Baidu Researchの乳がん発見アルゴリズム、人間の医者の能力を上回る

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Image Credit: Baidu

Baidu Research は本日(6月18日)、あるディープラーニングアルゴリズムを開発したと発表した。このアルゴリズムは、初期テストにおいて、乳がん転移を発見する能力で人間の医者を上回るという。

この畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、400枚の大きな画像を大量のグリッドに分割し、そのうち20万のグリッドをランダムに選ぶという過程によってトレーニングされた。アルゴリズムはグリッドを選んだ後に分析を行い、1つ1つのグリッドとそれに隣接する細胞群を分類する。

数ギガバイトの大きさにもなりうる画像を病理医が容易に検査できるように、画像を小さな諸部分に分割してくれる様々なアルゴリズムがこれまでに導入されてきた。こうした技術を Baidu Research のアルゴリズムは、乳がん細胞を取り囲む部位を検査する医師の手法を真似ることによってさらに推し進めようとしている。それによって、一挙に細胞の1つ1つとその周りの細胞群を検査できるようになるというのだ。

Baidu のシリコンバレー AI ラボの機械学習リサーチサイエンティスト、Yi Li 氏は電話インタビューで VentureBeat に次のように話した。

私たちのイノベーションとアルゴリズムでは、こうした画像のグリッドを用いて、それらを合わせて細胞の1つ1つががん細胞なのか正常な細胞なのかを予測します。それは、細胞の空間的相関関係をモデル化することによって行います。そして、この相関関係が分かるからこそ、私たちのアルゴリズムでは通常よりずっと確かな予測が可能なのです。

スライド1枚につき、6つの前もって定義された偽陽性率を用いて、平均的な検知感度を算出してくれる FROC 解析スコアでは、Baidu のアルゴリズムは80.9点を得た。これは、人間の病理学者の平均72.4点、Camelyon16 challenge(Consortium for Open Medical Image Computing 主催のコンペティション)の優勝チームの80.74点よりも高い得点だ。ちなみに、Google AI リサーチが昨年リリースしたがん発見アルゴリズムの得た FROC スコアは89点だった。

Baidu のアルゴリズムをトレーニングするために使われた画像は Camelyon16 challenge から得たもので、がんを含む画像、がんを含まない画像、どちらにも分類されなかった画像の組み合わせからなる。

医師と同じ、あるいはそれ以上の速さで医学的画像を分類し、皮膚がん糖尿病網膜症といった病気を発見する能力がコンピュータビジョンにはあるため、現在のところ最も有望な人工知能の形の1つとして、コンピュータビジョンに目を向ける人々が現れてきた。

ある細胞1つだけでなく、その周りの細胞群の健康状態をも考慮に入れられる技術の開発を前進させるため、Baidu は自社のアルゴリズムをオープンソース化する計画だと Li 氏は語る。

Li 氏は以下のように語る。

私たちは医学研究業界全体、そしてさらには医療業界全体の利益になるよう、現在このアルゴリズムのオープンソース化に取り組んでいます。私たちのアルゴリズムが実際の臨床現場で適用可能なものなのかを真に試すために、病院やその他の医療資源とのより一層の協力を求めていく必要があると思っています。そして、より大きな環境、データセット、様々なタイプのがん細胞で私たちのアルゴリズムを試し、それでもなおこのアルゴリズムが高い正確さ、さらには熟練した医師に上回る能力を保持できるのかを見る必要があります。

最近、ニューヨーク大学の研究者たちが作ったディープ CNN による乳房密度分類システムもオープンソース化された。乳房密度もまた、乳がんスクリーニングのための画像分析で重要な位置を占める。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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