BAT の動向やヘルスケアの現状が意味しているのは、イノベーションに関して言えばまだ長い道のりがあるということだ。現在、主要な動きはエコシステム構築、協業、データ、インフラ確立に集中している。これは、来るべき大きな競争に向けた周到な準備だといえるかもしれないが、医薬品や医療機器のセクターで中国系テック企業が主導する革新的な動きはほとんどみられない。
BAT はポートフォリオを多様化し成功を収める機会を高めようと新興もしくは現地の企業に投資したいところだが、中国の現実的な状況がそれを常に支えてくれるとは限らない。絶対的に有利なリソースの一部を政府が統制しているため、民間企業に残された空間には限りがあるほか、政府に対する協力がこの上なく重要な要素となっている。
本稿を担当した Masamichi Matsushima 氏は、日本の都市銀行を退職後、Baroque Street に入社。アナリストとして世界の仮想通貨事情を調査しています。
現在は、エストニアに拠点を置き、ヨーロッパ中心に活動中です。
Crypto Valley Labs の外観 Image credit: Baroque Street
5月22日、スイスのツーク州にある仮想通貨・ブロックチェーンに特化したコワーキングスペース「Crypto Valley Labs」を訪れた。本来の目的はそこで開かれるミートアップへの参加であったが定刻まで時間があったため、従業員にコワーキングスペースが実際にどのように機能しているのかについて話を伺った。
なぜこれ程までに注目を集めるのだろうか。一つには政府や金融機関の協力体制が挙げられるが、今回の訪問によりコワーキングスペースが業界の発展に寄与する部分が大きいことがわかった。一般に言う「コワーキングスペース」とはその名の通り「一緒に働く場所」、すなわち自社だけでなく複数のヒト・企業が同じ場所で働く場所を表す。私が考えるに誰かと一緒に働く上で重要となるのは「ヒト」「相互扶助」「目的共有」である。スイスの Crypto Valley Labs はこれらの要素全てにおいて世界水準を満たしていた。
室内には Bitcoin ATM が設置されていた Image credit: Baroque Street
Schmid 氏はこの施設の魅力について次のように述べた。
Crypto Valley Labs は仮想通貨、ブロックチェーンに特化したコワーキングスペースとして人気を集めている。この施設を利用すれば、世界から集まった多くの企業と交流、情報交換できることは大きな利点だろう。また、利用者へのサポート体制も充実している。我々は法律、会計、税務、マーケティングといった各分野の専門企業と提携を結んでいる。
Smart Water Meter は、水道システムにとっての大きな問題となる水漏れや、水道料金の支払を簡便化できるシステム。旧来のアナログメータに変えて、スマートメータを配置し LoRa 経由でデータをクラウドにアップロードすることで、水の流れをリアルタイムでモニタできるようになり、水漏れ箇所の特定や利用水量の計測から支払までの一連プロセスをスムーズにする。
Tupuka は、アンゴラの首都ルアンダ(ルワンダではありません)で展開される、レストランのフード、スーパーの食料品、薬局から薬などを届けてくれるデリバリサービス。2017年に Seedstars World アンゴラ予選で優勝、4月までに25万食8.6万件のオーダーを届けている。現在、ルアンダ市内で70人のドライバーを確保し、特にアッパーミドル層を顧客として成長を続けている。