウン?
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